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自転車で世界遺産・知床に行って地平線を見よう(前編)

3年ぶりに自転車で北海道を走ってきました。「そんなに期間あいてないじゃん」と思うかもしれませんが、やっぱり夏になると無性に北海道を走りたくなるわけですよ。なんでしょうね、中毒性がある。夏の北海道には脳の中枢を刺激する何かがあるのかもしれません。

今回走ったのは、2005年に世界自然遺産に登録された知床エリア。エゾシカやアザラシ、オジロワシ、キタキツネやヒグマが高密度で生息している最果ての地です。「あまりに環境が厳しいため、開拓団が2度も引き上げてしまった」という逸話が示す通り、大自然にあふれていました。

走行ルート

網走・知床 自転車ツーリング - Ride with GPS + Relive

網走近くの女満別空港をスタートしてオホーツク海沿いをひたすら東進したら、知床半島・ウトロ温泉に宿泊。翌日は知床峠を越えて国後島を左手に見ながら南下、最後は中標津空港でゴールというこのルート。

メインの目的は知床の自然を味わうことですが、網走監獄見学で明治ロマンに触れ、それぞれの町で海の幸を食い倒れ、オホーツク海に沈む夕陽に圧倒され、知床に湧く温泉に癒やされ、ネイチャーウォッチングだけじゃない楽しさ満載に仕上がっています。

前編は女満別空港・網走から知床・ウトロ温泉まで走ります!


1. 最果ての監獄と回っても美味しいお寿司

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羽田から飛行機で2時間弱、北海道・女満別空港に降り立ちました。真夏なのに気温は24度、東京が35度近い気温で茹で上がっていたのを考えると「さすが道東」という感じ。時おり陽がさす程度の薄曇りなので自転車で走るのには最適です。

浮足立ちながらさっそく北の大地を走り出した・・・んですが、空港出口から5分ほど走ったところで思わず急停車。なんと道路沿いに満開のヒマワリ畑が広がっていました。

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降り立って5分で絶景。
ここに来るまで知らなかったので完全に偶然なんですが、46万本のヒマワリが咲く「飛行機と一緒に見られるヒマワリ畑」として有名なんだそうです。

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嬉しいサプライズのあとは、ゆるっと北へ走って最初の目的地である網走監獄へ向かいます。空港からだと網走の市街地よりも近く、30分ほどで到着。

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こういう駐輪場・自転車ラックはロードバイクでも楽に止められるのでありがたいですね。奥にバイクラックっぽいものもあったんですが、高さが低すぎて吊るせなかったのでスルー。

kangoku.jpってすごいドメインだな。

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昔は映画、最近はゴールデンカムイのおかげでめちゃくちゃ有名な網走監獄。明治時代に作られた近代監獄を公園のような形で保存、博物館として公開しています。当時の囚人の暮らしだけでなく、囚人による北海道開拓の歴史がつまっています。

たっぷり1時間は見学したので切り出して別の記事にしようと思っていますが、せっかくなので中の写真を少しだけ公開。

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冬はマイナス10~20度にも達する地の果て。流氷という知識がないであろう当時の囚人たちは、刑務をしながら「海が凍る」様子を見て何を思ったんでしょうか。


歴史に思いを馳せたあとは、網走市街でランチタイム。以前このへんを旅行した人にオススメされた鮨ダイニング月さんへ。

こちらは地元のお寿司屋さんが業容拡大で開いたお店だそうで、地元の魚を食べられる回転寿司です。「北海道の回転寿司にハズレ無し」とよく言いますが、こちらのお店も大当たりでした。

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美味い。本当に美味い。口に入れるだけで分かるネタの新鮮さがたまらないです。特に旬のおすすめになっていたホタテとイカが絶品。
お昼前だったこともあって、空いている店内でゆっくりとお寿司を味わうことができました。


2. 北海道スケール!28kmの直線道路をひた走る

珠玉の海の幸で満腹になったところで、いよいよ本格的に走行開始です。

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自転車で走っていて内地と違うなーと思うのは、北海道は「街と街が市街地で繋がっていない」こと。内地はよほどの田舎でなければぱらぱらと人家があるんですが、北海道は街の間になにもない=補給・休憩する場所がないところが多く、トラブったとしても助けを求める先がありません。(ヘタをすると携帯も圏外だったり。)
今回のルートは知床半島エリアを除いて比較的拓かれた地域が多いですが、しっかり給水&携行食を持って走っていきます。

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まさに原野。
この濤沸湖(とうふつこ)のあたりはラムサール条約に登録された湿地帯なのですが、国内で見られる野鳥の半数近くの種が生息・もしくは渡り鳥として来訪してくるそうです。

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近くの道の駅で見かけたエゾシカ皮、一枚19000円也。布団でも干しているかのように何枚も並んでいました。自宅のリビングにいかがですか?俺は買いませんが・・・。


湿地帯を過ぎたところにあった道の駅・浜小清水には、なんとmont-bellストアが併設されていました。さすがに自転車パーツ類は売っていませんでしたがmont-bellのサイクリンググッズ・ウェアは取り扱いがあったので、自転車店の見当たらないこのエリアにあって貴重なお店だと思います。

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mont-bell店舗入り口でよく見かけるクマさん、見慣れないオプションを2つもつけて仁王立ち。

