ころのすけ

東京出身、ロンドン在住。 アメリカとイギリスを合わせ、海外生活がもうすぐ20年になりま…

ころのすけ

東京出身、ロンドン在住。 アメリカとイギリスを合わせ、海外生活がもうすぐ20年になります。 旅の記憶、日々の暮らしなどを徒然なるままに。 スキのお礼には我が家の愚猫が登場します。

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誰かのなかで生きる

「朝のリレー」という谷川俊太郎の詩が好きだ。 こうやってふるさとから遠く離れたところで暮らし、テムズ川越しにのぼってくる朝日を眺めていると、しみじみとこの詩が沁みてくる。 日本で夕陽が沈むころ。 テムズ川に朝日が昇る。 ♢ 「命のリレー」というフレーズをnoteで目にしたとき、私たちが生きているなかで渡していくいろいろなバトンに思いがいった。 私のアメリカ妹は、アメリカ赤十字の緊急治療室で働いている。 彼女がカバーするたくさんの仕事のうちのひとつが、亡くなった方のド

    • 「人類の進歩と調和」

      大阪ライフも半分がすぎた8月後半。 大阪に長期滞在することになっていちばん行きたかった場所を、とうとう訪ねることができた。 太陽の塔だ。 「20世紀少年」を描いた浦沢直樹は1960年生まれ。 1970年の万博では、漫画の世界と近い小学生。 彼個人の経験やその時の感情であろう大阪万博への執着心がこれでもかと散りばめられた作品だ。 1970年当時、そこまで子供たちを惹きつけたバンパクというものに、私はなんだか興味がわいた。 そんな頃、たまたま友達とランチのあとに立ち寄った

      • 日本で財布を落とした話

        「いや、ぜったいにかばんの中に入ってるはずなんです」 初めて行った立ち呑みで、紅ショウガの天ぷらと焼き鳥数本をつまみに飲んだ月曜日。 お支払いをしようと思ったら、財布がなかった。 かばんのすべてをひっくり返し、それでもみつからない。 9時までの電話会議の後、私はすぐにオフィスをでた。 けれど、Yさんはまだ残って仕事するといっていた。そう思って電話をかけて、恐縮しながらデスクの周囲をみてもらった。 それでもみつからない。 かばんをお店に「カタ」として置き、とりあえず携帯

        • もももももももものうち

          白桃をもらった。 そのすごさは、 「岡山の人が、自分の手で、桃づくり名人の指導を受けながら育てた」 白桃を 「完熟したタイミングで食べさせたいと新幹線でハンドキャリーして」 もらった と、分解すると、伝わるかもしれない。 ♢ 岡山に住むお友達との縁については以前にも書いた。 12年も会っていなかったけれど、ここ2回はたった5か月という間隔。 それもこれも、私が夏に関西にいるという、めったにない出来事のおかげ。 「白桃のシーズンに、すぐそこの大阪にいるんですもんね。

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        マガジン

        • 月に着くまで13分。
          140本
        • コロ旅日記
          47本
        • 架空のとびら
          1本

        記事

          金額のない料理店

          値段のないメニューにであったことがありますか。 料理の説明がしっかり書かれているというのに、値段がない。 そういうメニュー。 接待やら、ここぞというデートやら。 そんなお店には、そういう「お金を払わないひとむけメニュー」がある。 私が初めてそんなメニューに出会ったのは、大学生のとき。 麻布にあるとあるタイル屋さんのショールームでアルバイトをしていたとき。その副社長さんになぜか気に入られ、よく周辺のおいしいお店に連れていかれていた。 そのなかのひとつ。全日空ホテルの最上階

          金額のない料理店

          ニュージャージー&ニューヨーク雑感

          時差ぼけの狭間でぐらぐらしている。 先週月曜の早朝にミネソタ&コロラドでの休暇からロンドンに戻ったというのに、今度はニュージャージーに飛んだ。 だったらミネソタから「自宅」勤務でもすればよかったのかもしれない。 休暇のチケットを変更するのが面倒くさくてそのままにしてしまった自分のせいだから仕方ない。 1週間でようやくグリニッジ標準時に戻ったカラダを、なんとかニュージャージーでの1週間の会議に耐えさせねばならぬ。 ニュージャージーに前回来たのはシステムプロジェクトで合併

          ニュージャージー&ニューヨーク雑感

          「私はあなたを赦します」

          ミネソタからの帰り道、シカゴで6時間も乗り継ぎの時間ができてしまった。 もともと乗るはずだったフライトがキャンセルになってしまったのだ。 本当だったら、会社の携帯で溜まりすぎたメールを読み始めるべきなんだろうが、どうしてもそんな気になれなかった。 ゲートの前で椅子に座って、ダンキンドーナツを食べながらnoteをあちこち飛び歩いていたら、こんな記事に出くわした。 圧倒的に引き込まれて、その場でヴィンセントに「次の週末はこの映画を観よう」とメッセージを送った。 ジュディ・リ

          「私はあなたを赦します」

          ええいと海に飛び込んでみよう

          飛び込むときもちよさそうな海がある。 その名は「なんのはなしです海」。 しかも、山林さんによると「平仮名タグにすると裸になってダイブしてぶっ込んでも、回収してくれるんだそうです」 ひょええ。 裸、といえば。 ミネソタに住んでいたとき、交際していたボーイフレンドがめちゃくちゃアウトドア好きだった。 私は、キャンプファイヤーまではいいけど、そのあとはちゃんとしたホテルに帰ってベッドで寝たいタイプ。だが、どうしてもと懇願されて、一回だけテントを張って寝袋で寝るというちゃんと

