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The Beatles 全曲解説 Vol.48 〜Can’t Buy Me Love

「愛のビートルズ」誕生の一曲 “Can’t Buy Me Love”

『A Hard Day’s Night』7曲目。
ポールの作品で、リードボーカルもポールが務めます。

アルバムA面最後の曲で、同名映画使用曲でも最後の登場です。
ポールがここへ来て、 “All My Loving” 級のホームランを放っています!
ジョンより曲数では劣るとは言え、決してやっつけ仕事をしないポールの姿勢が窺えます。

この曲はアルバム先行シングルとして、1964年3月に発売されました。
アメリカでも発売され、ビルボード5週連続1位を獲得しています。

ちなみに、アメリカではビートルズが紹介されたばかりで、先にイギリスでヒットしたシングルが矢継ぎ早に発売され、ヒットシングルの大渋滞が起こります。
その結果、1964年4月4日のビルボードチャートでは、1位から5位までをビートルズが独占するという、とんでもない現象も起こりました。

その5枚のシングルの頂点に立ったのが、この “Can’t Buy Me Love” だったんです。
※ちなみに、2位以下は “Twist And Shout”“She Loves You”“I Want To Hold Your Hand”“Please Please Me” の順でした。

いくら新曲とはいえ、当時のアメリカでは既発シングルの多くを知らない人も多かったはず。
こんな化け物級の4曲を抑えてのナンバーワンは、やはりただごとではありません。

この曲の意義はやはり、「ビートルズが“愛”について歌うグループだ」というイメージを初めて打ち出した楽曲である、ということではないでしょうか。

先のチャートの4曲を初め、これまでの楽曲で歌われていたのはあくまで「若者の恋愛」にとどまっていました。
この曲ではそこからもう一歩踏み込んで、自分たちが「愛そのもの」についてどう捉えているのかを歌っています。

オープニングとエンディング、更にはサビで「♪Can’t buy me love〜」としつこいまでに繰り返す部分に、ポールの決意まで見えるようです。

「君が望むならダイヤの指輪でも何でも買ってあげられるけど、それでも君には『指輪なんて要らない』と言って欲しい。だって愛はお金じゃ買えないから。」というのが歌詞の大意です。

一気に世界のバンドへ成長し、信じられないぐらいの収入を得たビートルズ。
とはいえ、物質的な成功を完全に手中に収めた中で、それでも手に入らないもの・交換できないものがある、ということを思い始めた時期だったのではないでしょうか。

特にポールは、メンバーの中でも特にセレブ達との交際に熱心だったことは既に触れました。
当時のビートルズの中でも、いち早く物質的豊かさを超えたものへ思いが至ったのは、ジョンよりもポールの方が早かったのかもしれません。

世界中を繋げて「愛」のメッセージを発信していくこととなるビートルズ。
“Can’t Buy Me Love” は、そんな「愛」への眼差しの「最初の気付き」と位置付けられる楽曲です。

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