【予算850億の元バイヤーが解説】売れない商品の5つの特徴
こんにちは。野島です。
(私の記事は #NP企画 で検索できます)
簡単に自己紹介します。
元大手ドラッグで化粧品バイヤーを約10年、雑貨のカテゴリーマネージャーを1年半やっていました。去年の私の予算は850億以上だったので客観的にもそれなりに活躍していたと思います。
仕事の内容も人間関係も特に不満なく、生活も安定していたのですが、マーケティングや商品開発がしたいという気持ちと、大きな看板がない状態で自分がどこまで出来るか試したいと言う思いから2018年10月にメーカーに転職しました。
今はマーケティング本部で自社の商品企画したり、他社のコンサル的な仕事をしています。
メーカーとしてはまだまだ勉強中ですが、以下の3つの点がわかりました。
①何百、何千の商品の商談をしてきたバイヤーの目線や考え方はめちゃくちゃ役に立つ。
②中小メーカーではバイヤーとの距離感が遠く、じっくり話を聞く時間をもらうのが難しい。
③辞めた後に業界の内外に関わらず私の話を聞きたいという声が多かった
そんなわけで自分の経験を基に
『中小メーカーやドラッグ業界に興味のある方』にバイヤー経験者として『実践向けの情報』をnoteで発信していこうと思います。
読んで頂いて良かったなと思ったらフォロー及びシェアをして頂けると嬉しいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
では本題に入ります。
今回は売れない商品の特徴についてです。
バイヤーを長い事やっているとヒット商品に出会う訳ですがそれ以上にめちゃくちゃたくさんの売れなかった商品に出会います。
比率で言うと恐らく売れたと感じる商品は1割程度じゃないかと思います。
そこそこ売れた商品合わせても2割弱。
つまり売れる商品を作るのは本当に至難の業です。
ただ売れた商品も売れなかった商品も必ず理由があります。
何故売れたか、何故売れなかったかの理由を分析していくとそれらにはある共通点や法則に近いものが見えてきます。
つまり何故売れなかったかを掴んでおけば最初から負ける可能性が高い戦いを避ける事が出来るという訳です。
では売れなかった商品の5つの特徴とは
①参入市場の勉強不足
②ターゲットがあいまい
③価格設定が間違っている
④競合品に勝てる特徴がない
⑤小売の都合を無視している
もう少し詳しく解説していきます。
①参入市場の勉強不足
簡単に言うと並べる棚と参入障壁についてです。
棚のスペースは無限じゃないので何かを入れるには何かを外さないといけません。
そこに商品発売してもどれをどかして並べるの?という棚には手を出さないのが1番です。
大手メーカーは市場データや小売のPOSや顧客データを買っているのでそれらを色んな角度から分析して可能性を探りながら商品開発をしています。
中小はそんなデータはない中で大手の商品と戦っていかなくてはいけません。
やみくもに戦っても勝つ確率は低いのでここは時間をかけてしっかり検討が必要です。
ではどうするか?
少なくとも50店舗位の店を見て
1、その棚が何本位あるか
2、その棚が店内のどの場所にあるか
3、大手の商品の棚の割合と価格帯
4、大手以外の商品の棚の割合と価格帯
5、大手以外の商品の特徴
は見ておきましょう。
特に新店に見に行くと最新のトレンドを反映しているはずなので勉強になると思います。
メーカーによって得意分野が違うので一概にどの棚に攻めるのがいいとは言えませんが、棚が狭くて単価が安いカテゴリーには手を出さないのが懸命です。
棚がそこそこあって大手以外のちょっと高い商品が5~10品並んでいる棚は良く分析したらチャンスが転がっている事が多いです。
出来たら毎月定点観測しておくと1年でどれくらいの商品が入れ替わっているかがわかります。
棚幅が900mmの場合だいたい棚1枚に10品位並びます。1本の棚が5段だと棚1本は50品(全て1フェースの場合)、棚が3本だと150品が並びます。
最低上位7割には入らないと厳しいのでその中で100番の売上になれるかという視点を持っておくと良いと思います。
カテゴリーによって商品の平均サイズが違いますが視点は同じです。
実際の店で棚を見て棚の中身を良く観察した上で本当に自社の商品が並ぶチャンスがありそうかを見極める事が重要です。
②ターゲットがあいまい
どこの棚に並べるかを決めたら次は誰をターゲットを明確にしましょう。ここがあいまいだと誰にも喜ばれない商品になってしまいます。
『キレイになりたい女性』みたいな誰にでもあてはまりそうな内容では自分のための商品と感じてもらえないのでダメです。
より具体的にターゲットを決めておくとその人についてどんなアプローチをすべきかが見えてきます。
例えば
1、年代
2、どんな悩みの人
3、どんな嗜好性の人
4、お金持ちか低所得の人か
置いてもらう店の客層から乖離が大きいと全然売れなくなってしまうので注意が必要です。
③価格設定が間違っている
いくらで売るかというよりいくらで買ってもらえるかという事です。
小売のチェーン店で売るには買い続けられる価格を見極める事が大事です。
一般的には商圏内のお客さんはそんなに変わらないので継続的に支払える価格でないとリピートは発生しないからです。
1500円のランチが美味しいのは当たり前。
だけどその価格のランチを毎日食べ続けられる人がどれだけいるか?
