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The Beatles 全曲解説 Vol.73 〜You’ve Got To Hide Your Love Away

「フォークロック」から「ビートルズ風フォーク」の追求へ “You’ve Got To Hide Your Love Away”

『Help!』3曲目。
ジョンの作品で、リードボーカルもジョンが務めます。
映画では、冒頭部分で4人がお洒落な部屋で演奏する場面で使用されています。
虚無の表情でタンバリンを叩くリンゴが面白いです。

前作『Beatles For Sale』の流れを汲んで、ジョンがボブ・ディランの作風を目指した作品です。

『Beatles For Sale』収録作品でディランの作風を目指した楽曲は、アコースティックな音が目立ちつつもしっかりエレキ音も入っていたりと、フォークとロックの融合が見られました。

この曲では、それをさらに発展させ、「ビートルズ風フォーク」とでも言えそうな作風が目指されています。
エレキ音は一切除かれましたが、ブラシを使用したスネアにマラカス、タンバリンと、多彩なパーカッションにポップな香りが漂います

そして、有名な話ではありますが、この曲ではじわりと新たな取り組みがなされています。
それは、外部ミュージシャンの起用です。

エンディングでフルートの音が聴こえてきますが、こちらはジョン・スコットというミュージシャンが演奏したものです。
低音と中音のふたつのパートに分けて録音されたそうで、この分厚い音が曲のスケール感を一気にアップさせているように聴こえます

過去にはドラムに代役を起用したり、ジョージ・マーティンがピアノの演奏をしたりということはありました。
しかし、この曲のように、ビートルズメンバーでは出せない音を専門のミュージシャンが手伝うというケースは初めてです。

ディランの作風を目指しつつも、あくまで「ビートルズの音」を追求した結果がよく現れた楽曲です。
もしもう少し前にこの曲が出来ていたら、エンディングはフルートではなく、お馴染みのハーモニカになっていたかもしれませんね。

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