ふむふむともくもく

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やわらかな絵と文章を不定期投稿。数年後に読んでも「いいな」と思えるnoteを目指しています。Twitterは毎日更新しています→【アカウント名】@fumu_moku【URL】https://twitter.com/fumu_moku

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    ふむふむと思ったことと、もくもくと感じたうれしいことを集めました。

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    思ったことを、ぽろぽろとおしゃべりします。見るラジオのようなイメージです。

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    フィクション作品集です。読んだ方が希望を感じるような文章を目指しています。

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065 おにぎり道を私も

なんにも予定のないお昼前。 外は雲がところどころ出ていますが、からりと晴れています。 エアコンのいらない気持ちのよい日曜日。 実家の畳の上で猫ところがってなまけていると、母がやってきました。 「お昼はおにぎりランチにしない?」 おにぎりランチ! 素晴らしい提案です。 私はふとももに乗っかっていた猫をぽとっと畳の上に落として(猫は目をまるくしたあと迷惑そうな表情をしました)、台所に母と立ちます。 私が手を洗っている間に、母は戸棚や冷蔵庫からあれこれ出してカウンターに並べます

    • 199 まるみとあたたかさ

      「まるみ」を感じると、やわらかなあたたかさが胸に広がる。 たとえば、しっかりと酸味のあるトマトをコトコトと煮て、味見をすると酸味がやわらいでコクのある味になっていたとき。 酸っぱさがまるくなった、と思う。 たとえば、誰かの言葉にショックを受けてさみしさがにじむ怒りを感じても、その思いを外に吐き出すことなく自分だけで上手に気持ちを切り替えられたとき。 まるみのある強さが少しは身についたかも、と思う。 または、冬の厳しい寒さの中に午後の陽がさしたとき。 冷たい空気がまぁ

      • 198 小さな空とたい焼き

        新幹線のひとり分の窓から、小さな空を見ていた。 雨が上がったばかりで空は穏やかな青に戻りつつあったが、まだたくさんの雲が浮かんでいる。 それらの景色は、家や川や木と一緒にあっという間に流れていく。 田んぼや山は、少しだけゆっくり流れていく。 一つひとつの場所をすぐに通り過ぎてしまうので人を見つけられず、やや寂しい。 東京に行くのは約3年ぶりだ。 普段お世話になっている会社に挨拶へ行く。 東京に着いて上を見上げると、新幹線の窓とはまた違った形の小さな空が見えた。 周り

        • 197 きらめく毎日をつなげていく

          暑さで目が覚めた。 エアコンはとっくに切れて、おとなしく吹き出し口を閉じている。 まぶしさを感じて開けっぱなしのカーテンの方を向いたら、長方形の青空が見えた。 土曜日の朝。すでに十分暑いが、気温はこれからもっと上がるのだろう。 部屋を見渡すと、散らかり放題でゲンナリした。 テーブルには使い終わったコップ、床には乱雑に積み重ねられた本や書類、椅子には昨日着ていたブラウスとズボン。 私は、ひとつ息を吐いて目を閉じた。 昨日のモヤモヤがまだ残っていて、心を曇らせる。 「天気

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        065 おにぎり道を私も

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        記事

          196 夏の音楽を聴いた日

          明け方に強く降った雨は、涼しい朝を連れて来てくれました。 ベランダの植物は艶が増して、機嫌よく歌っているみたい。 今月やらなければならない仕事はまだまだ残っていましたが、気分転換も大切。 みずみずしい空気を存分に楽しみたくて縮景園に行ってきました。 紫陽花も菖蒲も終わって緑一色の縮景園は、人がほとんどいません。 マスクを外して思いっきり深呼吸すると、池の水や夏色の木々を渡ってきた風が身体中に染み渡り、空気にも滋養があることを体感しました。 屋外なので当然エアコンはありま

          196 夏の音楽を聴いた日

          195 答えがわからなくても口笛吹いて

          答えがわからなくても、口笛吹いて進んでいける。 これは、高校生のとき、おじさんに言われた言葉だ。 母の弟であるおじさんは、母にイタズラをしたり、近所の子とけんかをしたり、学校の授業をサボったりと、「チョイ悪」だったらしい。 でも、学校の先生にも、近所の人にも、けんかをした相手にすらも慕われていたようで、母は心のままに生きるおじさんを少し羨ましいと思っていたそうだ。 正直なところ、私はおじさんのことがやや苦手だった。 体が大きくて、声も大きくて、ずばずばものを言って、会う

