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サイクリング中に社会科見学 ゴールデンカムイの聖地・網走刑務所は1時間でまわれるのか?

この記事はロードバイク Advent Calendar 2022の9日目の記事です。昨日はPikaCyclingさんの「40代から始めるロードバイクの楽しみ方トップ3」でした。

今年もまたこの季節がやってきました。ロードバイクアドベントカレンダーは2018年から参加させていただいているので5周年ですよ5周年。
今回は、北海道サイクリングの途中で北の監獄を見学してきた話です。


1.サイクリング中でも網走監獄が見たい

今年の夏、北海道の知床半島をロードバイクで走りたくて網走~中標津を走ってきたんですが、走るルートを考える時に迷っていたことがありました。
せっかく網走近くに行くなら網走刑務所を見てみたい。

博物館網走監獄は、明治以来、網走市と深く関わりを持っていた網走刑務所旧建造物を保存公開する野外歴史博物館です。網走国定公園の景勝天都山網走湖側に位置し、敷地面積は約東京ドーム3.5個分に相当します。

https://www.kangoku.jp/basic_information.html

昔から「刑務所といえば網走」ぐらいに知名度が高い網走刑務所。最近でいうとゴールデンカムイの舞台としてめちゃくちゃ有名になりました。漫画1巻から追いかけていたファンなので、近くに行くならせっかくだから実物を見てみたい。
問題は、今回はロードバイクで走ってる最中だということです。

その日は女満別空港に午前中到着して、知床ウトロで一泊の予定。距離は80kmほどなので寄り道しなければ3~4時間ほどで到着できるはずです。ただ、「知床で夕陽の写真を撮りたい」ので日没までには現地で準備万端の状態でありたいし、「夕飯は地元の美味しい海の幸が食べたい」のでお店の営業時間も考える必要があります。

以上、もろもろ考えた結果だいたい1時間ぐらいで見学できればOKという結論に達し、監獄リアルタイムアタックをすることになったのでした。
しっかり見て回ると2時間ぐらいかかるという説もある中で、果たしてやれるのか。ロードバイクに乗るSPD-SLシューズでカチカチいわせながら建物をまわれるのか。そして何より重要なのは、知床の美しい夕陽を見て美味しい夕飯を食べることができるのか。チャレンジです。

シマエナガだよー


2.見学スタート、中央の庁舎と官舎を見ながら散策

女満別空港から30分ほど走って、網走刑務所前に到着。ご丁寧に駐輪場が整備されていたのでしっかりロックしておきます。写真奥の方にサイクルラックらしき物もあるんですが、高さが足りず自転車を引っ掛けられませんでした……悲しい。

東京ドーム3.5個分はダテではなく、敷地入り口から正門までやや歩きます。当然のようにサイクルウェア&SPD-SLシューズですが、見学者もそれほど多くなく、道も舗装されていたのでスムーズに突入。

入り口でチケットを購入です。大人1500円、webサイトに表示されている割引券を提示すると10%引き。電子マネーが使えたので財布を出す必要がなく非常に助かりました。ロードバイク乗ってるときは財布出したくないですよねー。

出典:野田サトル、ゴールデンカムイ(集英社) 1巻

うおー、漫画で見たまんまじゃん!と思わず声が出ます。

さて、感嘆している場合ではなく1時間でまわるための目星をつける必要があります。入り口でもらったパンフレットによると、正門から入って時計回りに各建物を見学してく方式の模様。

拡大推奨。

名物の五翼放射状房は絶対に外せないとして、それ以外はウォークスルーで見学するぶんには時間はかからなさそう。詳細な展示とか映像コンテンツとかそういうのは涙をのんでスルーしていく方向でいきましょう。
マジで当日この場で回る計画立ててますからね。計画性とか知ったこっちゃありません。

獄卒マネキンがマスクつけてました。ご時世ですね。建物内には随所にマネキンが配置されて当時の光景が再現されています。何も知らずに近づくとちょっとびっくり。

正門入ってすぐの中央庁舎には大きな展示スペースが設けられていました。網走刑務所の設立経緯、北海道開拓と北方からの侵攻に備えた囚人たちによる開拓、などなど。
明治初期、恐らく地理の知識も一般に普及していない頃にこんな北の果てに連れてこられた囚人たちの絶望感たるやすごいだろうなと思います。冬の間、海が氷で埋まる(流氷)なんて当時の本州住まいの人からしたらただの超常現象ですよね。


