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2021年2月の記事一覧

息子には まだ教えたくない言葉がある

「ねぇママ、お手紙よんでないのにもう捨てるの?」 ポストから束になったチラシを持ち帰り、ゴミ箱に捨てようとした私を見て、息子が言った。 私は捨てるのを躊躇い、ゴミ箱の上で手を止めた。 「ママ見て、ピザのお手紙もあるよ?」 “チラシ”と言う言葉をまだ知らない息子は、チラシのことを”お手紙”と言う。 お手紙か、そんな風に言われたら何だか捨てられない…。 「これはね、チラシって言って、要らないチラシだから捨てるんだよ」とは言えなかった。 一応ざっと目を通したものの、

「やりたい事」はあなたを幸せにしない

もう15年くらい前になるか。 自衛隊のパイロットを夢見て何年もただそれだけを追いかけていた年下の親友が、山口の宇部空港で行われる最終試験まで行って落ちた。携帯のメッセージで不合格の連絡をもらってから、2ヶ月くらい音信不通になっていたのだが、ある日突然連絡が来て会うと、彼は意外とケロッとしていた。 お互い試験のことには触れず、今何をやっていて次に何をやる予定か、そんな事を話しながらいつものように街をぶらぶらし、やがて海の見える公園にたどり着いた。普段あんまりそんな事はしない

アンドリュー・マッケンジー(The Hafler Trio)は情報と戦っている

拙著『ナース・ウィズ・ウーンド評伝』(DU BOOKS刊)にはNurse With Wound以外にも、80年代ロンドンのアンダーグラウンド・シーンで活動していたアーティスト/バンドの名が挙がる。アンドリュー・マッケンジーと、彼のプロジェクト「The Hafler Trio」についてはほぼ言及しないままだったので、補完もかねて今回は同氏について書いた。 参考資料として最も有益であったのは2020年に公開されたメディア『Tone Glow』内のロング・インタビューである。本記事

「変革の時代の組織リテラシー」導入講:なぜ今、プロジェクト・マネジメントが必要か?

みなさまこんにちは、中分毅(ナカワケ・タケシ)と申します。 私は、40年余り、日本国内や中国、ロシア、ベトナム、中東等で、建築プロジェクトや都市開発プロジェクトに携ってきました。そこで、プロジェクト・マネジメントの重要性を実感し、有効性の高い(effective)プロジェクト・マネジメントのあり方を模索してきました。2015年からは、多摩大学大学院経営情報学研究科MBAコースで、プロジェクト・マネジメントの講義を担当する機会を得ました。 このノートは、多摩大学大学院の講義で

レモンの重さとエネルギー

 スーパーで国産レモンを見かけると、ふらふらと引き寄せられ、条件反射的にかごに入れてしまう病にかかっている。  レモンの色、形、質感、重み、匂い。すべてがすきだ。  レモンという存在がすきだ。レモンを視界に入れておくだけで、心がふだんより3センチくらい浮いているような愉快な気持ちになる。それを手に取れば、ひんやりしたつめたさが心地よく皮膚に染みこみ、水分のつまったぎっしりとした重さは、じぶんがここに存在するという安心感を静かにもたらしてくれる。  などなど文学的に語ってみ

やつづかえりさんが東京から長野へ「教育移住」した理由

近年、都市圏の保護者たちを中心に、「教育移住」が話題になっている。 今回お話を伺うライターのやつづかえりさんは、2020年に東京から長野へ教育移住した。現在は小学1年生の娘さんを、佐久穂町(さくほまち)にある大日向小学校に通わせている。 なぜ、やつづかさんは教育移住をされたのだろうか。そして家計のことや子どもの気持ち、卒業後のプランといった様々な課題を、どのようにして乗り越えたのだろうか。 やつづかえり さん コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務したのちに独立

月が綺麗ですね、と言われたときに備えて、返事をシュミレーションしてみた

「月が綺麗ですね」というのは愛の告白、なんていうのはよく知られたことで、もし仮に言われたとしてもあははは、と笑ってしまって風情もくそもなくしてしまう自信がある。 ただ、もしこれを言われたらなんと答えるのが正解なのだろうとふと疑問に思い、令和を生きる27歳はGoogleを使って検索をしてみた。 いつ、どんな告白をされるかわからないし、お相手によってはそれを笑い飛ばすような人ではなく、私服で和装をしてしまうひとクセくらいあるような人かもしれないし、そのひとクセある人に私自身も

