不死の猫は招く~『図書館司書と不死の猫』
もう五年以上前だったか我が家にはそれはそれは鳴き声のうるさい老猫が居りまして、夜毎おめきながら廊下を徘徊するその猫のことを私は正直好きでなかったのです。が、ある日、私はそいつに名を呼ばれてしまいました。
夜中でした。
胃を壊して何度も吐き戻し、トイレは寒いし普段気にならない程度の臭いも弱った胃にはこたえるしで洗面器を抱えて寝床に戻って息も絶え絶えにへばっていた時、聞こえたのです。閉ざした寝室のドアの向こうから。私の、名を、はっきりと、呼ぶ、おめく、声。
声色は耳慣れたものでし