Daisuke Inoue

ソフトバンク株式会社のメディア統括部長。←ヤフー←アウディ←ユニリーバ←ニュージーラン…

Daisuke Inoue

ソフトバンク株式会社のメディア統括部長。←ヤフー←アウディ←ユニリーバ←ニュージーランド航空。著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」「たとえる力で人生は変わる」など。NewsPicksアカデミアプロフェッサー。新刊「マーケターのように生きろ」が全国書店とネットで好評発売中。

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    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

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「やりたい事」はあなたを幸せにしない

もう15年くらい前になるか。 自衛隊のパイロットを夢見て何年もただそれだけを追いかけていた年下の親友が、山口の宇部空港で行われる最終試験まで行って落ちた。携帯のメッセージで不合格の連絡をもらってから、2ヶ月くらい音信不通になっていたのだが、ある日突然連絡が来て会うと、彼は意外とケロッとしていた。 お互い試験のことには触れず、今何をやっていて次に何をやる予定か、そんな事を話しながらいつものように街をぶらぶらし、やがて海の見える公園にたどり着いた。普段あんまりそんな事はしない

    • brat summerって何?

      brat summer(ブラット・サマー)という言葉を聞いたことがありますか? ポップカルチャーから生まれたこの言葉がアメリカを席巻している今、私たちは将来教科書に載るレベルの、歴史的な出来事に立ち会っているのかもしれません。 それは少し大袈裟だとしても、この言葉は近い将来、広告・マーケティングの歴史にその名を刻まれることでしょう。 少なくとも、これが今後のポップカルチャー、そして広告やマーケティングのトレンドを占うとても重要な現象であることは間違いありません。 そし

      • 仕事のやりがいと収入を最大化する「風車の理論」

        先日、キャリア相談のイベントに参加させていただいたのですが、そこでお話した「風車の理論」というのが好評だったのでここでも紹介させてください。 風は吹いているか。風車は回っているか。発電できているか。この3つの問いを自問自答し続けることが、やりがいと収入を最大化することに繋がる、というキャリア理論です。 風は吹いているか風車で電気を作るには、当然ですが風が必要です。どんなに高性能の風車でも、全く風のないエリアに置かれていては、回転して電気を生み出すことはできません。 これ

        • クリエーターの中年の危機は「体験の枯渇」

          私はいわゆる中年です。マーケターや新規事業担当として会社勤めをする傍ら、書籍や記事を書く物書きの仕事をしています。そして、この記事は私と同じ中年の皆さんに向けて書いています。特に、クリエイティブ関係の仕事、クリエイティビティーを活かした仕事をしている中年の皆さんです。 マーケティングの世界で良く使われる講演のネタに、チャールズ国王とロック・ミュージシャンのオジー・オズボーンは同じデモグラ、というのがあります。「デモグラ」というのは「デモグラフィック」の略で、性別や年代、居住

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        記事

          30分でできて企画が激変する3C分析

          フレームワークはシンプルなものしか機能しないマーケティングや企業戦略の世界には沢山の「フレームワーク」があります。世に溢れるこうしたフレームワークは、どこかの企業で実際に使われているものなのでしょうか。 個人的には懐疑的です。過去いくつかのグローバル企業でマーケティングマネージャーを務めてきましたが、世に知れた「フレームワーク」を使って業務をした経験があまりないからです。 会社として取り入れていなくても、自分自身でやろうとしたことはあります。しかし、一部の例外を除き、あま

          30分でできて企画が激変する3C分析

          「自分らしさ」の解像度を上げるノート

          自分らしく働きたい。誰もがそう思ってるはずです。では、みなさんは実際に今、自分らしく働けているでしょうか。 この質問に答えるのは、自分らしい仕事を見つけるのと同じくらい難しいかもしれません。なぜなら、「自分らしい」という言葉の意味がとても曖昧でつかみづらいからです。 自分らしく働くには、何よりまず「自分らしい」の正体を突き止めなくてはなりません。 そこでこの記事では、わかりやすさを何より重視しつつ、リーダーシップ論などの専門的な議論にも少し首を突っ込んで、この言葉の解像

          「自分らしさ」の解像度を上げるノート

          AIは立食パーティーなんて行かない

          立食パーティーが嫌いだ 立食パーティーが嫌いです。いや、大嫌いです。2時間の立食パーティーなら、最初の40分くらいを何とかやり過ごし、一人になったタイミングで急用ができたフリをして抜け出すのがいつものパターンです。そして、そのあとは大体、自身の解放を祝して一人で牛丼かラーメンを食べます。 なぜ40分かというと、そのくらいの時間であれば、最初に見つけた知り合いと雑談をしてやり過ごせるからです。多くの場合、そうして最初に見つけた知り合いは、30分ほどで「ちょっと飲み物とってき

          AIは立食パーティーなんて行かない

          夢は永遠に叶わない方が幸せ

          夢を失った喪失感は新たな夢をくじく何か大きなイベントに向かって必死の努力を続けた人が、それが終わった後、燃え尽きたように気力を失ってしまうことがあります。 「バーンアウト」と言われるこの状態は、アスリートやアーティストの話がたまにニュースを賑わせますが、お子さんや学生さんを含め誰にでも起こりうることです。 このバーンアウトは、夢が破れることと夢が叶うこと、そのどちらもが引きがねになると言われます。私は夢が「破れた」方でこのバーンアウトを経験したことがあります。 人間、年

          夢は永遠に叶わない方が幸せ

          「幸せな仕事」はどこにある?

