もももももももものうち
白桃をもらった。
そのすごさは、
「岡山の人が、自分の手で、桃づくり名人の指導を受けながら育てた」
白桃を
「完熟したタイミングで食べさせたいと新幹線でハンドキャリーして」
もらった
と、分解すると、伝わるかもしれない。
♢
岡山に住むお友達との縁については以前にも書いた。
12年も会っていなかったけれど、ここ2回はたった5か月という間隔。
それもこれも、私が夏に関西にいるという、めったにない出来事のおかげ。
「白桃のシーズンに、すぐそこの大阪にいるんですもんね。絶対に岡山のおいしい白桃を食べていただきますからねっ」
そうきっぱり言って別れたのが2月。
そして、7月。
メッセージがやってきた。
「7月20日か、27日の週末、あいてますか」
♢
御堂筋線の改札口に現れたのは、つば広の帽子を涼やかに被り、横に大きく広がったバッグを大事そうに抱えた、お友達の姿だった。
そこには美しい白桃が並んでいた。
明治時代に岡山で作り出された「白桃」。
その中でも、「清水白桃」は強い芳香とみずみずしい果肉で、白桃の最高峰といわれるそうだ。
一宮、瀬戸はそれぞれ産地の名前。
そして、この「清水白桃」は完熟しても、表面も果肉もあくまで白い。だから赤くなるのを待ってはいけない。
そして、ピークはたったの数日。
冷やしすぎてはいけない。熟したなと思ったら1~2時間冷蔵庫に入れて、食べる。
何が嬉しいって、家に帰ってくると、冷暗所に置いた箱からホワッと桃の香りが立ち上ってくること。
仮住まいの無機質なアパートの一室が、その香りのおかげで、なんだか帰りたい場所になるから不思議だ。
分けるひともいない。
分ける気もない。
おいしい日本の、いや、岡山の夏を、
ひとりじめ。
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