3.圧巻の五翼放射状房

庁舎を出て、職員官舎の前を歩いていきます。

考えてみれば、刑務所勤務の人たちもこんなところに連れてこられて大変ですよね……。ちなみに改修されながら1983年ごろまで現役だったらしいです。色んな意味でおそろしい。

続いて本日の目玉、舎房及び中央見張所のある五翼放射状房へ。途中の味噌醤油蔵や漬物庫をショートカットすることで時短に繋げます。

出典:野田サトル、ゴールデンカムイ(集英社) 13巻

漫画で見たまんまじゃん!(再)
すごく効率的な作りですよね、全体をぱっと見通せるだけじゃなく、なにかあった時にも駆けつけやすいし。

舎房のひとつ。採光窓が大きくひらいていて結構明るい。見学する前はもっと暗くて恐ろしい雰囲気を想像していたんですが、居住性も考えられているんだなと見てとれます。
床面はレンガ作りなので、SPD-SLシューズで歩いていても安心です。

ほとんどが雑居房(数人で入る)の形ですが、懲罰用の独居房も設けられていたそうです。

唐突に座るマネキン。なんとなく独居房(個室)のほうが過ごしやすいんじゃと思ってしまう。(きっと色々制約があるんだろうけど。)

シ、シライシ……!のモデルになった昭和の脱獄王・白鳥由栄だそうです。この展示はシャレではなく本物も天窓を突き破って脱出したそうですが、実際に現地を見てみるとかなり天井が高く「オリンピック選手かよ」という感想しか出てきません。

出典:野田サトル、ゴールデンカムイ(集英社) 13巻

誰か立ってるな、と思ったらこれもマネキン。
ちなみにこの廊下のど真ん中を通っているパイプは、暖房の排気パイプだそうです。冬に極寒の舎房を暖めるために不公平にならないよう慎重に配置されて使われたんだそうで、そういう不公平さの是正(をしようとする姿勢)って極限環境だと重要ですよね。


4.サイクリング再開!気になるタイムは?

舎房で時間を使いすぎたので、残る施設を巻いて見ていきます。浴場、レンガ造り独居房へ小走り。

レンガ造り独房は解説の通り本当に窓ひとつなく、こんなところに長時間閉じ込められたら発狂するんじゃないかと思います。

明治時代の監獄の規則には、規則違反者を窓の無い真っ暗な部屋に閉じこめ、食事を減らし、反省させるという厳しい罰則があり、この独居房も当時の規則に合わせて建てられたものと考えられています。

https://www.kangoku.jp/exhibition_facility_rengadukuri_dokkyobou.html

たまたま同じタイミングで親子連れが近くにいたんですが、男の子がふざけて扉をしめられそうになって大泣きしていたのが印象的でした。かわいそうに。

最後のスポットは、和洋折衷の意匠が目を引く教誨堂(きょうかいどう)。刑務官や宗教者(神父・牧師など)が「教えを説く」ための場所だそうで、中は大きなホールになっています。(痛恨の写真撮り忘れ。)
ゴールデンカムイでは14巻で土方歳三が暴れまわっていた場所ですね。

さてさて、ぐるっとまわって監獄入り口に戻ってきました。
気になるタイムは……53分!1時間以内の見学達成です!

終わってみると意外に余裕のある数字でしたね。今回立ち寄らなかった建物としては、多くの映像展示がある監獄歴史館やもうひとつの舎房である二見ヶ岡刑務支所、受刑者の食事が体験できる「監獄食堂」などなど大物が残っているので、そこまで含めてしっかり見て回ると確かに2時間いっちゃいそうだなーと思いました。

この後のサイクリングの様子は「自転車で世界遺産・知床に行って地平線を見よう(前編)」をご覧いただければと思いますが、数々の絶景を見たあと無事に美味しい夕食にありついて、オホーツク海に沈む真っ赤な夕陽を見ることができました。

サイクリングは走るばかりじゃなく、社会科見学とあわせると一粒で二度も三度も美味しい・・・かもしれません。

博物館 網走監獄
住所
〒099-2421 北海道網走市呼人1−1
開館時間
9:00 - 17:00 ※ 入館受付16時まで ※休館日 12/31・1/1
入館料金
大人1,500円、高校生1,000円、小中学生750円
団体割引20名様以上 2割引、福祉料金750円、網走市民割引2割引
インターネット割引券10%OFF
https://www.kangoku.jp/basic_information.html

明日はぐっち@ポタリスト二段さんの「相棒と都民」です。


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