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第5回「N論」レポート。プロテニスプレイヤー西岡良仁との生トーク(後編)

「若者たちが夢に向かって羽ばたく場を作りたい」「それも既存の枠にとらわれない自由で新しいスタイルで」という西岡選手の思いから始まった『N論』は、今回で5回目。
今回は事前告知通り、西岡選手と「1時間ガッツリ生トーク!」ということで、参加者を20名に限定して11月21日(土)に開催いたしました。
本レポートではその様子を出来るだけ臨場感を残す形でお伝えいたします。
(前編はこちらから)

MC山中 西岡さんの話を伺って、聞きたいことが浮かんだ方はいますか?

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西岡 今の話と全く関係なくても大丈夫です。それではヤマモトくん。

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ヤマモト 僕は緊張に耐えられないタイプで、試合のいい場面でミスをしてしまうのですが、ミスをした後の気持ちの切り替え方を教えてください。

西岡 正直なところ、みんなはこれから強くなっていく段階だし、まだまだ完璧じゃないので、ミスをしても気にしなくていいと思う。
もちろんみんなの理想の中で、「ジョコビッチぐらいミスしないイメージ持ちたいっす」とか思うかもしれないけど、彼らも練習でミスしてミスしてミスして、試合中もいっぱいミスして、その中で学んで、そして完璧なプレイができるようなっていったので、僕はまだヤマモトくんがミスして落ち込むっていうほどの領域には到達してないと思います。

僕は、ミスをしたら何でミスしたのかなをちゃんと考えることがまず大事で、落ち込むという感情よりも、次こそは成功させようとか、今のこんな感じだったから、次はこうしよう、そしたら入るかもしれない、そういう風に自分の中で考えていって正解を見つけようとする事の方が大事だと思う。
自分の体にも、それが正しかったっていうのを繰り返すことで覚えていくので、今はたくさん失敗して、どんどん正解を体に教え込んでいく段階。正直そこまでプレッシャーは感じなくていいと思います。

MC山中 西岡さんがジュニア時代に気を付けていたことは何ですか?

西岡 僕はちょっと変わっていたのかも知れませんが、練習の時から何で自分がミスをするのかが理解できなかったのです。
相手にエースを獲られるなどはどうでもよくて、なんで自分がアウトしたりネットしたりするんだろうなっていうことにイライラしていました。だからプレイスタイルも、絶対にミスしないテニスみたいになっていきました。

MC山中 なるほど。ありがとうございます。それでは次にいきたいと思います。

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アオキ 自分のイメージとプレイが違っていたり、実際にやってみると思い通りにいかないときは、どのように修正をしていきますか?

西岡 まずイメージ通り動けないっていうのは、まだ自分の体を思い通りに動かせてない段階なのね。プロはそれこそ2週間練習しなくても、ミスをしないでボールを打てます。これは繰り返し繰り返し反復練習して、もう体がどう打ったら入るっていうのを完全に理解しているからです。イメージ通りにやるっていうのはすごい難しいし、イメージ通りに出来ないのは当然なので、10回のうち1回うまくいったら、その1回のプレイをひたすら反復練習して体に染み込ませていく。
テニスはプロになるために1万時間以上の練習を要すると言われており、簡単ではないスポーツなんだけど、めげずに根気よく練習し続けることが大切です。
もっともっとトライし続けて、失敗して、たまに成功して、その成功をどんどん増やしていく。成功体験が増えることによって、自分の中で正解が導き出されていくっていう、この流れは継続していってほしい。そしたら必ずどこかでいいものが見つかると思います。

MC山中 今日は「失敗」というキーワードがたくさん出てきていますが、今日の試合は「攻め」でいくとか、「守り」でいくとか、試合に臨むスタンスがあってこそ判断できるところがあるかと思います。
以前のN論でも、西岡さんは練習でとにかくたくさん失敗しろということを言っていましたが、練習でも試合でも今日はこれでいくという「決め」が大切なのでしょうか?

西岡 やるべきことを明確にしておくことはとても大事ですし、僕も含めてみんな発展途中なので失敗するのは当然なんです。
今うまくいってないことなんて、みんなが思ってる以上に、たいしたことじゃないっていうのをみんなが知っていてほしいと思う。
逆に今の年齢だからこそ失敗できるのです。

MC山中 テニス経験者ではない自分がいうのもヘンですが、プロに挑戦してみるという事もアリでしょうか?

