暴走天国

若者はストレスを発散できません。
もっとバイクで走りたいのに。
夜な夜なバイクで街をかっ飛ばしたいのに!
だってストレスだらけじゃんか!この世の中は!
親も先公もどいつもこいつも口うるせぇ奴ばっかだ。
そんな時、俺のストレス解消は暴走なんだ。
でも街を暴走すればサツが追っかけてくる。
他の車なんか走っちゃいねぇんだから信号無視ぐらいいいだろ。
横にも後ろにも車はいねぇんだ。
蛇行運転したって何の問題もないだろうが。
でも世の大人どもはあれもダメこれもダメと口うるさい!
もうふざけんな!
大人はそんな若者に向けて、人気のない山奥に広場を設けました。
そこではいくらでも暴走行為をしていいのです。
ジグザグに走ったって急に曲がったって、何の文句も言われません。
大きな音でエンジンを吹かしても山奥ですから誰も文句は言わないのです。
その為の広場なのです。
ストレスを溜めた若者は夜な夜なそこに通ってはエンジンを吹かします。
爆音が彼らのストレスを吹っ飛ばすからです。
でも何か物足りません。
好き勝手に出来る広場を与えられたにもかかわらず、若者は空虚な気持ちです。
そこで初めて気がつくのです。
うるさい大人がいたからこそ、暴走行為は楽しかったのだと。
観客がいない試合なんてつまらない。
選手たちも張り合いがありません。
若者も同じだったのです。
うるさい大人たちがいなくなれば張り合いがない。
若者はようやく大人の必要性に気がついたのです。
でも若者はもう暴走行為を辞めました。
真実に気がついてしまったからです。
俺がやっていたのは大人たちを喜ばせるためでもあったのだと。
あいつらはマジメな顔で口うるさく言っているが、その実、俺たち若者をからかって楽しんでいたに違いない。
大人だってバカじゃない。
真剣に俺たちに取り合って口やかましく言っていたわけじゃないんだ。
フリでしかなかったんだ。
暇つぶしでしかなかったんだと。
それから若者は警察官になりました。
今度は自分が暴走行為を取り締まる側になったのです。
若者は思います。
ふふふ、マジメに働けば金ももらえる。
暴走行為なんて、あんなもん正直どうでもいいが、マジメな顔をして取り締まっていれば世間体も立つし、給与だって貰える。
こんなラクなこたぁねぇや。
ついに若者も大人の仲間入りです。
しかしそれは残念なことでもあります。
なぜならば、あの時の純粋な若者は、消え去ってしまったのですから。

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ごめんなさいね〜サポートなんかしていただいちゃって〜。恐縮だわぁ〜。