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#001 人生を変えた言葉

「どの子にも絶対にいいところがある」
私たちはこのことを強く信じています。子どもたちのいいところを見つけたとき、私たちは宝物を見つけたような気持ちになるのです。私たちが日々出会う放課後ならではの子どもの成長物語。その一部をご紹介いたします。


現在(2023年4月時点)、15ヶ所の小学校でアフタースクールが運営されていますが、初めてのアフタースクールは公民館で行われました。初めての市民先生(※)は和食の職人さん。

※市民先生…地域住民や専門家など、子どもたちへ体験を届ける先生

素晴らしい腕の先生が「子どもたちに和食を教えたい」とのことで快く引き受けてくださいました。最初の回は子どもがほとんど集まらず、5人で開催しました。

その中にひとり、小学4年生の少年がいました。少年は見るからに元気がなく、しょんぼりした感じでアフクースクールにやってきました。

しかし、回を重ねる中で、少年は少しずつ料理に興味を示していきました。市民先生は毎回の料理の前に子どもたちに色々な話をしてくれました。

その中で食材の産地を当てるクイズをしてくださいました。そこでその少年は輝き始めました。彼は食材の産地に非常に詳しかったのです。

クイズに正解を連発する彼を私たちはいつしか「素材王」と呼び始めました。「すごいね、素材王だね!」と。彼は低学年の子どもたちに「お兄ちゃん、すごいね!」と尊敬され始めました。

そしていつしか市民先生に「一番弟子」と呼ばれ始めました。すると、少しずつ彼の中で何かが変わり始めました。ある回で市民先生がその少年に言いました。

部屋に入ってきた少年に対し、「おお1番弟子よく来てくれたな。君がいないと困るんだ」。
私はそれが彼の「人生を変える一言」になったと感じました。

「君がいないと困る」

大人でもこんなに嬉しい言葉がけはありません。

3か月のプログラム終了後にお母様からお手紙をいただきました。
「今まで私は親として、子どもの出来ないことや苦手なこと、またお友達と比べてばかりいました。しかし料理を始めて子どもが認めていただいているのを見て、息子の得意なこと、また他の子と比べずに彼自身のことを見るようになりました。そうしたら彼は非常に積極的になり、家でのお手伝いなどもするようになりました。そしてなんと今までとてもきつかった偏食まで直りました」

「子どもたちのいいところを認めてあげると、子どもは必ず真っすぐに育つ。そして親・教師だけでなく第3の大人たちも子どもたちの成長に関われる。」そんなアフクースールの大きな可能性を教えてくれたのは他ならぬ、初めてのプログラムに来てくれた彼なのでした。

出典『子どもたちの物語 エピソード1 人生を変えた言葉』

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