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臀物語

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タイトルをしりとりで繋げる物語、です。 「しりものがたり」と読みます。 第1,第3,第5日曜日に更新予定です。 詳しくはプロフィールに固定してある「臀ペディア」をお読みください。
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#電子書籍

積読

 午前中の仕事を終えた石嶺が休憩室に入ると、右手にスマホ、左手におにぎりを持った佐古が真剣な表情でスマホを眺めていた。
「お疲れ。」
 石嶺が声をかけたが、佐古からの返事はない。
「佐古、お疲れさん。」
「お、おお、石嶺。」
 佐古は驚いた様子で反応した。
「おお。」
「ああ、お疲れさま。今から昼休み?」
「うん。ここ座っていいか。」
「もちろん。」
 佐古は石嶺が座りやすいようにと自分の荷物をど

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ループ

 勇樹が「ザ・スレイヤー」をプレイし、陽介も一緒にプレイをしてり、応援したり、ぼーっとしたりする。それがここ最近の二人の日常だった。
「ああ、やっぱこいつ強いなあ。」
「結構強そうだよね。」
「そう、こいつヤバいんだよ。全然勝てなくてさ。」
「へえ。」
「いったん休憩するか。」
「うん、そうしたほうがいいよ。」
「なんか飲む?」
「いや、大丈夫かな。」
「わかった。」
 勇樹は自分のベッドに腰かけ

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ウェブ

 最近陽介がよくスマホを見ている。別にそれ自体は構わないのだがとても熱心に見ているのだ。
「陽介、最近やたらスマホと見つめあってるけどなんか面白いゲームでも見つけたの?」
「いや違うんだよ。実はこれ……」
 そう言いながら陽介はスマホの画面を俺に見せた。
「漫画?」
「そう、ウェブコミックとかウェブ漫画ってやつ。知ってる?」
「ああなんか聞いたことはあるけど、よくは知らないなあ。」
「まっつんでも

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