西岡 いいと思いますが、「やり切ること」を決めて挑戦してほしいですね。中途半端にやるんだったらやんなくていいです。
やるんだったら、やると決めて、ここまではやりきるって決めた所までは、しっかりやりきる。
これはテニス選手以外でも共通して言えることで、決めたことを途中で止めるのであれば、最初からやらない方がいいですね。

MC山中 西岡さんからのアドバイスを受けて、勇気付けられた方がたくさんいらっしゃるんじゃないかなと想像してます。ありがとうございます。
ナカイさんが手を挙げてますね。
それでは、ナカイさん。

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ナカイ 今、高校二年なんですが、テニスをこれから続けるかどうかや今後の進路について迷っていますのでアドバイスを頂きたいです。

西岡 個人的にはテニスを続けてほしいっていうのはあります。
ただリアルなことを言うと、高校生の後半は、社会が見えてくるすごい難しい時期なので、ここでの決断がとても大事な選択になってくる。
その選択に対するアドバイスは周囲ができるけど、決断は自分ですること
やりたい事を見つけられないんだったら、その間に色々なことをやってみるのは、そこから好きなものが見つかる可能性もあるのでとてもいいことだし、今のうちしかできない一つだと思います。
またナカイさんの年齢は、いろんなことを吸収しやすい年代なので、なにか新しいものを発見したとき、惹かれるものがあればそれをやればいいと思うし、何も見つからないんだったら見つけることが最優先だと思う。

個人的にテニスを続けてほしいと思うのは、テニスはとても良いコミュニティになります。少なくても二人以上でしか出来ないスポーツなので、確実にテニスをやっていれば誰かと繋がれるんですね。
また38歳で弁護士資格を取れなかった知り合いが、周りがどんどん試験に受かりキャリアを積み重ねていく中、テニスを続けていたことがストレス解消となったり、知り合いの僕が、170cmしかない選手としては小さい僕が、2m級の選手相手に頑張っている姿が励みになったとも聞きました。
なので個人的には続けてくれたら嬉しいなと思います。
大変な時期だと思うけれども、悔いのない選択をしてください。

MC山中 私は英語の会社を経営しているので、英語ができたら、そのコミュニティだとか人との繋がりが、もっともっと世界中に拡がるかと思うのですが、テニスもできて英語もできるからこそ拡がることはありますか?

西岡 テニスをやってなくても英語を話せるだけで、海外での繋がりは拡がっていくじゃないですか。
英語を話せる人は世界中にいて、英語を話せれば色々な国で、ある程度コミュニケーションがとれる。またこれから更に国際化が進んでいく中で、語学の重要性を痛感することになると思います。
学んでおけばよかったなって思うんだったら、今のうちに勉強しておいたほうがいいと思います。

僕は小さい頃からテニスで少しずつ海外に行く機会があったので、英語の必要性を感じていたのですが、実際12歳の頃に海外に行ったときは全く話せなくて、身振りからスタートしました。
15歳の時に1年間通じてずっとアメリカに行くようになったときも、正直全く話せなかったです。
それでも話せるようになったのは、コミュニケーションを取ることに重点をおいていったら、徐々に話せるようになりました。そして話せるようになったら海外に行くことも怖くなくなりました。
個人的に英語は座学より話すことを中心に実践のほうがいいとかなと思います。

MC山中 参加者のみんなはテニスという武器がある上である中で、さらに英語ができれば、外国人の友達もできるし、世界がどんどん広がっていくと思いますね。
ちょっとここで、自分の会社の紹介をさせてください。
日本にいながらにして、西岡さんがおっしゃってた「実践」。どんどん英語を喋っていく場を提供する「マグナパーティー」というサービスをうちでは提供しています。
マグナパーティー」は毎回、世界の違う場所を外国人とチームメンバーでグループを組んで英語で会話をしながら冒険するオンラインサービスです。
多分ここに来てくれてるみんなは、すごく興味を持ってくれるんじゃないかなと思いますので、あとでリンク先をみて頂けたら嬉しいなと思います。

サトウ 1つ質問をさせてください。強い人と上手い人の差はなんでしょうか?

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西岡 強い人は、勝ちたいと思ってる人。上手い人はテニスが強くなりたいと思ってる人。
ちょっと抽象的だからわかりにくいかもしれないけども、本当に勝ちたい人は、打ち方とかプレーとかは、どうでもよくて、ひたすらに勝ちたいと頑張っている人。がむしゃらにやってる。
でも上手い人っていうのは、テニスはすごい綺麗で上手いけど、勝ちたいという部分に執着していない。それがかなり大きな差になる。

シゲマツ 質問が3つあります。1つ目は、一度勝った選手に次の試合で負けることは、何故なのか? 自分たちのレベルでは殆どこのようなことはないので、伺っています。
2つ目は、プロの中では身長が低い西岡選手が、サービスゲームのなかでどのようにポイントを獲ろうとしているかということ。
3つ目は、ガチガチに緊張した時の気持ちの切り替え方です。

