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初夏のソウルを旅するように歩いてみた ~仁寺洞・北村・三清洞~

 先週の土曜日、久しぶりにソウルまで出かけ、韓国の伝統家屋や街並みが残る仁寺洞インサドン三清洞サムチョンドンを旅するように歩いてきました。韓国に移住して以来、このエリアにあるカフェをピンポイントで訪れたことはありましたが、街をゆっくり散策したのは5年ぶり!

 というわけで、今回の音声配信では〝ソウルの観光地の今〟についてお話ししてみました。声だけではお伝えしきれなかった街の様子は、下記にどどっと写真を掲載しています。動画はのちほどInstagramに投稿しておきますので、初夏のソウルを耳と目でぜひお楽しみくださいね。

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《番組内容》
5月のソウルは街歩きが楽しい季節。数年ぶりに人気観光地を歩いて見つけたもの、食べたもの、おすすめスポットなどを雑談形式でお話ししています。/2023.05.24収録

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    さて、ここからは街歩きの裏話を写真と共にご紹介します。

 ソウルの中心部にある仁寺洞・三清洞は、私が暮らす京義道高陽市一山キョンギドコヤンシイルサン(の西の端)から、地下鉄3号線に乗って約1時間。安国駅で下車し、まずは大好きな雲峴宮ウニョングンへ向かいました。途中、日本から来た様子の若い男女2組や、ヨーロッパから来たと思われるリュック姿の人たちとすれ違い、観光客が街に戻ってきていることを実感しました。

 ここは朝鮮時代の歴史的建造物であるにも関わらず、入場無料。安国駅から近く、規模も小さいので気軽に立ち寄れます。この日は結婚式も行われていました。数年前までは3000w(約300円)くらいで韓服試着体験ができ、敷地内で自由に写真撮影ができたんですが、この日はやっていませんでしたね。もう無くなってしまったのかも…。

 続いて訪れたのは仁寺洞。午前中はまだ人がまばらでしたが、午後からは観光客であふれていました。

 仁寺洞といえば「サムジキル」。4階建てのショッピングモールで、伝統工芸品や雑貨などを扱う店がずらりと並んでいます。

    仁寺洞のスターバックスや化粧品店の看板はハングル表記なんですよね。

   良くも悪くも変化の多い韓国では、10年も経てば馴染みの店はなくなり、街の風景までガラッと変わっていることもしばしば。だからでしょうか、昔訪れた店がまだそこにあった時の喜びはひとしおです。

 今回偶然の再会を果たしたのは、2013年の元旦に黒豆腐ポッサムを食べた店「오수(オス)」。当時ソウルの語学堂に留学中だった私は、前日の大晦日にJ.Y.Parkの19禁コンサートを観に行き、その興奮冷めやらぬまま、友人と一緒にこの店で静かに正月を祝ったのでした。

  仁寺洞はメインストリートからいくつも小道がのびており、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、探検するように歩くのも楽しいエリアです。今回は行ってみたい場所があり、初めての小道を歩いてみました。

 そうしてたどり着いたのは、耕仁キョンイン美術館。ここは、韓国生活をいつも楽しく配信されている日韓夫婦のYouTube番組を見て知りました。美しい韓屋の中に美術作品が多数展示され、緑豊かな庭園では伝統茶などが楽しめるそうです。今回は場所を確認しただけで鑑賞できなかったので、次回またゆっくり訪れたいです。

 次は、3号線安国駅の北側、北村プクチョンと呼ばれるエリアへ。留学中はこの辺りで韓国の伝統芸術、ポジャギ(パッチワーク)を習っていました。その当時、このエリアの再開発計画に反対するための署名集めをしている現場を目撃したことがあったんですが、一部再開発が進められたのでしょうか。10年前とは街の様子が変わり、モダンな建物がいくつも立ち並んでいました。

 今回は立ち寄れませんでしたが、2021年7月に開館したというソウル工芸博物館も安国駅から歩いてすぐ。館内には、子どもたちが服をデザインしたり機織りしたりできる「子ども博物館」も併設されているようです。

 気になるカフェもいろいろ。このお店はブランチの価格が他に比べてお手頃で、おいしそうでした。だけどずっと人でいっぱい!

