「かみかさ」第17話
いのりは、美容院に連絡するのも億劫だったし、試合が近づいていて練習回数も増やしていたので、そんな暇もなかった。
幸い梅雨入りしたにも関わらず雨はあまり降らなかった。
ビニール傘で凌いでいた。
いのりは、髪を切った翌日のバスケでは絶好調でポニーテールも軽やかに揺れていた。
ベストな長さが過ぎると、そうも、いかなくなってきて、
美容院に電話した。
「お電話ありがとうございます。BeLu美容室青葉店です。」燈郎の後輩の佐藤が出た。
「予約したいのですが、零宮いのりです。」
「はい零宮様、いつもありがとうございます。
皆川が担当でしたね。皆川はしばらくおやすみをいただいております。
前回担当した若尾か他の者で予約させていただきますね。」
「それならいいです。また連絡します。」
皆川はまだお休みしていた。
もう1ヶ月も経っている。
ベストな自分を知っている
でも崩れる
それでも崩れる
私を知る人よ
褒めてくれ
今も頑張っているね
と褒めてくれ
ごめんなさい。詩に夢も憧れもありません。できる事をしよう。書き出すしかない。書き出す努力してる。結構苦しい。でも、一生書き出す覚悟はできた。最期までお付き合いいただけますか?