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妊娠を機に起こった私のコペルニクス的転回Ⅵ-突然現実化した私の妊娠-

前回までのお話
1  私のこれまでの人生における結婚・出産の意味
2  突然現実化した私の結婚
3  結婚は点ではなく,線である
4  私にとっての「結婚式」
5  そろそろ本題へ…子どもどうする問題

6  突然現実化した私の妊娠

温泉での一件により,私の中では,後回しにしていた子どもどうする問題が一件落着し,あとは夫にそのうち話そうと呑気に構えていた。

ちなみに,夫の方はというと,一貫して,子どもが欲しいと思いつつも,授かりものだし流れに任せようというスタンスで,まだ2人でも寂しくないよね,という感じだった。ただ,結婚1年目に毎月来るべきものが遅れてきたときに,夫は浮かれてしまい(私のお腹に向かって「パパでちゅよー」などと話しかけていた),しかし,その直後にちゃんとやってきたときにはひどく落胆していた。だから,きっと,当初から私よりも子どもを望んでいたんだと思う。

そうして,温泉から10日くらい経ったころからどんどん体調が悪くなっていった。
実は,温泉に行く少し前から持病がくすぶりはじめていたのだが,それに加え,膀胱炎にもなってしまっていた。しかし,潰瘍性大腸炎でも,膀胱炎でもないような症状が出始め,薬を飲んでも治らない。また新たな別の病気かもしれない…と絶望したりもした。

そして,毎月きっちりやって来ていたものが来ていない…。まさか妊娠とかいう奇跡はないよなぁと,ふと思ったりもしたが(このときは,なぜか,一瞬,妊娠していたらどんなに良いか,と思ったのだ),この体調不良のせいで遅れているだけだと思い直した。しかも,この頃,いわゆる「妊活」なんかもしていなかったし,結婚して1年半以上妊娠する気配もなかったことから,そう簡単には妊娠しないだろうし,本気で子どもが欲しいと思ったら一度病院へ行こうと思っていた(あとで夫と打ち明け合って笑ったが,私は夫に原因が,夫は私に原因があるのではないだろうか…とお互い内心思っていた)。

それから,寝ても寝ても眠たくて,体がだるくて,さらに,船酔いのような気持ち悪さがはじまった。最初はスマホの見すぎかな,なんて思っていたのだが,ふと思い出したのだ。そう,まだ来ていないことを。夜ベッドに入ってから,眠っている夫の隣で「妊娠初期症状」と検索ワードを打ち込んだ。

うそ…当てはまってる…

そのとき,どっと不安が押し寄せてきて混乱した。いやいや,そんなことない,と思い直してスマホを置いて寝た。

しかし,それからまもなく,えずくようにまでなったのだ。

もう見て見ぬふりはできない…と,夫に「もしかして妊娠してない?」と恐る恐る聞いてみた。
夫は「俺も思ってた。でも,前に2度もこれでガッカリさせられたから今度は期待しないでおくよ」と。
妊娠していたら…と,不安な私と,(期待したにもかかわらず)妊娠していなかったら…と,不安な夫。真逆の心境だった。ただ共通していたことは「とりあえず妊娠検査薬で調べるまでは分からない」という思い。

なぜ,私がこのとき,妊娠していたらどうしよう,と妊娠を恐れたのかといえば,温泉での一件で妊娠はまだできないと思っていたこと,持病がくすぶりはじめて再燃がはじまっていたこと,持病の薬を上限まで飲んでいたこと,そればかりか,膀胱炎の薬までも飲んでいたこと,などなど…。
とにかく,完璧主義で,計画どおりに物事を進めたいタイプの私にとっては,妊娠すると思っていないときに妊娠することがとてつもなく恐ろしかったのだ。妊娠したら…なんて何一つ考えていなかったのだから,お勉強ばかりしてきた私にとっては,何も勉強していないのにいきなり試験が始まってしまうような,今でもときどき見る悪夢のようなものだった。

こんな気持ちを夫に打ち明けて号泣した。夫は,それでも,妊娠していたら嬉しいと言ってくれた。それだけでもだいぶ救われた気がした。

それから,夫は早く確かめたがっていたが,私の方はなかなか決心がつかず,しかし,そうしている間にももう明らかにつわりと思われる不調がやってきて,検査をせずとも,これは妊娠してるに違いない,というより,むしろ,これで妊娠していなかったらよほど酷い病気に違いない…と思っていた。

そして,お互い逆の意味で意を決して,ついに2020年1月27日の夜,夫が見守る中,妊娠検査に着手した。

緊張の余り最初はミスってしまったが,2回目のトライでは一瞬で結果が判明した。

結果が出る前に渡した検査薬を見ていた夫が叫んだ。

妊娠してる…‼︎‼︎

と,同時に夫と抱き合って喜んだ。涙が出てきた。

そう,直前まで妊娠していたらどうしようと泣いていた私が,今度は妊娠していたと嬉し泣きをしたのだ。

次から次に打ち寄せる感情の波に自分でもうまく対処できなかった。

つづく

第7話はこちら⇒ 妊娠を機に起こった私のコペルニクス的転回Ⅶ-どうする産婦人科問題-

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