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第5回「N論」レポート。プロテニスプレイヤー西岡良仁との生トーク(前編)

こんにちは!N論で事務局をやっているファンファンラーニング 株式会社代表の山中裕斗です。

「若者たちが夢に向かって羽ばたく場を作りたい」「それも既存の枠にとらわれない自由で新しいスタイルで」という西岡良仁選手の思いに共感したファンファンラーニング 株式会社とミントフラッグ 株式会社、三者がボランティアで実施しています。

『N論』は、今回で5回目。
今回は事前告知通り、西岡選手と「1時間ガッツリ生トーク!」ということで、参加者を20名に限定して11月21日(土)に開催いたしました。
本レポートではその様子を出来るだけ臨場感を残す形でお伝えいたします!

ファンファンラーニング山中(以下、MC山中) それでは時間になりましたので、西岡さんを拍手でお迎えください。
西岡さん、入場をお願いします。入れるかな。聞こえるかな。

西岡 こんばんは。西岡です。
前回はフランスから参加しましたが、今日は三重県の実家からです(笑)

MC山中 本日はよろしくお願いします。今回は西岡さんから主旨を変えてやってみたいとリクエストを頂きましたので、参加者を約20名という小人数に絞らせて頂きました。
これまでのN論は毎回100名以上の方々に参加頂いてましたが、よかったら小人数開催となった背景を教えてください。

西岡 はい。これまでもイベントに出演する機会を多く頂いてきたのですが、大勢に対して話すイベントはたくさんあるけど、個人個人に対してしっかりと向き合い語れるイベントはとても少なく、個人に対してしっかりと向き合いコミュニケーション取ってみたいという想いがありました。
そこで僕としては今日はなるべく密に話したいとリクエストをさせて頂き、めちゃくちゃ人数減らしてイベントを開かせて頂きました。

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MC山中 なるほど。ありがとうございます。それでは早速始めたいと思います。最初は事前募集した西岡さんに聞きたい事のトップ3を紹介します。
一番多かった質問は、前回のN論でもやりました『メンタル』でした。
次が『戦略や戦術、試合の組み立て方』になります。
そして3番目が『コンディショニング』に関する質問でした。
ほかには、フォアを改善したいなど『テクニックに関する質問』もありました。
今日はなるべく生のやり取りをしていくことに時間を割きたいと思いますが、質問が多かった項目については、私から紹介し西岡さんに回答してもらう形から始めさせてください。

それでは一番多かったメンタル関連の質問から伺います。
メンタル関連でも一番多かったのは『試合で力が発揮できない』でした。
練習では出来るけど、試合になると出来なくなり勝てないという参加者が多いみたいですね。

西岡 それではこの質問をしてくれた参加者の中からウチダ君に話を伺ってみましょう。こんばんは。はじめまして。
練習と試合で、プレーが変わっちゃったり、うまくいかないとのことですが、自分なりに何が原因だと思いますか?
なぜ練習ではうまくいくのに、試合ではうまくいかないのかな?

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ウチダ やっぱり練習と試合では緊張感が違い、やはり試合では緊張が強くなり力が出し切れないってことが多くあります。

西岡 なるほどね。確かに緊張感は試合のほうがありますね。もちろん僕も緊張するし、勝たないといけないプレッシャーがかなりありますが、このような緊張感を練習の中でいかに作っていけるかが鍵になります。
練習時に緊張して、あまりトライできないのもよくないけど、練習時に試合中の場面をちゃんとイメージできるかどうかが大切。
ライバルと対戦した時、勝つためにはどうすればいいのかをイメージする。フォアハンドを打ったらどう返ってくるのか?このコースに打たないといけないとか、もっと強く打つとか。具体的にイメージをすることで、練習が試合に近づく。
練習のために練習をするんじゃなくて、試合で勝つために練習をする。
僕はこれがすごく大事だと思っていて、このイメージ力を持って練習をすることで結果が変わってくると思います。

MC山中 ウチダ君は中学1年生ですね。ありがとうございました。

西岡 練習が上手な選手を我々は「練プロ」と呼んでいるのですが、プロでも練習の方が上手い選手がいるんですよね。
ただ本当に強い選手は、試合の方が強いんで練習は逆に下手だったりします。うまくモードを切り替えられる選手が強い選手かと思います。

MC山中 次の質問は、試合の組み立て方。「試合でどこまで先をイメージしていますか?」という質問です。

西岡 プロの試合は3セットあるので、みんなの試合より長いのですが、勝つためにどうしたいかは、最後の最後まで頭の中で描いてます。
対戦相手の好きなプレーは、1ゲーム目から見えてくるので、返せるのにワザと返さなかったり、自分がセットを落としたくない終盤のタイミングまで取れないフリをしたりする事もあります。
このように僕は、序盤から終盤のことも結構考えながらプレーをしているのですが、質問をくれたサトウさんはどうしているのかな?

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サトウ 3ポイント連続で取れるように意識し、攻めのプレイを心掛けています。

西岡 なるほど。自分自身のプレイスタイルがアグレッシブであれば、その心構えはめちゃくちゃ大事だと思います。テニスは連続してポイントを取っていくことが大切で、それによって流れも変わってくるので、とても重要ですね。僕はその意識がなかったので真似します(笑)
ありがとうございました。

MC山中 次はキャリアに関しての相談になります。今日の参加者にも明確にプロになりたいとい目標を持っている方が二人います。さっきのウチダ君に話を聞いてみましょう。
何故、プロになりたいと思っているのでしょうか?

