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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2020年10月の記事一覧

『明日、世界一周に行く』という人生

2020/9/24@八王子 『 人は幸福になるために生きているけど、幸福になるようにデザインされてない。』 って本で読んだ。 『 お金は鋳造された自由だ 』 とドストエフスキーは言った。 明日、世界一周に行くこの言葉が胸にあれば、生きていける。 人生の軸である。 歩くための背骨である。 " 明日、世界一周に行ける " 自分になるために、今日の自分がある。 自分になるために、今日の自分がある。 湯浅教の誕生である。 絶対的な教えがあれば、宗教は作れる。 教典は、『 幸

深夜のマツキヨで出逢ったひとつぶ16円のキミ

その日、私は疲れていた。 まかないの量が少しおかしい、優しすぎるご夫婦が営む郷土料理屋。大好きなバイト先にも2020年の時勢は大きなダメージを及ぼしていた。観光客を客層の主とする店だ。予約数ゼロが続くカレンダーの前で困り果てているご夫婦を見て胸が痛む。とはいえ私はアルバイトを2つしているため、個人としての影響はほとんどなかった。 そう、ほとんど、なかった。女将が帰ってきた、それを除けば。 若大将の母である女将は私が働き始めた年に第一線から退かれたため、あまり面識がない。

10年

2010年。今から10年前、私は2度目の離婚をした。 あれから10年が経った。 今日、仕事から帰ってポストを開けたら不動産屋からマンションの更新手続きの書類が入っていた。 「あ。5回目の更新だ。あれから10年経ったんだ。」 当時、娘は18才だった。高校3年生も終わりに近づいていた頃。 娘はモラハラ夫(娘にとっては義父)との離婚を切望していた。2度目の離婚は娘に背中を押されたことが大きい。 とても頑張り屋さんで、手芸とトランペットが趣味の娘は、高校を卒業したら将来の

立ち飲み屋が苦手な僕が立ち飲み屋に行く理由

 立ち飲み屋が苦手だ。  店構えがまず入りにくい。そして、一歩勇気を振り絞っても店の中でワイワイしている常連がいて心が折れる。意を決して入店できても、話しかけられたらどうしよう、店の人とうまくコミュニケーションできなかったらどうしようという不安が襲う。不安があると酒はまずくなる。まずい酒を飲むくらいなら一人で家で缶チューハイでも飲む。  これは、「立ち飲み屋=常連の人と店員を交えながらワイワイコミュニケーションする場」という考えからくるものだ。  世間的な立ち飲み屋の印象

吉田さんなのか、店員さんなのか。

アルというマンガサービスでライターとして活動しています。midori(みどり)です。 吉田さんは、わたしの会社の一番近くにあるローソンのかなり声が大きいカリスマ店員のおばちゃんです。 吉田さんはいつもお昼のシフトに入っていて、11時45分ごろに店内へ入るとっても明るい声で出迎えてくれます。また、なんせ声が大きいので色々と聞こえるのですが、アルバイトへの接し方も非常におおらかで、素敵な方です。 都心のビジネス街のローソンなのでお昼時にはそれは大変な混雑になるのですが、少し

職場でコーヒーを淹れるようになって、くるりの歌詞の意味がわかった話

こんばんは。自称Vtuberのブルーウェットふみ乃(@BLVEWHET)です。また雑記っぽいもの(雑記そのものでは)を書きました。 --- 職場でコーヒーを淹れるようになった。いまの職場に来て4年目になるが、ずっとやりたいなと思っていたけどできていなかったことだ。理由はだいたい100個ぐらいあって……というのは嘘だけど、いろいろある。家でドリッパーがひとつ余っていたからとか、共用のインスタントコーヒーマシンが利用率低下により撤去されたからとか、少し長めに離席しても特に何も

138 夕方のジャムトースト

休日に夢中で本を読んでいると、なんとなく活字が見えにくくなったな、と思い顔をあげたら夕方でした。秋の夕方はほんの一瞬。あ、と思ったら、すぐに夜になっています。 窓から見える夕方の空はとてもきれいで、顔をあげてよかった、と思いました。 早足で過ぎる雲。オレンジ色の空気。 今日一日にさよならを告げる太陽の光は、心底あたたかくて贈りもののようです。 そんな風に夕方に見惚れていると、ほら、もう夜です。 この夕暮れを目にとどめたい、と思いました。 冷蔵庫を開けると、ジャムがふたつ