          親戚のTさんの会社が倒産した。地場の印刷会社だった。 地方の小さな印刷会社の得意先は、えてして地元のスーパーや飲食店だ。コロナ禍でそんな得意先からのチラシの発注が止まり、一方で中小企業とはいえ飲食店の何倍もの従業員や設備を抱え、経営の舵取りはさぞ難しかったことだろう。 Tさんの会社はそんな苦難のコロナ禍をなんとか乗り切った。そして、飲食店に活気が戻り、地元の経済が回り始めた矢先、まさにこれからというところで力尽きてしまったのだった。長い洞窟の出口で、もう目にすることはなか

          「幸せな仕事」はどこにある?

          情報整理が上手い人と下手な人の、「話の聞き方」の違い

          多くの人が苦手なのは「ロジカルシンキング」ではなく「情報の整理」「ロジカルシンキングが苦手です」。「言語化が得意ではありません」。そういう悩みを良く聞くのですが、私自身は仕事をしていて、ロジカルシンキングや言語化の能力が必要だと感じる場面はそう多くありません。契約書をまとめるときや、企画や戦略を考えるとき、それらを交渉やプレゼンの場で誰かに伝えるときぐらいでしょうか。 私は新規事業開発の仕事をしているので、そういう機会が人よりは多いと思います。しかし、それでも年中やっている

          情報整理が上手い人と下手な人の、「話の聞き方」の違い

          スピードは新しい信頼の通貨である

          「仕事を速く仕上げる」には複合的なスキルが必要人でも組織でも、相手の能力を計るのに一番手っ取り早い評価指標は「仕事の速さ」だと私は考えます。なぜかというと、仕事を早く仕上げるには、以下のような複合的な能力が要求されるからです。 論理的思考能力 OODAループという考え方があります。人や組織の行動を、Observe(観察)して、Orient(方向づけ=分析)して、Decide(判断)して、Act(行動)するという4つのプロセスに分けて考えるモデルです。 このうち、ビジネス

          スピードは新しい信頼の通貨である

          「攻撃的」でも「受け身」でもない「アサーティブ」なコミュニケーションとは?

          丁寧な言葉遣いでも攻撃の意図があれば攻撃的金曜日の22時。会食を終えて新橋駅で電車を待っていると、ホームに駅員さんの怒号? が鳴り響きました。「はー・なー・れー・てー・く・だ・さ・い。発車できませーん」。言葉遣いは丁寧ですが、その口調には誰が聞いてもわかる強い苛立ちが感じられます。駅員さん、その気持ちよくわかります。一人の酔客の不注意が、大勢に迷惑をかけるだけでなく、その人自身を危険に晒すことになるのですよね。私自身も酔客の一人として身につまされました。 一方で、聞いている

          「攻撃的」でも「受け身」でもない「アサーティブ」なコミュニケーションとは?

          「自分で手を動かさず部下に任せろ」という指示がダメな理由

          中間管理職が育つとチームの生産性は爆増する何人かの管理職(マネージャー)を統括する立場のマネージャーを、グループ・マネージャーと言ったりします。課長を統括する部長だったり、さらにその部長を統括する本部長だったりですね。マネージャーの役割は会社から与えられたチームのアウトプットを最大化することですが、グループマネージャーには、そのミッションを達成するためにとりわけ大切な、普通のマネージャーにはできない仕事があります。それはマネージャーを育てることです。 長年グループマネージャ

          「自分で手を動かさず部下に任せろ」という指示がダメな理由

          毎朝「ベットから飛び起きる理由」はあるか?

          ikigaiとは毎朝ベットから飛び起きる理由年末年始のお休みは楽しいものですが、年明けの仕事はじめは憂鬱なものです。今からそんなこと思い出させるなって? そうですよね、すみません。でももし、皆さんの仕事が、「毎朝ベットから飛び起きる理由」になるとしたら。仕事はじめも、きっと「もういくつ寝ると」と指折り数えるイベントになることでしょう。 仕事が「毎朝ベットから飛び起きる理由」だって? そんなことは、仕事への従業員の熱意を示す「エンゲージメント」がイタリアと並んで世界最低レベル

          毎朝「ベットから飛び起きる理由」はあるか?

          「リーダー」と「マネージャー」を混同してはならない

          マネージャーとリーダーは別物外資系の航空会社に勤めていたとき、営業・マーケ系の日本人管理職が3人選ばれて、「リーダーシップ・トレーニング」なるものを受けることになりました。本社が選んだ研修会社から講師が日本にやってきて、そこから何日間か、我々は日比谷の帝国ホテルの会議室に文字通り缶詰になります。 講師はオーストラリア出身の女性で、「結局のところ(At the end of the day)」というのが口癖でした。名前は忘れてしまったので仮に「ジエンド先生」としましょう。ジエ

          「リーダー」と「マネージャー」を混同してはならない

          「お願い」の技法|The Art of RFP

          何となく名言じみたフレーズが浮かんだので引用のテイで書いてみました。冗談はさておき、実際にそうなのです。会社勤めで仕事をしていると、仕事はつまるところ「お願いされる」と「お願いする」に行き着くことになります。私がいま生業としている「新規事業の提案」なんかは、一見すると「お願いされている」感じはしないですが、実際には会社から「新規事業を考えて」とお願いされているわけです。 にも関わらず、社会では、「お願いのしかた」「お願いのされかた」を教わることは滅多にありません。そういう研

          「お願い」の技法|The Art of RFP