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もももももももものうち

白桃をもらった。

そのすごさは、

「岡山の人が、自分の手で、桃づくり名人の指導を受けながら育てた」
白桃を
「完熟したタイミングで食べさせたいと新幹線でハンドキャリーして」
もらった
と、分解すると、伝わるかもしれない。

岡山に住むお友達との縁については以前にも書いた。

12年も会っていなかったけれど、ここ2回はたった5か月という間隔。
それもこれも、私が夏に関西にいるという、めったにない出来事のおかげ。

「白桃のシーズンに、すぐそこの大阪にいるんですもんね。絶対に岡山のおいしい白桃を食べていただきますからねっ」

そうきっぱり言って別れたのが2月。
そして、7月。
メッセージがやってきた。

「7月20日か、27日の週末、あいてますか」

御堂筋線の改札口に現れたのは、つば広の帽子を涼やかに被り、横に大きく広がったバッグを大事そうに抱えた、お友達の姿だった。

そこには美しい白桃が並んでいた。

一宮、瀬戸、普段用?。そして彼女の苗字がつけられたお手製のもの。

明治時代に岡山で作り出された「白桃」。
その中でも、「清水白桃」は強い芳香とみずみずしい果肉で、白桃の最高峰といわれるそうだ。
一宮、瀬戸はそれぞれ産地の名前。

まずは一宮から

そして、この「清水白桃」は完熟しても、表面も果肉もあくまで白い。だから赤くなるのを待ってはいけない。
そして、ピークはたったの数日。
冷やしすぎてはいけない。熟したなと思ったら1~2時間冷蔵庫に入れて、食べる。

次は瀬戸。爪の先でめくっていくと果汁がどんどん滴り落ちていく

何が嬉しいって、家に帰ってくると、冷暗所に置いた箱からホワッと桃の香りが立ち上ってくること。
仮住まいの無機質なアパートの一室が、その香りのおかげで、なんだか帰りたい場所になるから不思議だ。

そして、お友達の桃。あくまで白い。
けれど立ちのぼる強い香りが、オレはすっかり熟しているといっている

分けるひともいない。
分ける気もない。

おいしい日本の、いや、岡山の夏を、
ひとりじめ。




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