東京タワーは、東京でいちばん優しい。

今日は、「普通の旅」をしました。 「普通の旅」というのは、自分の住んでいる地域とは違う場所に宿泊し、1泊2日はその地域で生活するというだけのことです。 こういう風にして、僕は疲れていると感じたとき、いつもいる場所から少し離れて、ボーっとする時間を確保しています。 仕事や家のことで忙しくしていると、どうしても「あれを終わらせなくちゃ…」「早く寝ないと…」と、常に何かに追われている感覚になります。 特に僕は、家で仕事することが多いので、仕事のオンオフが曖昧になりがちで、仕

メイク・ユー・ハッピー

口紅が減らない。 マスク生活が板についてから、 口紅をあまりつけなくなってしまった。 マスクの内側に 口紅が色移りするのが厭で、 唇にのせるのは 淡いリップクリームばかりになった。 コスメ売り場の中で 口紅のある場所が好きだった。 少しずつ違う色のグラデーションが お行儀よく並んでいるのを 眺めているのが好きだった。 今の季節なら 秋の木の実みたいな こっくりとした赤。 ベージュのニュアンスのある 絹地の更紗のようなピンク色。 この色が好きだなと思って買って帰ると、 結局似

第1話 僕たちはなぜ、水曜日に働くことをやめたのか 宇野常寛「水曜日は働かない」

宇野常寛さんの連載エッセイ「水曜日は働かない」が単行本になりました。  2019年の7月24日の、たぶん午前11時30分ごろ。僕たちは毎週水曜日に働くことを、やめた。  それは夏の、暑い日の朝だった。僕と相棒のT氏は朝いちばんで集まって、10キロのランニングを終えた。見上げた空はピーカンで家から一歩出るともう、それだけで茹で上がるような気分になっていた。僕たちはビルの谷間の日陰を選んで、身を隠すように走った。それでも走り終えたときは全身から汗が吹き出して、雨上がりの傘のよ

ポジとネガ

「恋が終わってく瞬間」を味わったことがあるだろうか。 「その人」は、確かに私を愛してくれた。 私も確かに夢中で愛した。 なぜ、終わってしまったのか。 その理由は明白だ。 「その人」が嘘をついていたからだ。 ある日突然、「その人」からコンタクトがきた。 とても丁寧な文章はすぐに私を魅了した。 心のこもった言葉は乾いた私の心を隅々まで潤わせた。 「人を愛する」ということを久しぶりに思い出させてくれた。 「信じる」ということを何年かぶりに味わせてくれた。 そん

心の消しゴムの話

夢は楽しい夢であったからよかったんだけど、夢とは裏腹に、昨日の現実、仕事関係で、嫌味だなって思うことを言われてね、そのときは耐えたんだけど、人もいたし。大人気ないこと言うな、傷つくなと思ったけれど、言わなかった。わかって言ってるのかわからないで言っているのか。きっと強いひとならば、ばーん、と「それ、失礼じゃないですか?」って言えるんだろうけれど、私はあんまり言えないタイプ。あと、言わない。わざと言ってるのだろうから、それに対して言ってもね、、、。なんかその土俵におりたくない。

コーヒーの木にあるロマンと夢

観葉植物として人気のあるコーヒーの木。名前の通り、コーヒー豆のもととなるコーヒーの実がなる木だ。 パキッとした緑で、艶のある葉。とても美しくて、生命力があって頼もしい。私はこの植物に、憧れのようなものを抱いている。自分にないものを持っているように感じられるからかもしれない。 だが、コーヒーの木はその観葉植物としての魅力だけにとどまらない。 コーヒーの木は本来、高い気温と寒暖差を好む。そのため赤道付近で標高の高い場所が好きな木だ。コーヒー豆の栽培が盛んに行われているのも、

「お金」は好きだけど「お金を稼ぐこと」にはそこまで興味が持てないあなたへ

「お金が欲しいと思っているのに稼げていないなら、お金を稼ぐのが下手なだけだよ」 とある事業家っぽい人がそんなふうに言っているのを聞いて、私はすこしムッとした反面、じわじわと、ああ、なるほど…なるほどなぁ……と、自分のこれまでの色々なことが腑に落ちたのであった。 自分のこれまでの仕事の選び方を振り返ってみると、できるだけ沢山お金が欲しい、と思いながらも、給料や報酬だけではなく、やりがいとか、自分の強みとか、自分の経験とか、責任の大きさとか、色々考えて選んでいた。 お金が欲