The Beatles 全曲解説 Vol.23 〜All My Loving
ジョンも唸った!未だ現役曲 “All My Loving”
『With The Beatles』3曲目。
ポール単独による作品で、リードボーカルもポールです。
“I Saw Her Standing There” 以来となる、初期ポールの代表作の登場です!
タイトルがまず秀逸ですよね。
普通人間はこんなタイトルつけません(笑)
普通の人間なら “All My Love” とつけるところを、あえて進行形の “Loving” とする事で、相手への想いの強さを際立たせていますね。
さらに曲順もニクイです。
前曲 “All I’ve Got To Do” に続いて、連続で “All” から始まる曲を並べていること。
加えて、前曲の主題が「電話」であるのに対して、こちらでは「手紙」がモチーフになっています。
ジョン×ポールの対になる楽曲を並べることで、アルバムの一体感もグッと増しますよね。
コレはジョージ・マーティンの流石の軽業です。
楽曲を特徴づけているのは、なんといってもジョンのギターです。
4拍子の曲ですが、「♪タタタ・タタタ・タタタ・タタタ」「♪タタタ・タタタ・タタタ・タ」と、間奏以外の全編通じて、三連符で刻まれているのが特徴です。
これをライブで再現するのは結構難しいようで、ライブではギターに集中するため、ジョンはコーラスに参加しません。
そのため、間奏後のコーラスはポールとジョージで担当するのですが、ライブではジョージが主旋律、ポールが高いパートを歌っているものが聴けます。
ジョージの声域の問題からということなのですが、のちにポールが主旋を歌っているライブ演奏と聴き比べても、曲の盛り上がりのパワーが段違いに聴こえます。
さらに曲の終わり、ギターやドラムのクラッシュシンバルで「ジャーン」と派手に終わるのではなく、ベースの一音で潔く終わる部分もカッコいい。
曲が完成した時、ジョンは改めてポールの作曲能力に感嘆したのだとか。
当時はまだまだジョンがバンドを引っ張っていた時代。「そのうち追いつかれるかも…」という危機感はここから生まれたのかもしれません。
補足情報: 現在でもライブで現役!
“All My Loving” は、現在でもポールのライブには欠かせないレパートリーとなっています。
非公式動画ですがこちらをどうぞ。
間奏部分で泣いているおじさんのカットがありますが、コメントによると、亡くなった奥さんのお気に入りがこの曲だったのだとか。
半世紀を過ぎても、世界中の人々の “Loving” を乗せて響く名曲です。
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