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12月10日 朝に勃っているモノがいる。

目を覚ますと、遠くの方に山が見える。遠くと言っても手を伸ばせば届く距離にある。だが遠くにあるように見える。
普段私は自らの意思に沿って、自らの手で山を作る。この時の山はとても近くにあるように見える。
山の表面を優しく撫でたり、時に激しくビンタしたり、撫でビンタビンタ撫でと組み合わせたりしていると、その山は更地に戻っていく。

朝の山が遠くにあるように思えるのは、私がその山と関与していないからである。
私より、早く起きている者がいる。その者は、私自身でもある。いつからお前は起きていたのだと、毎朝驚き、そして不快な気持ちになる。私の知らない所で、勝手な動きをされては困る。それはとても恐ろしいことのように思える。

なぜ勃っている。私が眠っている間になぜ勃っている。指示をした覚えはない。目を覚ますと、ただ佇んでいる。自ら勃ち上がったくせに、彼は言葉を発さない。何の意思もないように思える。こちらを見つめるばかり。お腹一杯だからと言いながら、私が食っている飯をジーッと見つめている友人の目を思い出した。

時に人々は彼を「息子」と呼んだりする。私は彼を私だと思ったことは一度もない。「私」「俺」「僕」という言葉を遣う時、自分の顔をよくイメージしている。下に向かえば向かうほど、一人称とは遠のいて行く。
私より早く起きている者がいる。

落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。