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韓国の春、おいしいもの。달래(ヒメニラ)

 ナズナやヨモギ、セリ、タラの芽など、봄나물(春ナムル)と呼ばれる野菜が市場やマートに並び始めると、「ああ、春が来たな」と感じる。

 日本にいる時は、主に天ぷらにして味わっていた春ナムルだが、韓国ではさっと茹でて和え物にしたり、それらをご飯に乗せてビビンバにしたり、チヂミにしたり。汁物に入れたり、風味ダレを作ったり。とにかくいろんな楽しみ方をしている。

 韓国移住後、냉이(ナズナ)のおいしさに目覚めた話を以前書いたけれど、もう1つ大好きになったものがある。それはこの、달래(ヒメニラ)。

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 初めて見たのは数年前、義両親の農園を訪れた時だった。ニラと小さなニンニクが1つになったようなその出で立ちに、最初は「どう食べたら…」ととまどっていると、義母が「달래간장(ヒメニラ醤油)って知ってるかい?うちではご飯にかけて食べるんだけど」と、いつもの調子でざっくりと、調理法を教えてくれた。

 「良く洗ってから小さく切って、醤油、ゴマ、エゴマ油、唐辛子粉、梅エキスを混ぜればいいの。唐辛子があれば入れてもいいし」

 白く長く伸びた根っこも、全部そのまま食べて良いそうだ。自宅に戻り、半信半疑で言われた通りに材料を混ぜ合わせると、ニラのようなニンニクのようなタマネギのような香りに包まれた。

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 早速ご飯にかけて食べてみると、いつもはたくさん食べられない白飯が、驚きのスピードで胃袋に入っていく。これはまさに밥도둑(ご飯泥棒)じゃないか!これさえあれば、他のおかずは何もいらないくらい。豆腐にかけたり、チヂミのタレとして使っても良さそうだ。

 先日トンソ(義弟の妻)の家を訪れた時には、朝食にこのヒメニラ醤油が登場した。大根の葉を乾燥させた시래기シレギを入れて炊いたご飯の上にかけて食べると、これまたスッカラ(スプーン)を持つ手が止まらない。ヒメニラ醤油が、干した大根葉の滋味深い味と香りを消してしまうのではと思いきや、1と1を足して5になるくらい、それぞれの持ち味が口の中でいっぱいに広がった。「ああ、やっぱり他のおかずなんていらないわ」と思うほどに。

 義母はいつも詳しい分量を教えてくれないので、家で作る時は韓国語で検索し、いくつかのレシピを見比べ、義母の家や食堂で食べた味を思い出しながら適当に作っている。

【今日作った달래간장(ヒメニラ醤油)の分量】

ヒメニラ…1束 ※写真の分量
醤油 …大さじ6
唐辛子粉 …大さじ1〜2
すりごま …大さじ1〜2
エゴマ油(またはゴマ油) …大さじ1〜2

※好みで梅エキス、刻んだ唐辛子を少し入れてもOK

 このヒメニラ。チヂミにしたり、甘辛酸っぱい味つけで和え物にしたり、テンジャンチゲ(味噌汁)に入れたり、まだまだおいしい食べ方があるようだ。私は今度、チヂミに挑戦してみたいと思っている。

 明日からいよいよ4月。韓国・ソウル近郊は、まだひんやりとした日が続いているけれど、春を告げる野菜たちの力を借りて、少しずつ少しずつ、動き出していきたい。

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