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広告・広報から“PR”へ。小さな会社のPR入門~今できること、これからできること~

2019年3月28日、billage OSAKA内でitty selection Inc.主催「企業成長のポイントは、広告・広報から“PR”へ。小さな会社向けPR入門」が開催されました。

本イベントでは大手のPR会社に外注する予算が確保できないような中小企業などを対象に、どうすれば自社のこと上手にPR出来るのか、ということを教えていただきました。


今回登壇いただいたのはこちらの方。

上村 由依(かみむら ゆい)さん(itty selection Inc. CEO)

22歳で東京からニューヨークへ。NY在学中と帰国後のトータル3年半を、フリーランスのPRプランナー・PRライター「かみむらゆい」として活躍。50社以上のPRプランニングやPRライティングに携わり、2016年、29歳で株式会社を設立。東京・ニューヨーク・ハワイの企業PRなどをサポートするitty selection Inc.を経営し、PRチーム「is Closet」の運営も行う。



では早速イベントを始めていきましょう!今回はたくさんある話題の中から2つピックアップしてお届けします。



PRとは「全てのステークホルダーとの関係構築」

PRとはなんでしょうか?まずは参加者同士で自分たちの考え、今回のイベントで期待していることは何なのか、を簡単に話し合っていただきました。

“モノを売るときの上手なやり方を聞きたい”

”そもそも広報という部分がわかっていないのでその部分について伺いたいのと、形のないものを伝えていくにはどうしたらいいか聞きたい”

“自分もフリーランスで記事を書いているので、そういったところでどのように伝えれば伝えられるのか聞きたい”

などなど、様々意見が聞かれました。

PRとは

PRとはプロモーションと混同されがちですが、パブリック・リレーションズの略です。上村さんの友人の企業広報担当の人が残してくれた言葉で「PRのやり方はパブリック・リレーションズという言葉の中にすべて詰まっている」という名言があります。パブリックとリレーションを築くことで、継続的なビジネス活動をしたり、売り上げを伸ばしていく事がPRです。

パブリックは日本語訳をすると「公共」という意味ですが、PR界では「全てのステークホルダー」と捉えます。ステークホルダーは利害関係者のこと。お客様はもちろん、株主、社員、外注先など、すべての人たちがいい関係になっていくことを目指しながら企業の成長を目指すのがPRなんです。営業部の人は営業目標を達成すればOKという場合が多いと思いますが、PRでは、物が売れた後にどう感じたのか、本当に買って良かったと思っているのか、また買いたいと思っているのか、ファンになってくれたか、などを指標にします。

上村さんがPRに出会ったのはニューヨークででした。日本のPRよりも8〜10年先を行くニューヨークのPR業界ですが、ニューヨークでさえ今でも効果測定が難しいというのが現状のようです。本当に好きになってくれたのか、ファンになってくれたのかは情報として拾いにくいのです。それでも、SNSなどの普及でお客さまの声に傾聴しやすくなりましたし、データ分析もしやすい時代になったので、1つ1つ丁寧にふり返りや改善をすることが大切です。

また、PR業界では度々「女性の方が向いている」といわれます。目に見える数字だけを追うのではなく、お客様の立場にたって中長期的に関係構築をしていく、というところに目が向きやすいのが女性の方に傾向があるからです。

広告との違いとは?

PRというと広告なのか、プレスリリースなのか、オウンドメディアなのか、とよく聞かれますが、PRとは手法ではなく、信頼構築、ファンづくりに向けて、いろいろな手法の中からベストなものを選択して組み合わせることです。

「PRのやり方はパブリック・リレーションズという言葉の中にすべて詰まっている」という名言の通り、今、お客さまと関係構築するためにできること・最適なこととはなんだろう?と考えて、仮説を立て、検証してみて、改善していくことこそ、PRです。

