人生で初めてコインランドリーを使った
人生で初めてコインランドリーを使った。銀行に行って現金をおろし、両替をする必要があって回り道を何個もした。
昨日、実家に戻ったらもう僕の部屋の物はほとんど片付けられていて、猫は一室に閉じ込められていた。まだ引っ越して3.4日くらいしか経たないというのに、余りに速い景色の変化に着いていけない。
「チノカテ」「又三郎」「451」「八月某月明かり」「詩書きとコーヒー」を聴いていたら悲しくて嫌な気分になった。3匹の中の1匹の猫が僕の足の上に乗って手を舐めてくれた。
ここ最近精神安定剤の類を全く飲んでおらず、ずっと焦燥感に追われている。
「仕事は?」「あの荷物も運ばなきゃ」「他に足りない日用品は?」「来月の請求は?」「明日の食事は?」常にするべき事が頭の端にあって休まらない。
母親の素晴らしさ、一人で生きることの大変さを嫌という程思い知らされる。僕は性格的に1人で生活を送るのがベストな癖に、1人じゃキャパオーバーで生活に必要な何かが欠ける。
額が熱い。身なりが段々と可哀想になっていく。誰かを自分と同じ不幸に陥れたくなる。いつだか恋人のカッターで刺した、右ふくらはぎの傷が神経を通して痛みを訴えかける。自分で殴った右腕の血色が気持ち悪く、変に腫れている。
僕は今になってやっとヨルシカの「だから僕は音楽を辞めた」というアルバムの曲の意味を深く咀嚼できるようになった。大人になりきれない焦燥感、昔描いた将来像を粉々にする現実、周りを見て「ああ、自分は遅れていたんだ」と再度気付かされる劣等感。
乾燥機が自分の頭の中のようにグルグル回り続ける。ピアノソナタ14番が流れる。「昼鳶」が流れて心の中で僕も舌打ちをする。人を殴りたい。人を犯したい。人を殺したい。誰にも書けない物を書きたい。貴方と共に生きていきたい。
全部、全部、失ってから気づくのだから人生は気持ち悪い。常にないものねだりを繰り返している。
結局僕は何が欲しいんだ?金か?地位か?名声か?平凡か?いや違う。本当は何も欲しくないんだ。蓋を開けたら空っぽなのが怖くて、仮初の「欲しいもの」を求めて生きているだけだ。
なぜ、なぜ、なぜ、ずっと死ねず終いの人生なんだ?何もかもが中途半端!気狂いなだけの無能!人の足を引っ張る邪魔者!……そうやって言ってくれる自分が居ることにさえ安堵を得るのだから、もう救いようがない。
外が暗くなっていくのが怖い。半日後の未来すらが怖い。嫌われることが怖い。まだまともに生きようとしている自分の心根が怖い。笑うほど喉が渇いた。16分で乾燥機の中身が乾いた。