浜小清水を過ぎたら国道391号線を離れて、丘陵と広大な耕作地帯に入っていきます。

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まるで滑走路のように伸びるこの道路は「天に伸びる道」という通称がつけられていて、なんとここから先28kmもの直線になっています。規格外すぎる。だって中央線の新宿・立川間の直線より長いんですよ。

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このあたりからバイクツーリングの人も多く見かけるようになってきました。
バイクに左手でピースサイン(ヤエー!)をして向こうも返してくれると、北海道に来たなーって実感が湧いてきます。バイクはともかく、内地では自転車でヤエーしても返してくれないですからね・・・。

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離陸するんじゃないかっていうぐらい一直線に走って、反対側に到着。振り返ると西側の空がよく晴れていて、湾を挟んだ反対側の網走方面まで見通すことができました。絶景かな。

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末端にはご丁寧に撮影スポットが。クマが自撮りしとる。

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道が空に消えていくようですねー。
こちらの天に続く道は夕陽スポットとしても有名なんですが、1年に2回(秋分の日と春分の日近く)だけ「道のゆく先に夕陽が沈む」そうで、それはそれは幻想的なんだとか。

残念ながら目的地はまだ先なので夕陽の時間までは粘らず、海沿いの国道334号線を北上していきます。


3. 絶品海鮮丼とオホーツク海に沈む夕陽は赤く染まっていた

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ここからはほぼ知床半島エリア。車通りも少ない海沿いの道を走ります。

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オホーツク海と溶け合うような薄い青色の空。海が凪いでいるせいもあって、海と空の境目がなくなってしまうような錯覚を覚えます。

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カワウかな?

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しばらく走っていると道の向こうに知床連山が姿を現しました。今日の目的地、ウトロ温泉はもうすぐそこです。

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海を眺めながら走っていたところ、突然国道沿いに現れたのがオシンコシンの滝。アイヌ語で「そこにエゾマツが群生するところ」という意味だそうで、山肌から海へと滑り落ちるように滝の奔流があります。

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知床エリアは崖から海へ滝が直接流れ落ちるような地形が多いそうで、ここ以外にもフレペの滝やカムイワッカの滝などが有名だそうです。いずれも冬には凍結して大氷瀑になるというから驚き。これがぜんぶ凍るのか・・・。

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ざざっと走ってウトロ温泉の市街地に到着。おつかれさまでしたー。100kmちょいでアップダウンがほぼないのでイージーでしたね。「楽しいツーリング」をしようとするならやっぱりこれぐらいが良いですよ、15時ぐらいに目的地に着いてぐーたらするような。

チェックインの前に、本日の夕飯を食べに少しだけ集落の先まで走ります。

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こちらのお店、広く知床や羅臼などで獲れた海鮮料理を出しているんですが、なんと言っても名物は海鮮丼。3~6色まで、自分の好みの具材で丼を作ってくれるんです・・・!
実は羅臼のホッケも相当美味いと聞いていたので悩みに悩んだんですが、ここは王道の五色丼を注文。

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ほぼすべての席でオーシャンビューのうえ、なんと貸し切り状態でした。

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どん。来ました。
ウニ、ホタテ、サケ、イクラ、カニで5色。ぜんぶ知床海の幸です。

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ここまでくるともはや申し訳ないです。美味すぎる。画面の向こうにおすそ分けできないのが心苦しい。
脂のたっぷりのったサーモン、プチプチと新鮮なイクラ、絶妙な歯ごたえと甘みのホタテ、旨味の詰まったウニ、ほくほくのご飯とのハーモニーがたまらない蟹。言うことなしの優勝。眼の前の絶景オホーツク海ビューとあわせて、贅沢すぎるひと時でした。


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大満足でお店を出るとちょうど日が傾いてきていました。夕陽を見たいと思っていたので、急ぎ足で本日の宿「KIKI知床ナチュラルリゾート」さんへ。

ロードバイクを置くなら別棟の倉庫を使えます、とのことだったんですが、サドルの調整等もしたかったので輪行袋に入れて部屋に持ち込みさせていただきました。ありがとうございます。

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部屋からのながめ。ここも十分景色が良いんですが、荷物を置いて夕焼けスポットとして名高い「夕陽台の丘」に移動。

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オホーツク海、ウトロ港に沈む夕陽。美しい。
これぐらいの快晴は夏場には珍しいそうで、本当にラッキーでした。

ここからは沈んでいく夕陽と星空写真をご覧ください。

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夕陽からの星空ウォッチング、素晴らしかったです。
この夕陽台の丘には野営場(キャンプ場)や立ち寄り露天風呂があるので、夕陽や星空を眺めながらお風呂・キャンプができちゃうのは最高だと思います。帰り道にちらっと横を通ったんですが、なかなか雰囲気のあるキャンプ場でした。
昔は知床の森から押し寄せるシカが出没するキャンプ場だったらしいですが、数年前に電気柵を設置してからは比較的安全になったようです。

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ホテルに帰ったあとは温泉で1日の汗を流すという贅沢コース。知床は活火山なのでいたるところに温泉が湧いているそうですが、こちらの宿のお湯は塩化物泉でお肌に良い・湯冷めしにくいやつですね。

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お夜食。北海道って言ったらセイコーマートのホットシェフとサッポロクラシックでしょ。


そんなこんなで、網走から知床までひたすら遊び尽くした100kmでした。後半はついに野生の王国・知床半島を横断します。続く!

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