          ええいと海に飛び込んでみよう

          すえっ子するってむずかしい

          久しぶりのアメリカ帰省の締めくくりは、末っ子オーウェンの卒業式だった。 もちろん長男の空軍士官学校の卒業式も素晴らしい経験だった。 でも、私にとっては、末っ子のオーウェンが無事に高校を卒業したことが本当に嬉しくてならなかった。 思えば自分も、同じ附属の女子校にいき、ちょうど3つ違いということで、姉を教えた先生がみんな自分の学年に来るという悲劇を味わった。 姉は文学少女、古文も漢文もどんとこい。 そんな姉が一番目をかけられていた古文の先生が自分の担任になってしまい、「んま

          すえっ子するってむずかしい

          惚れるってこういうこと~US Air Force Academy卒業式

          翌日、ピーカンの青空。 アメリカンフットボール用のスタジアムで、卒業式が行われた。 前日、焦りながらもしっかりと「明日の卒業式も来るので許可証は2日分でお願いします」といっておいたので、それをパスポートとともに透明なカバンにいれた。 どこからでもかかってこい、と意気込んだものの、北ゲートはまたしてもパレード同様まったくのノーチェック。 ある意味がっかり。 まあスムーズに入れるに越したことはないのだけれど。 とはいえ、会場であるファルコンスタジアムに入るためのセキュリティ

          惚れるってこういうこと~US Air Force Academy卒業式

          そしてコロラド

          さて、無事にロンドンからミネソタ州セントポールに到着した私。 一日だけミネソタで過ごした翌朝。お父さん、お母さんと落ち合って、ジェニーと4人でコロラド州デンバーへ。 空港へは、すでにコロラドに到着していたジェニーのダンナ、ジャスティンがレンタカーで迎えにきてくれた。 目的地はコロラドスプリングス。 この山麓に広大なキャンパスをもつアメリカ空軍士官学校だ。 今週は(5月だけれど)「ジューン・ウィーク」と呼ばれる卒業イベントの週。4年間をここで過ごした「アメリカ甥っ子」ノア

          そしてコロラド

          ただいまミネソタ!

          ノースカロライナ州シャーロットを飛び立った飛行機は、やがて大きな大きな湖の上に差し掛かった。 ミシガン湖に違いない。 JALと違って、国内線でもWi-Fiは無料じゃないし、画面もない飛行機だった。だからどこにいるか検証できなかったけど、さすがの大きさで正解だと自信があった。 その後も、じーっと窓に張りついて見下ろしながら、湖の形や数、川の流れから、斜めにウィスコンシン州を横切ってミネソタ州に入るんだなと思っていた。 懐かしい場所。 真っ平らで、そこここに大小の湖が散ら

          ただいまミネソタ!

          ねこカードに魅せられて

          それは、確か、2000年ころ。アメリカ中西部の田舎町の、ウォルマートでのことだった。 当時の私はことあるごとに日本に手紙やカードを出していた。 インターネットがまだLANケーブルを繋いだパソコンからのもので、ピーヒャラヒャラヒャラといって回線をならして時間限定だったころ。 今ならいえるけど、そうして手紙を書くことで弱音をどこかに置いてこなくちゃ、その弱音の重さに押しつぶされそうだった。 倹約モードでルーズリーフに両面みっしり書いたのを格安のペラペラ封筒に入れるのが普通だ

          ねこカードに魅せられて

          イギリス郵便ポストの秘密

          イギリスと聞いてあなたが思い浮かべるものはなんだろう。 ビッグベン? フィッシュ&チップス? ビートルズ? ユニオンジャック? それとも、もうBMWの傘下になってしまったミニクーパーだろうか。 同じようによくキーホルダーのチャームにされる「赤い郵便ポスト」。 イギリスから郵便制度を導入した日本でも基本的にポストは赤色なので、めずらしく感じないかもしれない。 でもアメリカではポストは青い。 フランスやスペインなどでは黄色が普通。 実は赤いポストは他の国の目には「象徴的」に

          イギリス郵便ポストの秘密

          口は目ほどにものをいう?

          日本をでて、いろんな違いや共通点に気がつくようになるけれど、そのひとつが「美意識」だ。 最近きいてびっくりしたのはJapandi(ジャパンディ)ということば。 どうやら北欧のインテリアスタイルを表すScandi(スカンディ)から派生してできたことばで、「日本の美意識を取り入れた、北欧のインテリア」ということらしい。 そのジャパンディが、コロナによって家にこもる時間がふえたことで、静寂や簡素といった禅のこころを求めるトレンドにマッチして、2020年ころから世界的に流行しだした

          口は目ほどにものをいう?

          投石を観に行ったらコンドルにあたまを打たれた話

          日本はGWのシーズン。イギリスも、5月の最初と最後の月曜日はバンクホリデー(祝日)なので、三連休が2回ある嬉しい月だ。 先月、出張でフランスにいったついでに南仏の友達のところへ足を延ばし、太陽にあたり美味しいものを食べてきたので、この連休は無防備にぼーっと迎えるところだった。 が、世界史の現場探訪/英国駐在@えのもとさんの記事で投石器の実物がみられると知り、どうにも気になりウォーリック城(Warwick Castle)にいくことにした。 連れが「へえ、その城って、シェイク

          投石を観に行ったらコンドルにあたまを打たれた話