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富裕層向けの沖縄観光コンテンツを開発する〜弊社のコンサル事例〜 (前編)

昨年から新規事業開発のコンサルティングをしていた『ESPACIO Ⅰ(エスパシオ ワン)』がサービスインしました。

沖縄県の宮古島を拠点に、イタリア Azimut社の80フィート(約24メートル)のラグジュアリーヨットを使った完全オーダーメイドの貸切クルージングサービスを、国内外の富裕層旅行客や、企業のレセプションやカンファレンスに提供します。サービスのコンセプトは「海上のスイートルーム」。事業運営は、沖縄のリゾートウェディング会社シェアNo.1の沖縄ワタベウェディング株式会社様が行います。


「稼げない観光業」からの脱却を目指して

ご存知のように、沖縄の観光業は、観光客数こそハワイ並みの約1,000万人まで増加しましたが、消費額の低さ(滞在日数の短さ)から観光収入はハワイの約3分の1に留まっています。

また、観光客の約3割が7〜9月の夏季に集中し、繁閑差が1.5倍もあること()、増加した観光収入を地元のサービス産業に還元できない脆弱な経済構造などが原因で不安定な雇用と低賃金が常態化しており、コロナ禍のずっと以前から、沖縄の観光業は県民からの支持を得られない、就業先としても敬遠されがちな産業に陥っていました()。

ここに、コロナ禍が追い討ちをかけました。観光客は約7割も減少し、離れた働き手が戻ってくることはありませんでした()。沖縄県も、観光業の「量から質への転換」を掲げましたが()、それを目指すどころか、行動制限が解除されて観光客が戻りつつある現在でも、さらに深刻になった人手不足のために観光庁による需要喚起策にさえ対応できないような状況に陥っています()。

「質の高い観光業」、言い換えれば「稼げる観光業」とは、例えば、消費額や滞在日数の増加に繋がる付加価値の高い観光コンテンツを開発することであり、それを沖縄企業が主体となって行うことが重要です。弊社は、沖縄の戦略系コンサルティング会社として、以前から情報を公開したり講演会などで話してきました。

リゾートウェディング客は、他の観光客と比べて滞在日数が長く消費額も高い傾向にあります。240億円とも言われる沖縄のリゾートウェディング市場を、永年にわたり牽引してきた沖縄ワタベウェディング株式会社様からお声掛けをいただき、一緒に富裕層向けの観光コンテンツを企画開発することは、弊社にとっても、稼げる高付加価値の沖縄観光業に貢献する貴重な機会となりました。

この『前編』では、今回の富裕層向けの沖縄観光コンテンツを企画開発するにあたって、さまざまなデータや情報分析から見えた富裕層の属性や消費傾向、そこから考えられる富裕層旅行者の特徴、彼等に向けた観光コンテンツを考えるポイントについて述べていきます。『後編』では、沖縄を訪れる富裕層はどんな人で何をやっているのか? それらを踏まえて、このクルージングサービスの顧客価値をどう作っていたかについて述べて行きます。前後編合わせて1万文字以上、(なかなか見つからない)日本の富裕層に関する分析シート15枚のボリュームです。

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