 「JIYUGAOKA8丁目」という名のカフェは10年前にもここにあったと記憶していますが、外観がガラッと変わっていました。そういえば!ここはホン•サンス監督の映画『自由が丘で』のロケ地でした。映画には加瀬亮さんとムン•ソリさんが出演。2014年の釜山国際映画祭で、私は2人のトークを聞いた思い出があります。

    余談ですが、店名は同じなのにオーナーが変わり、店の雰囲気や内容がガラリと変わっていた…ということが、韓国では時々ありますね。

 空気が悪い日が多いとはいえ、ソウルの5月は一年の中でも気候が良く、街歩きしやすい季節です。バラが満開で見ごろを迎えていました。

 三清洞方面へ向かうと、伝統家屋を活かしたお店が立ち並んでいました。日本では「サーティーワン」としておなじみのアイスクリーム屋さんは、韓国で「バスキンロビンス」と呼ばれています。

 ランチは三清洞にあるスープカレー屋さん「도라보울(Dora Bowl)」へ。釜山の南浦洞に本店があり、ここは直営店のようです。注文したのはイベリコ豚のカレーと、チキンのカレー。スープの追加はできなかったんですが、注文時に「スープを多めにしてください」と言えばたくさん入れてくれるそうです。

도라보울
서울 종로구 북촌로5길 54
https://naver.me/FM6i4QsW

 カレー屋さんを出て、再び安国駅方面へ。国立現代美術館ソウルの敷地内を抜けて行きました。この美術館も、10年前にはまだありませんでしたね。

 景福宮と安国駅に挟まれたエリアには、열린송현という緑地公園が広がっていました。ここは将来的に文化施設や公園が設けられるそうですが、2024年12月までは臨時開放中で、自由に散策できるとのこと。都会のオアシスといった風情です。

 この公園から安国駅へ行く道すがら、バイオリニストの街頭コンサートも楽しみました。韓国で人気のアーティスト、10cmシプセンチの曲が私はとっても好きなんですが、10cmも最初はこの辺で歌っていたのだと、友人が教えてくれました。

 写真ではお伝えしきれませんが、仁寺洞の隣に位置する鐘路チョンノの日本国大使館付近では大統領の政策を批判するデモが行われていて、この緑地公園にも大きな声が響き渡っていました。

 安国駅近くで行ってみたかったカフェが満席で入れなかったので、再び三清洞方面へ。途中、TAMBURINSというお店に立ち寄り、ハンドクリームやハンドソープ、石けんの香りに癒されました。

 どれも全くお手頃価格ではないのに、買い求める人が次々訪れていて、どうやら人気店の様子。流行りものに全くついていけない私は、ただただ石けんの匂いを嗅ぐばかり(笑)。

 このお店から少し北に上がったところに、数年前から行ってみたいと思っていたカフェがありました。その名も珈琲島カベド。紅茶ティラミス、濃厚で食べ応えがありました。

 夕食は安国駅から歩いてすぐのメキシコ料理店「갓잇(Got Eat)」へ。久々のタコス、メキシカンな雰囲気!これぞ旅気分。韓国旅行で、日韓以外の国の料理を味わうのもおすすめですよ。

 韓国人の友達の話によると、この店の斜め向かいにある「깡통만두」という店のビビン麺(비빔국수)も、韓牛のジョン(한우육전)入りで美味しいと評判だそうです。いつか行ってみたい。

갓잇 안국점
서울 종로구 북촌로2길 5-5 1층
https://naver.me/5g7QGkC4

 この日最後に訪れたのは、仁寺洞にある曹渓寺チョゲサです。20時頃だったでしょうか、たくさんの人が灯りを手にして列をなし、パレードが行われていました。みなさん、色とりどりの提灯で覆いつくされた曹渓寺の中へと入っていきます。どうやらお寺が終着点の様子。

 帰宅後に知りましたが、このお祭りは2020年にユネスコ無形文化遺産に指定された「燃灯会ねんとうえ 韓国の灯祭り」だったようです。

 お釈迦様の誕生日(旧暦4月8日)が近づくと、韓国のお寺ではこのように色鮮やかな提灯が飾られます。

 写真だけご紹介しようと思っていたのに、つい長くなってしまいました。

 11年前の留学初日に出会った韓国人の友と、久々に旅するように歩いた土曜日は、昔このエリアを一緒に訪れた友人・知人たちとの思い出もあふれ出す、胸キュン(死語?)な一日でもありました。

 旅の記憶って、私にとっては人の記憶なんですよね。例えそれが一人旅だったとしても、どんな人とすれ違い、どんな人と言葉を交わし、どんな人と何を味わったか。それが深く心に刻み込まれます。みなさんは、どうですか?

 これから韓国を旅される方、どうか良い時間になりますように。私もこの夏は日本に帰国して、旅するように日々過ごしてみたいと思います。

▼音声配信、Instagramのリンクはこちら



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