運命という名のもとに第9話

~妄想という名の短編小説~
第9話 「後悔」

ありさとサヨナラをして…約2時間くらいの時が過ぎた頃だろうか?遠くで鳴るサイレンを聴きながらも…、最近、煩かったその音にさえ、嫌悪感を抱きながらも…晴れることは無い心の傷に、これで…本当に終わったんだ…と、今までの12年間を返して?という気持ちに浸っていた時だった。

『プルルルルっ…プルルルルっ。』

家電が鳴り響いた。その後…すぐに、親が階段を駆け上がってくる音を感じた…。

『ソラ!ありさちゃんが…、ありさちゃんが…さっき事故にあって…病院に運ばれたって!』

『えっ?』

何の…ドラマだよ。嘘でしょ?何が…起きているのかさえ、わからずに居た。でも、お母さんの顔だけは…今までに見たことの無い、そんな…表情だったこと。それだけは…憶えている。

『今…救命センターで、処置してるみたいなんだけど、危険な状態らしいの!だから、一番の仲良しだったソラに来て欲しいって、ありさちゃんのお母さんから連絡あったの!ほら、何してんの!!急ぎなさい!!』

今…起こってる現実を受け入れるには…正直、辛すぎた。酷い言葉を…いや、酷すぎる言葉を浴びせた直後の出来事。信じ難いけど…紛れもない現実。突き出された…現実は、空(ソラ)の心を引き裂いた。粉々に…砕け散っていった。

いやっ!!こんなことなんて…あるの?なんで?なんで?なんで?!ねぇ…?

私のせいだ。きっと…私のせい。罪?罪悪感。そんな言葉だけで…片付けられは…しなかった。あそこまで…言わなくても、よかったのに。私のせい。私のせい。私のせいだ。

病院に駆け付けた時…。

ありさのお母さんが…廊下で蹲りながら泣いていた。その瞬間…。何が起こったのかを感じ取った私がいた。振り向きざま…私をみた、ありさのお母さんが言った。

『ソラちゃん。来てくれたんだね。ありが…と…。だ…だけど…ね?ごめ…ん。ご…めん。だめ…だった。間に…合わせて…あげられなくて…ごめんね。』

きっと…私のせいだ。

『ごめん!おばさん。きっと…、きっと私のせいなんだよ!私が酷いこと言ったから…』

思わず…その場に座り込んで、泣いた。

『ちがうの!ありさが言ってた。ありさと喧嘩したんでしょう?酷いことしたって。だから、どうしても!謝りたいって…言ってたの。でも、その帰り道…避けられなかったみたいなの…。信号待ちしてるありさに…、スピード出した車が…、うまく…曲がりきれなくて…。曲がりきれなかったみたいで…』

泣き崩れるありさのお母さんを眺めながらも…、自分の放った言葉たちを浮かべていた。私は、謝られる程のことをありさにできなかった。むしろ、傷つけた。死に追いやっても可笑しくないことを言ったんだ。謝られる資格なんて…微塵もない。

この出来事を境に…私は変わった。

親には優等生を気取りながらも…裏では好き放題やっていた。そう、「良い人」「真面目」「優等生」、表と裏…それを持って、生きてきたこの2年という歳月があった。

あの日の夏祭りから…嫌悪感しかない対象ですら、どうなろうと…そんなことどうでもよかった。

でも…本当はね?

その奥にある気持ちは…推し殺すことにしたんだ。
キモチワルイ。吐き気がする。その気持ちの向こう側にある感情そのものが…私の人生をかえたのだから、そんなもの…抱くことすら烏滸がましい。私が幸せになる資格なんて、在りはしないのだから。

私は…いつからか?自分を偽るようになっていた。いや、それがいつからか?知っていても…。自分が冒した罪は…報われることなんてないのだから。あんなに…私を想っていてくれたありさを…死にやった。それは…紛れもなく、私自身の…せいだから。こんな人生…、どうなってもいい。ただ…、ただ…。ありさとの約束。同じ高校に行こうね…。その…言葉を胸に挑んだ高校受験。ありさの行きたかった高校…。一緒に行くはずだった高校。あんなこと…あっても。心の奥では…行きたかった。でも…受かるはずはなかった。実力よりも…私が背負った罪を想えば…。

高校くらいは…出なさい!その…親の言葉で、無理矢理…通わされていた。ことある事に…ありさちゃんの分まで、がんばらなくちゃ!

その…言葉を言われたら、何も言い返すことはできなかった。そう、私の心は…罪悪感でしかなかったから。。。

詩を書いたり、色紙に直筆メッセージ書いたり、メッセージカードを作ったりすることが好きです♡ついつい、音楽の歌詞の意味について、黙々と考え込んで(笑)自分の世界に入り込んでしまうけど、そんな一時も大切な自分時間です。