今年の櫻(前篇)
天候不順の續いた今春ですが、遂に櫻が満開になりました。
折しも今日は休日であり天氣も良く、絶好のお花見日和となりました。
いつもならばバルコニーで優雅に自分だけの花見を愉しむところでありますが今年は……
住んでいるマンションが外壁工事を行っていてこの通り足場が掛かっています。
養生シート越しに見る櫻の眺めは非常に残念なものになってしまいました。
工事も1か月も遅れており、いさゝか頭に來ております。
然して今日は自轉車に跨って色々と地元の櫻を満喫する旅に出たのであります。
いつもお世話になっている櫻の巨木。見事です。
バルコニーから見えるのはこの木であります。
さあ、櫻を愛でに出掛けましょう。
…その前に實家に行きます。
これは亡くなった母が生前愛用していた手提げ袋です。
この中に母の寫眞を入れて一緒に出掛けます。
小學校5年生の頃から乗っている27インチの愛車は今日も輕快な走り心地です。
使い古された誰かのお下がりばかりだったところ、これは生まれて初めて賈ってもらった新品の自轉車だったのです。いつまでも大事に乗ります。
折しも驛前廣場ではイベントが開催されておりました。
ブラスバンドやフォークギター、和太鼓の演奏等の出し物と色々な出店でこの賑わいです。
いつもは櫻が散っている頃に開催されるこのお祭りも今日は満開の櫻の下でいつにない盛り上がりを見せております。
實は私の地元と云うのがこのソメイヨシノ發祥の地とされている地域で、至る所に昔の地名である「染井」の文字があります。
その中心地たるやこの美しさ。一寸した誇りです。
その近くには私の母校。澤山の友達と共に懐かしい思い出が色々あります。
校庭にある一際大きな櫻の巨木は今も尚健在です。
丁度この寫眞の位置は小學生だった頃の昔、よく夜になるとみんなで銭湯に行った時の待ち合わせ場所でした。
その小學校の塀にはこうした繪の描いてあるタイルが飾られているのですが、この中に當時小學3年生だった私が描いた1枚が…。
『少年アシベ』に出てくるイエティのつもりです。
(ちなみに兄は『ドラクエ』のスライムを描いていました)
あの頃から幾十年…。長い様で短い年月ですが、今もこうして當時のまゝである事が嬉しく思えます。
小學校の近くにはこうした公園があり、繪になります。
この蔵は時々開放されて中を見學出來るので面白いのです。
青々とした木のトンネルから覗く櫻並木は面白い景色です。
突き當りにも我が母校の中學校があります。よくこの道を通ったものです。
画像左手の分譲マンションは當時、JRの團地でした。
私の御幼少の頃は「国鉄アパート」とも呼ばれていました。
よくその團地の公園で友達と遊んだものです。
今は昔、もう思い出の世界でしかありません。
まさにここは櫻の里です。
町を行けばどこもこんな調子で綺麗な櫻を眺める事が出來ます。
これはとてもありがたい事です。
わざわざ櫻の名所に出掛けなくても家からほんの数分の所にこうした場所が幾らでもあるのですから。
よく地元の友達とも「ここに住んでいて良かったな」と云う話になる事があります。
遠い昔から変わらぬ櫻の里。染井吉野は我々の誇りであります。
こう見えても遠山の金さんを演じた片岡千恵蔵さんの物眞似が得意です。
ほんの1週間前に漸く1つ2つと花が咲いていた同じ木からは考えられない位に見事に咲きました。
ここは360度どこを向いても満開の櫻であります。
危うくカーブミラーに私が寫り込んでしまうところでしたが、なんとか回避。
子供達の元氣な声が聞こえます。今日はとても良い日よりです。
この樂しげで明るい声はいいものです。これからの為にも大事にしなければなりません。
暫く自轉車を漕いで川沿いの遊歩道へ出ます。
ここでは自轉車を降りてゆっくり押して歩きましょう。
誠に以って繪になります。
櫻の花は川によく映えます。そこを行くカモくん達に出會いました。
なんとものんびりと、そして仄々とした時間が流れていきます。
道行く人はみんなが笑顔です。
この美しさは確實に人々に幸せをもたらしている様です。
こうした美しさが普遍的に在ると云う事は嬉しい事です。
私は胸を張って思うのです。「日本人でよかった」「日本に居てよかった」と。
もう少し經つとこの花が一斉に散る様が見られます。
そして水面に映える櫻の花びらが恰も流星群の様であります。
この櫻の花の色は實に不思議です。
どんな背景があろうとも繪になってしまうからです。
お寺の古い屋根とハイカラなマンションとが一緒になる所に櫻は在ります。
古の時代より現代迄、人々に愛される櫻の花はこの寫眞の如く悠久の時を亘りとっても大事なものなのであります。
そしてそれを愛で美しいと思える我々の心はこれから未來にかけていつまでも大切にしなければなりません。
この川沿いを進んでいきます。そこには私だけの特別な場所が在るのです。
この場所は大學入學を間近に控えた或る日の事。
たまたま通り掛かり、當時持ったばかりのキャメラ附き携帯電話で寫した場所なのです。
當時のガラケーの画像データを見るにつけ技術の進歩を思わずにはいられません。
何故この場所を選んだかは解りませんが本當にたまたま撮った1枚だったのです。
そして何故か毎年この場所を通る度に當時の事を思い出すのです。
こう云う「自分だけの特別な場所」が私にには澤山あります。
さて、この懐かしいひと時を迎えたところで次回に續こうかと思います。
後半へ~續く!
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