手法としてはSNS、オウンドメディアなどだけではなく、チラシを配ったりすることもPRです。本質は「何をやるのか」ではなく、「何をやるべきか」ということです。

広告との違いは何でしょうか?広告は電車の広告、街中の看板、TVCMなど、企業が枠を買って言いたいことを言える場所。もちろん公序良俗に反しない範囲でですし、独りよがりの広告ではお客さまに響かないので、相手目線も必要ですが…。一方で、広報やPRは枠を買うのではなく、記者の人に取り上げてもらうことや、テレビの番組内で取り上げられることを目指してきた職種です。そのため、自分たちの言いたいことを伝えるのではなく、新聞記者やテレビのディレクターの方々がお客様の求めているであろう形で届けることです。それぞれ記者や番組のスタッフなどが第三者として取り上げています。第三者が入るということは、評価がされているということ。なので、悪く言われる可能性もある中、良く書かれると、世間により信頼感を与えることができたのです。

20年前は、お客様に情報を届ける方法はマスメディアしかありませんでした。インターネットが普及していなかったためです。なので、今でもメディアに取り上げてもらうことがPRと思っている方もいますが、20年前にお客様とリレーションを築く方法が新聞やテレビなどのマスメディアしかなかったというだけなのです。

しかし、インターネットの普及とともに、テレビや新聞を見る人達が減っていきました。広報担当者はインターネットのことを勉強しなくてはいけなくなります。インターネットは今までのものとは性質が違っていました。届けたい人に届けることができること、そしてインタラクティブ(相互的)にやり取りができることがテレビなどとは大きく違っていました。なので、今までは広報という「広く報じる」という意味合いの感じる言葉を使っていましたが、よりコミュニケーションやリレーションを図っていくという意味合いの強い「PR」に移行しつつあるという流れが現在なのです。



これからのプレスリリースの役割と活用方法

プレスリリースとは

プレスリリースとは、「マスメディアへのお手紙」です。まだ今のPRが広報だったときは、マスメディア宛に自社の情報(商品概要や商品発売日など)をお知らせするためのものでした。マスメディアのことをプレスともいうので、プレスに向けてリリースするから「プレスリリース」と言います。

プレスリリースはぜひ企業の皆さんには使用していただきたい手段です。今まではFAXで送っていたのですが、中には1日に300枚も届く新聞社もあります。そんな中から記事にするものを探すのは大変ですし、また、送る側としても何社にも送ることがとても手間になります。メールで送ることも一般的になりましたが、FAX同様、何社にも送ることは相当な手間です。

そこで生まれたのがプレスリリース配信サービスです。2010年頃に日本でも普及しはじめました。プレスリリースを登録すれば、メディアへの送信をしてくれるサービスです。また、このサービスはWebでも閲覧できるので、メディア関係者以外でもプレスリリースを見ることができ、今はWebでプレスリリースなどの情報を探している記者も増えました。

使用するには審査やコツがあるので、まずは広報やPRの専門家に相談することをおすすめします。

プレスリリースのメリット

それは一般の人でも見れること。一般の人にも情報を届けることができます。企業の大小に関係なく使用されていますし、また、企業だけではなく大学なども使用しています。ここからいえることは、例えば、大きな企業の情報を探しに来た人がいたとして、その人がその情報を閲覧していたとします。すると、似たような情報を掲載している小さな企業の情報も関連記事として表示されるのです。小さな企業でも注目されるチャンスがある、ということはとても大きなメリットですね。

また、日々更新されており、信頼できる情報も多く上がっているので、Googleの評価が高くなります。ライティングの仕方によりますが、自社でWebサイトを構築して検索結果を上位にするために努力するよりも、早く検索の上位に表示されて、人の目に触れるチャンスが増えるのです。

いまはマスメディアだけではなく、届けたい人に直接届けることができます。



最後に参加者の皆さんから感想を伺いました。

“本当に伝えたい人に伝えたいことを伝える、という視点で考えることがみんなのハッピーにつながるんだなと感じました。”



その他参加者からの質問や交流会をして、イベントは終了しました。


小さな企業だからこそできることや、今の時代だからこそ使える手段など、様々な学びがあったと思います。



itty selection Inc.さんのホームページはこちらから




billage OSAKAではこれからもこのようなイベントを随時開催していきます!


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