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西岡 わかりました。スパンスパンと答えていきます。
1つ目は、プロの世界で100位を超えた順位になってくると、ほとんどレベルが変わらなくなります。勝敗を分けるのは、経験の差であったり、本当にちょっとした部分だったりするので、競り合いになります。
なので1セット目は簡単に取られたのに、2セット目は逆に簡単に取るなど、こういう現象が起きる。一部を除いてそれだけ実力が均衡しているのがプロの世界です。

2つ目の質問、サービスゲームに関しては、コースをどう狙うかをめちゃくちゃ重要視してます。
というのも、ワイドサーブばかり打っていたら、そこが狙われて返されるから、どうやっていつタイミング良く相手の打ちにくい所を狙うか、もしくはどうボールを散らしていくか、を常に考えています。
あと僕がめっちゃ考えてるのは、どうやって相手のラケットのスイートスポットから外してリターンをさせるか。基本的にはリターンが返ってくることを前提で考えているので、3球目を自分が主導権握れるようなボールにどうやってできるかを考えてます。

3つ目、緊張に関しては、正直言うと僕はそういう経験が非常に少ないです。何故少ないかというと、僕は、勝ちたいことは前提にありながらもやることをやって負けたなら仕方ないというふうに考えているのと、自分はできるという意味のないよくわからん自信を持っている。
というのが僕の中では結構大きな緊張しない要因になってるかなと思います。

そして、この根拠のない自信は、練習ではなく試合で身につけたと思っています。調子が悪くても勝ったりしたときに、こんな自分でも自分は勝てる能力があるという、悪いながらにでも成功体験をすることによって、自分はこういう状況でもいけるっていうのを思えるようなる。

シゲマツ ありがとうございます。最後に試合を控えているので、メッセージを頂けますか?

西岡 自分はどう思ってるかわからんけども、絶対勝てると思って臨んで欲しいし、結果がどうであれ、確実に勝とうと臨んでいくことが確実に次の試合に繋がってくるんで、自分の心の底から「この大会では優勝しに来ました」ぐらいの気持ちでやってほしい。

MC山中 ありがとうございました。イワサキくんが手を挙げてますね。

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イワサキ 格上選手と試合する時の心構えと、西岡さんのルーティンを教えてください。

西岡 まずルーティンから。僕の中ではルーティンを一切作らないというのがルーティンです。ルーティンを持たない理由は、各国を転戦しており、毎回違う環境、違う文化、違う食生活のなかで試合に臨むので、同じルーティンを作ってしまったら出来ない環境が多い。僕は今日起きた出来事に対して対応しようと考えるタイプなので、ルーティンを作っていないです。

次に心構え。たとえば2回戦でジョコビッチと試合するかもしれないという場合は、正直辛いなと思います。気持ち的には嫌なのですが、この戦術でいったら勝てるのではと思いながらプレイをし、また次に当たった場合を考え、色々な事を試してみます。
この選手にはこの作戦が効くんだというのを認識しておきたい。
どう戦えば勝つかを考えてから試合に臨んでいます。

イワサキ ありがとうございます。僕も東海大会はあるので、アドバイスをください。

西岡 東海大会を勝ち上がっていくと、次は全国。全国にいったら、さらに上には上がいる。それを経験して、もう一段階強くなれるっていうのがあるので、次につながるよう、がむしゃらに勝ちをつかんでいってほしいと思います。頑張ってください。

ムロイ 対戦相手の分析方法を教えてください。

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西岡 試合が進んでいくなかで、相手の得意なことや好きな展開がわかってくるようになる。その分析をする為に、試合中には1つの事に固執せず、相手の手口を探ってみることがわかりやすいかと思います。

ハラダ 試合前日にやれることを教えてください。

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西岡 一日でテニスは上手くならないので、試合前日に今からどうこうっていうものはあんまり考えなくていいと思います。なので、僕がアドバイスできるとしたら、試合前日にやれることとしたら、自分なりにいい感覚を掴んでおくことだけです。
今できる感覚、今持ってる自分の感覚を調整するっていうだけで僕は十分だと思います。
逆にそれ以上のことをすると試合中にわけわからんくなります(笑)

ハラダ ありがとうございました。

MC山中 ありがとうございました。終了予定時刻を大幅に過ぎてしまったので、今回はこれで終わりにさせて頂きたいと思います。参加して頂いた皆様、そして西岡選手、ありがとうございました!

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(了)

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