気分転換のための引っ越しと、理想の居場所を求めることと。

自分の居場所を決めるひとは、いったい誰なのか。 心底望んだ場所にいる、と思えるひとは、この世の中にどのくらいいるのだろうか。必要に迫られてそこに暮らすひと。妥協し好きでもない街に滞在するひと。配偶者や家族の都合で、決定に関与することなく日々を送るひと。あるいは治安や安全上の理由から移動を余儀なくされたひと。はたまた居場所なんてどこでもよいと、無関心なひと。 ひとつの地点からもうひとつ別の地点に移動する。この行為の引き金になるものはどこからともなく聞こえてくる「声」なのかも

Kindleでお気に入りフォントを使う

作成 2021.02.28 はお。  何気なく使っている Kindleですが、ちょっと違う気分を味わってみたくなることってありませんか?  そこで、フォントを変えてみようと思います。今回はしっぽり明朝を使ってみたいと思います。  このフォントはOSSではおなじみの源ノ〜が入っていて、墨感を味わいたい人には、ぼかしの入ったタイプも用意されています。 ■PCとKindleを接続する USBケーブルを使って接続してください。たまに電力供給しかしてくれないケーブルもあるので

左胸を失って、生きやすくなったと思う

私には左胸がない。5年前に乳がんの手術をして、全て切り取った。乳房再建はしなかったので、私の左胸があった部分には、今も横一文字に引かれた傷跡が残っている。 服を着ていれば分からないので、見た目は普通の人と同じだ。普通の母親で、普通の店員で、どこにでもいる普通の人。術後も以前と同じように過ごしているので、こちらから伝えた友人以外、誰も私が乳がんだとは気付かないだろう。 唯一、温泉に行った時だけは、コソコソと着替えて、チャチャッと洗って、ドボンと浸かる慌ただしさにはなったが、

ありがとうございました

小さいころ、家がパン屋だということがダイキライだった。 クラスのみんなみたいに郵便受けがあったり、牛乳箱があったり、ドアベルがある、そんな玄関に憧れていた。 ところがうちときたら、シャッターにあいた穴からポトンと郵便が落とされる。牛乳はお店の冷蔵庫のなか。そしてなにより玄関は自動ドアなんだもの。 交代で洗濯して持っていく給食のテーブルクロスや割烹着が「パンの匂いがする」っていわれて、お母さんに「ぜったい今度からはソフラン使ってね」と頑固に頼んだりもした。 大きくなると

親友と20年ぶりのラーメン屋に行った話

茨城県の牛久市に、山岡家というラーメン屋があった。   地元から車で30分ほど。国道沿いの坂の上に鎮座するその店は、近隣市町村の若者なら誰でも知っている、地域のちょっとした名店だった。    もう20年ほど前だ。時間と車の免許しかなかった暇な大学生の夜。毎日、何をするわけでもなく仲間と集まった。夜中になると、誰かが山岡家にでも行こうと言い始める。深夜の、それも30分もかけて辿り着くラーメン屋は、もっと充実した時間の使い方があるのではないかと思いながらも、手段も目的も持てていな

小さいお店で小さい私に注がれたこと

ああこれは、小さい自分のお店を開くことなんや。 お客さんに顔と名前覚えてもろて、信頼してもらわなあかん。 そのためには、お客さんに信頼してもらえる仕事せなあかんな。 春の夕暮れ。仕事帰りの私は、会社から駅までまっすぐの道を歩きながら、ふとそう思った。社会人になって数週間のことだった。 大学卒業後、私は大手予備校の出版部門で働いていた。仕事は予備校で使われる教科書、模擬試験、書店に並ぶ問題集などの編集業務。編集といっても大手出版社のそれとは違い、予備校の先生たちが原稿を書き

新時代のごはん装置「ミングル」をIKEAの家具で作ってみた

noteの人気記事、有賀薫さんの”新時代のごはん装置「ミングル」”を知って感銘を受けた私。 我が家は賃貸なので、大がかりな工事は出来ません。でも最低限の家具と家電で、我が家なりにミングルの考えを取り入れようと決心。 すると・・・ 夫婦で同時に調理出来るようになったり、小さな子どもたちの「お手伝い要求」にも応えやすくなり、良いことづくめ。 どのように考えを取り入れていったか、レポートしていきたいと思います。 ミングルの記事で気づいた、夫婦で調理しなくなった原因そもそも、