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Parisのおにぎりに心が折れた日

Paris市内でまたまた、デモ活動があり交通がストップする情報が入った。日本に戻るのにParis郊外にあるシャルルドゴール空港に行くことができない。タクシーがつかまらない。

とりあえず先に、スマホでwebチェックインし、なんとか空港までたどり着き、JALカウンターで荷物を預け、忘れずにサンテミリオンで買ったワインを割れ物注意で別扱いにしてもらい、イミグレを通り、制限エリアに入った。

搭乗ゲートまで行くと、たくさんの人が既に待っていた。時計を見ると、ほぼ搭乗時刻だ。でも、一向にその気配がない。

どうしたものかと、椅子から腰を上げたとき、かなり強いフランス訛りの日本語でアナウンスが流れた。
中国上空が飛行制限時間にかかり、飛行機の出発が2時間遅れるので、ミールクーポンを取りに来るようにとの案内だった。

つまり、待っている間にミールクーポンで軽い食事をしてくださいと言うことだ。
渡された細長いミールクーポン券には11€と印刷してあった。

わたしは、手にした11€で食べられるものをさがした。日本円で1600円くらいだ。

すると、フードショップの棚に日本のコンビニおにぎりと同じようにパッケージされたおにぎりを見つけた。

おにぎり❣️

この瞬間、Parisで高い和食を食べたくない、いや、食べないわたしのポリシーはあっさり消えさり、日本のコンビニと同じように、きちんと並べられたおにぎりに手をのばした。

ビーフ照り焼き?牛肉?3.58€

なんとか食べられるだろう。

ゴマアボカド?3.58€

果たして、ゴマとアボカドがあうかはわからないけど、アボカドは大丈夫。
次は日本茶のペットボトルを探す。

でも、なーい。

なんで、おにぎりがあるのに日本茶がないのかな。
仕方ない、ないものはないのだ。と、自分に言い聞かせ、水のペットボトルを買った。

この時は、おにぎりを見つけたことで満足していたが、あとで冷静になってみると、おにぎり一つ523円だ。 

うーむ、ありえない。

絶対、ありえない。 
もし、冷静だったら絶対に買わなかった。

でも、おにぎりを食べる前までは
とにかく、おにぎりはキラリと眩しく、魅力的に輝いていた。

ピリピリと牛肉おにぎりの包みのテープを引いて、開く。おお、この感触は日本のコンビニおにぎりと同じだ!

感激はまだ続いていた。

海苔もピンピンで、日本のコンビニおにぎりと同じだ!

よし、さあ、食べるぞ。

一口海苔と一緒にご飯を食べる。

????

これは何?

ご飯がポロポロ。おまけに、硬い。 

レンチン前のサトウのご飯よりまだ厳しい。さらに、味がなんか変だ。そう、酸っぱい。牛肉は、そぼろでは無くぺースト状の練り物。
それでも、おにぎりに飢えていたわたしは、牛肉おにぎりを食べきった。

ゴマアボカドは?
消えかかった感激と期待は、一口目で大きな音を立てて完璧に消え去った。

これは、さすがに無理ーーー!

酸っぱいご飯と酸っぱいアボカド。
ダブルでくる酸っぱさは、もはや形こそ日本のコンビニおにぎりだが、食感と味は全く別物だった。

わたしにはこのおにぎりは、とても、とても残念だけど、無理だった...。

あえなく、撃沈してしまった。

でも、後日、このおにぎりが妙に酸っぱいわけがわかった。

フランスの米は、日本の白米のようにはいかないのだ。つまり、米の味で勝負できない米なので、米にお酢を混ぜて酢飯のおにぎりにして作っている。
そこのところを、理解していなかったわたしは、外見にすっかり魅了され、惑わされてしまったわけだ。

そう、外見は大切。
おにぎりに限らずね。

歳を重ねて、外見に重みが漂うようになっても外見は大切。
(年をとり、皺が増えて婆になってもきれいでいましょ)と、わたしは最近、コンビニでおにぎりを見る度にそう思う。

#Paris #おにぎり#外見#コンビニ#コラム#旅#エッセイ#この町が好き#わたしの旅行記

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