マガジンのカバー画像

「かみかさ」

30
小説「かみかさ」 傘を美容院に忘れてしまうところから始まる、恋愛未満小説。
運営しているクリエイター

#バスケットボール

「かみかさ」第26話

「かみかさ」第26話

数日後。
燈郎は仕事を終え、自宅に戻ると、真巳から燈郎に電話があった。
「今、市営体育館にいる。兄貴ごめん。バッシュ忘れたから、持って来てくれないかな。」
「えっ。」
「雨も降ってきたし迎えに来て欲しい。」
「帰ってきたばっかなんだけど。」
「二つも理由がるんだから、お願いします。」
「ん。わかった。」

バッシュを持って車で迎えに行った。
体育館に着いた。コートを覗く。
弟の栄成大学の男子バスケ

もっとみる
「かみかさ」第22話

「かみかさ」第22話

翌日から、家でも学校でも、髪を一つにまとめた。
もちろん綺麗に切れてないからだ。
下の方で結んでいた。

大学は試験期間。
友達の美琴は言う。
「試験でも気合い入れる時は一つ縛り?」

試験が終わると、部活の引退式があった。
とはいえ、4年でも練習に来たい先輩は、練習に参加してもいい、という伝統があった。なので、涙のお別れ会と云う風ではなかった。
最後にレクリエーションとして4年生全員対1.2.3

もっとみる
「かみかさ」第20話

「かみかさ」第20話

おじさんから、もらった傘を使う事なく梅雨は明けた。

試合が近づいてきて練習を毎日していた。キャプテンとして考えなけえばいけない事も山ほどあった。
髪を切る時間もなく試合当日を迎えた。

しっかりポニーテールを高い位置に結び、気をひきしめた。

いよいよ相橋総区決勝戦を迎えた。
優勝したい。
いのりは髪を試合毎に結び直してきた。

試合での、いのりは、いつものように強気だった。

「絶対ここは抜い

もっとみる