じゃあいくらなら買ってもらえるか?
700円なら?味噌汁つけたら800円でもいける?
この味だと600円でも買わない?
こう言う発想が重要です。
自社の商品がいくらなら買ってもらえるか、他社の商品と比較してどうかを考えた上で値付けしましょう。
以下はバイヤー時にPB作る時に教わった内容です
見積り原価から積み上げて売価をつけるのは三流
ニーズがある価格帯を調べて、売価を決めた上でその価格以上の品質を提供するのが二流
その上で消費者の変化に対応して改善し続けるのが一流
棚にいくらの商品が何個並んでいるかを書き出して、それをグラフにした上で、今後そのグラフをどっちに動かすか、そのためにどの価格帯の商品の品揃えを厚くするかなんて事をやっていました。だから棚に並んでている商品と売価はほとんど暗記してました。
全部は覚えなくてもいいかも知れませんがそれくらい努力する覚悟はあった方がいいと思います。
④競合品に勝てる特徴がない
ターゲットの方を決めたらその方にどんな事を提供するかを決めましょう。お客さんは選択肢がある中で買う理由がないものにお金は払ってもらえません。
当然敵がフル装備なのに素手で戦場に乗り込んでは勝てません。
どんな特徴があるか?
他の商品と比べて何がどういいか?
例えば
1、価格が安い
2、小売の利益率が高い
3、デザインが良い
4、コンセプトが新しい
5、使用感が良い
6、安全性が高い
7、広告量が多い
8、販促物が売場で映える
9、香りが良い
10、ストーリー性が高い
全部が勝てなくてもいいのでお客さんに選んでもらう理由を言えるものを作りましょう。
⑤小売の都合を無視している
小売のバイヤーは年間でいつに何をするかのスケジュールが決まっています。
つまりそのスケジュールに合わせて提案しないとそもそも商談の土俵に乗りません。
何月に何月の商談か、企業によってどんな流れで採用が決まるのかも把握しておく必要があります。
バイヤーは毎月何十社のメーカーさんと何百アイテムもの商談をします。それらの情報をまとめて優先順位をつけて店舗に発信しないといけません。
情報が遅い企業のためにすべてを止めていたら仕事になりません。
特にチェーンオペレーションを推進している企業はイレギュラーは悪とされるので商談に間に合うためには発売日から逆算していつに何をすべきかを考えて商品開発をしましょう。
最後に
いい商品ってどんな商品だと思いますか?
色々定義はあるかも知れませんが、商売においては売れている商品がいい商品と言えます。
売れない商品は誰も幸せにしないので。
上にも書きましたがヒット商品を作るのはめちゃくちゃ至難の業です。
だけどその可能性を少しでも高めるために出来ることはたくさんあります。
総じて以下の二点が重要です。
作りたいもの〈 消費者が欲しいもの
売り手の都合〈 買い手の都合
考え方が変わると行動も変わってきます。
少しでもこの記事が皆さんのお力になれたら嬉しいです。
今後はより掘り下げた内容や自分が勉強になったことなども投稿していこうと思います。
参考になったと思う方はフォローやいいねをよろしくお願いします。
また皆さんの記事やツイッター等でシェアして頂けるとありがたいです。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
のじ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?