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ウチダ テニスが好きだからプロになりたいと思いました。

西岡 なるほどなるほど。テニスが好きというのは、めちゃくちゃ大事なことだと思うし、強くなる要素の一つでもあると思います。
プロには、ある程度の成績があって申請を出せばなれるのですが、(なったあとは)厳しい世界です。
「テニスが好き」は大事な要素の1つだけど、これだけじゃ勝てないし、試合で勝てないとお金ももらえないし、お金をもらえないと食べていけないし生活も出来ない。
色々なものを犠牲にしながら、強くなるための努力をしていくことがめちゃくちゃ大事。
でも、たくさん努力したから強くなれるっていうわけでもない。
たくさん努力したから勝てるって訳でもないのが、すごく残酷なところなんだけども、自分が頑張ったと思っていても、他の人がもっと頑張っていたりとか、うまくいかなくて勝てない時期が続くとか、何かやるせない時期、何かモヤモヤする時期は絶対あります。
僕は今でも年に2、3回、このような時期が来るのですが、だからといって努力は良くないという話じゃなく、強くなるための努力は絶対必要
(強くなるための努力を)やらないと強くなれないけど、やったから強くなるわけではない。やれたら強くなれる可能性が高くなる。
そしてそこから本当に一握りの人たちが強くなっていくっていう感じ。

プロになることはめちゃくちゃ応援したいので、ちょっと厳し目のことを言ってしまいましたが、それでも俺は強くなるんだ、厳しい世界だけど俺は強くなるんだ、という気持ちで頑張ってください。

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MC山中 なんか素敵ですよね。応募フォームに「プロになりたい」とはっきり書くことってなかなかできないんじゃないかなと思うんですよね。でもそれができるウチダくんはすごく素敵です。頑張ってください!

西岡 それでは、今のところプロ以外の道を選択している参加者にも話を聞いてみましょう。誰がいいかな。そうですね。イワサキくんに聞いてみましょう。こんばんは。
今現在はプロにはなるつもりはない感じですか?

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イワサキ こんばんは。「なりたい」のと「なれないのでは」という半分半分の気持ちです。環境面とか金銭面の課題もありますし、あとは勉強もちゃんとやりたいなと思っています。もう少し実力があれば上を望んでもいいのですが、難しいなと思っています。

西岡 テニスだけじゃなく、僕にはなかった勉強という要素が詰まってるわけですね(笑)。もし自分がプロになれるレベルに達しているとしたら、プロにはなりたいですか?

イワサキ もちろんです。

西岡 なるほど。僕の個人的な考えは、このイベントをやってるからといって参加してくれた全員にプロになってほしいというわけじゃないんですよね。
僕は純粋にテニス好きでいてほしいし、プロを目指したい子がいるんだったら僕はもちろん応援するし、テニスは好きだけど違う道を考えてるでももちろんいいし、プロテニスプレイヤーだけが道じゃないことをみんなにも知っておいて欲しい。
ただし、プロに挑戦するタイミングというには若い時しかなくて、30歳とかになってから今からプロに挑戦しようというのはすごい難しいよね。

もちろんこの選択は、自分自身でするんだけども、僕がめちゃくちゃ伝えたいのは、絶対に自分が後悔しない選択をしてほしい。
心からテニスをやりたいと思っているのであれば、それはもちろんやった方がいいと思うし、生活のこととか考えて違う道で頑張りたいって思うんだったら、それもちゃんと成功するほど頑張るべきだと思う。自分の中でやりたいことがあるのであれば、絶対にそれを貫いてほしい。
これはみんなにも当てはまることで、自分の心に聞いて後悔しない選択をしてほしいと思います。

MC山中 ここで、みんなに聞いてみたいと思います。
「プロテニスプレイヤーになれるならなりたいよ」と思っている人は、どれぐらいいますか?

西岡 手を挙げてください。半分以上かな。なるほど。もちろん現実を見ることは大事で、現実を見ないでずっと追いかけ続けているのは、それは違うと思うんですけども、まだみんなまだ若いから、何あるかわからないですよ。
それこそ例をあげると、現在世界4位のダニール・メドベデフ。
彼とはジュニア時代、17歳ぐらいの時に試合をしたのですが、その時の印象は滅茶苦茶弱い選手でした。しかし数年後、気付いたらすごいランキング上位にいました。
みんなの年代は成長過程にあるので、僕の気持ちとしては、やりたいことをやれるときに思い切りやってほしい。
全力でやってみて無理だと思ったら、そこはスパッと諦めるっていうのが正しいのかなと思います。
何か思い切ってやってみて、やりきって駄目だったら、もちろんそれはもう駄目なので、そこはしっかりと現実を見るっていうのも、大切かなと。
もちろん難しい選択だとは思いますし、いろんなものを重なりながら選択しないといけないので大変だと思うけど、本当に悔いのない決断というものを、みんなが取ってほしいと思います。

後編へ続く

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