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妊娠を機に起こった私のコペルニクス的転回Ⅶーどうする産婦人科問題ー

前回までのお話
1 私のこれまでの人生における結婚・出産の意味
2 突然現実化した私の結婚
3 結婚は点ではなく,線である
4 私にとっての「結婚式」
5 そろそろ本題へ…子どもどうする問題
6  突然現実化した私の妊娠

7  どうする産婦人科問題

突然私の妊娠は現実のものとなったわけだが,妊娠が判明したら,産婦人科へ,ということはもちろん分かっている。

問題は,どの産婦人科へ行くか,だ。

恥ずかしい話,私はこれまでの人生で産婦人科へは2度しか行ったことがなかった。
1度目は,高校生の頃,寮生活のストレスから生理不順になってしまったときで,そのときはエコーをしただけで終わり。
2度目は,結婚した年に風疹が世間を騒がせており,夫と共に風疹の抗体検査へ行ったときで,そのときも血液検査をしただけで終わり。
つまり,私は「まともに」産婦人科を受診したことすらなかったのだ。
毎年,婦人科健診に行かねば…と思いつつも産婦人科のハードルはとてつもなく高かった。そう,女性なら共感してもらえる人も少なくないと思うのだが…問題は,内診だ。考えただけでも恐ろしい…というか,恥ずかしい…というか,初めて内診の存在を知ったときは,本当にそんな検査をするのか…と驚いたほどだった。

加えて,私は潰瘍性大腸炎のときの経験からかなりの病院不信になってしまっていた。
潰瘍性大腸炎のとき,結局,病名が判明したのは3つめの病院だったのだが,2つめの地元では有名な総合病院でとても嫌な思いをした。そもそも,具合が悪いうえに,さらに,医師の対応のせいで嫌な思いまでさせられるなんて最悪だし,いくら腕が良かろうと(結局,2つめの病院はすぐに変えたので,その医師の腕が良かったかどうかも分からない)信頼できない医師は嫌だ,とそのとき心底思わされた。
だから,3つめの病院は口コミを調べたりして慎重に決めたところ,腕も人柄も素晴らしい医師と出会えた。病気で不安なときに,病院へ行って安心できる,というのはとても大事なことなんだな,とそのとき思った。

さらに,私は潰瘍性大腸炎という持病があるため,いちおう「合併症妊婦」に該当する。そもそも,個人の産婦人科では診てもらえないのでは,という疑問もあった。

そういうわけで,どこの産婦人科へ行くかは,私にとって大きな問題だったため,まずは,妊娠が判明した翌々日に,潰瘍性大腸炎の主治医のもとへ行った。このときすでに,車での移動が気持ち悪くてたまらず,病院までの往復1時間がとてつもなく長く感じた。

潰瘍性大腸炎の主治医からは,再燃気味だがおそらく妊娠中にこれ以上悪化することはないと思うということ,服用している薬が胎児に影響することはないということ,膀胱炎で飲んだ薬も同じく胎児に影響しないということ(膀胱炎の薬もこの主治医から処方してもらった薬だったのだが,潰瘍性大腸炎に抗生剤は良くないため,最も軽い抗生剤を処方されていて,それが偶然にも妊娠中にも飲めるものだった)を聞いてひとまずホッとした。
一方で,再燃中は流産,早産の可能性が若干高まるとのことで,この知識は元々知っていたこともあって,やっぱり計画的に妊娠すべきだったよね…と少し後悔する気持ちもあった。
そんな複雑な気持ちになっていたのだが,帰り際に,主治医から「でも,良かったね」と言ってもらえたことで,「そっか,良かったのか」とスッと心が軽くなった。
そういえば,潰瘍性大腸炎と診断されたときに,私は,「死にませんか?」「出産はできますか?」と半泣きで聞いていたことを思い出した。それを聞いた主治医は「安倍首相元気でしょ?死なないよ」と大笑いしていた(安倍首相も若い頃から潰瘍性大腸炎を患っているらしい)。それから,「妊娠中に潰瘍性大腸炎になって無事に出産した人もいるから大丈夫だよ」と教えてくれた。もしかしたら,このときの会話を覚えてくれていたのかもしれないなぁと思った。

それから,潰瘍性大腸炎を患っているがどの産婦人科に行くべきか,ということについては,再燃気味といっても私の病状はそれほどひどくないからどこでも良いけど…と前置きしたうえで,とある大きな産婦人科と大学病院を教えてもらった。大学病院だともっとハイリスクな妊婦しか受け入れていないかも,とも言われたので,結局,産婦人科選びの際に,潰瘍性大腸炎であることはそれほど気にすることではないようだった。

診察が終わってすぐにその大きな産婦人科の口コミを調べてみた…おおむね最悪だった。もちろん,インターネット上の口コミが100%信頼できるものだとも思っていないし,感じ方はそれぞれだし,口コミが全てとは思っていなかった…が,それでも,さすがに行く気がしなかったのだ。
とりあえず,もっとじっくり調べてみよう…「じっくり」…このときは知らなかったのだ。

そう,つわりは待ってはくれないということを。

なんというタイミングだろうか,潰瘍性大腸炎の主治医を訪ねた次の日から,想像を絶するつわりとの闘いがはじまってしまったのだ。いや,闘いにすらなっていなかったのだが。

つづく

第8話はこちら⇒ 妊娠を機に起こった私のコペルニクス的転回Ⅷ-こんなに辛いなんて聞いてない-

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