見出し画像

The Beatles 全曲解説 Vol.72 〜The Night Before

変則編成でライブ演奏にも変化が “The Night Before”

『Help!』2曲目。
ポールの作品で、リードボーカルもポールが務めます。
映画では、なぜか陸軍に警備されながら野原で演奏する場面に使用されています。

前曲 “Help!” で内面を赤裸々に晒したジョンでしたが、ポールはあくまでメロディアスなラブソングにこだわる様子が伺えます。

とはいえ、ここではバラード調とも「黒ポール」唱法とも違う、それらの中間のような力強いボーカルを聴かせてくれます。
変幻自在のボーカルスタイルが、良い意味まだまだ開拓途上であることがわかりますね。

歌詞の主題に時系列を置いている点も、ポールが独自の詩作の視点を模索している様子を見ることができます。
この視点は、本アルバム収録のあの大名曲にも応用されることになります

そんなこの曲の特徴は、後に多用される変則編成の走りが見られるということです。
すなわち、これまでのような「ギター2本、ベース&ドラムス」という基本編成だけでなく、メンバーが他の楽器を担当することが増え始めます。

まず、ジョンはこの曲ではギターを置き、エレクトリックピアノを演奏します
このフォーメーションはレコーディングだけでなく、ライブ映像でもいくつかの曲で見ることができます
ジョージ・マーティンの手を借りずに鍵盤楽器を演奏するようになった訳ですね。

次に、ポールが間奏で、ジョージと一緒にリードギターを演奏しています
ベースのメロディアスな演奏に飽き足らず、ここへ来てついにポールのギタープレイが登場します。
この曲以降、ポールはいくつかの曲で見事なギターソロを披露して、ジョージを大いに焦らせることになります

変則編成が増えるということは、曲の表現の幅が増えるということ。
音楽性の一気の開花の前夜、そんな雰囲気が楽しめる楽曲です。

#音楽 #音楽コラム #洋楽 #洋楽コラム #名曲 #名曲コラム #名盤 #ロック #エッセイ #ビートルズ #全曲解説 #スキしてみて #おうち時間を工夫で楽しく

この記事が参加している募集

スキしてみて

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?