          195 答えがわからなくても口笛吹いて

          194 ふむもくの心をほぐす5つの方法

          一日一日をたっぷりと生きていくより他は無い。 明日のことを思い煩うな。 明日は明日みずから思い煩わん。 きょう一日を、よろこび、努め、人には優しく暮らしたい。 これは太宰治の『新郎』の冒頭部分にある言葉です。 「たっぷりと生きる」という表現が素敵ですよね。 私は仕事が予定通りに進まなかったときや心配ごとがあるとき、ふとしたことで焦りを感じるときにこの言葉を思い出します。 「一日一日、たっぷり生きるしかないんだなぁ」 まだわからない先のことにとらわれるくらいなら、まず一

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          194 ふむもくの心をほぐす5つの方法

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          193 シンプルな魔法

          私は、週に1〜2回ワーキングスペースで仕事をする。 その場所は公園を過ぎたところの川沿いにあり、季節ごとに変わる景色も楽しめる。 家よりも断然仕事に集中でき、気がつくと5時間一度も休まずにキーボードを打ち続けていたということもあるくらいだ。 先日、仕事が一区切りついたタイミングで、ワーキングスペースのお姉さんにコーヒーをお願いした。 お姉さんがコーヒー豆をひいている間、目を閉じて待っていた。 じんわりと全身に広がる疲労感が心地よい。 視界からの情報をシャットダウンすると

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          192 知らない道を歩けば

          ラジオで歴史の先生がこんなことを言っていた。 「いろいろな時代の記録や人の日記を読んできたが、どの時代の人も『今は変化の時である』と書いている」 そう、世界は常に変化している。 実際、ここ数年だけを見ても、予想外のことが立て続けに起こった。 目にするとつらくなるようなニュースが多いように感じるが、そんな中でも世界をよくしようと技術の進歩や新しいものの開発に注力する人もいれば、活動をする人もいる。 たとえ大きなニュースにはならなくても、良い変化だってどこかでたくさん起こ

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          191 朝の小さな楽しみ

          私の父は早起きが得意で、家族のだれも起きていないような時間に起きては絵を描いたり、本を読んだりしていた。 それに気づいたのは小学生くらいのころで、まだ外がそれほど明るくない時間にデスクライトだけつけて机に向かう父の背中は今でも忘れられない。 「すっごく早起きさんなのね」 朝食の席で父に尋ねたことがある。 「朝はゴールデンタイムだよ。寝ているなんてもったいないじゃないか」 父が描く絵は飛行機やヨットが多かったが、こっそりスケッチブックをのぞくと、青色だけもページもたくさんあ

          191 朝の小さな楽しみ

          190 ささやかな喜びは心のサプリ

          小さなしあわせは、心のサプリだと思う。 ただし、摂取するためにはお水の代わりに感覚を準備する必要がある。 視覚でも味覚でも触覚でも…もちろん嗅覚でも聴覚でも構わない。 ぜんぶでも良いし、どれかひとつでもいいので、いつもより少し感覚を研ぎ澄ましたら隠れていたサプリを見つけることができる。 生きていくことは、やっぱり大変。 思うようにいかないし、言いたいことを言えずに飲み込むときもあるし、うっかり同じ失敗をしてしまう日もあるし、理不尽なことだらけで息すらできないこともある。 そ

          190 ささやかな喜びは心のサプリ

          189 「大丈夫」の強さとやさしさ

          「大丈夫」という言葉には、強さとやさしさがあるなとしみじみ思う。子どもが転んで泣いているそばで、母親が「だいじょうぶ、だいじょうぶ」とおまじないのように言っている姿を見ると、やわらかい気持ちになりつつ、自分に言われているわけでなくても「そうか、転んでも大丈夫だ」と心強く思うものである。   また、いつもと様子が違う人に対して「大丈夫?」と聞くことがある。これは、相手を慮る質問。この言葉によって、相手が「実は体調がすぐれなくて」や「落ち込むことがあって…」といった、心の中で抱え

          189 「大丈夫」の強さとやさしさ

          188 見えない相手の笑顔が見たくて

          「リモートワーク」という働き方を始めて、10カ月ほど経った。 私の仕事は、主にコラムを執筆したり、専門用語や法制度の解説文を書いたり、文章の校正を行うことである。知人には「フリーライター」と言われるが、そんな大層なものではなく、頼まれた文章に取り組む「書きもの専門の内職屋」の方が正確だ。数社と契約しているが、どの会社も私の住んでいる地域外にあるため、仕事のやり取りはメールかビジネスチャットで行う。   リモートワークを始めて感じたことは、だれかと直接会わずに仕事をする気楽さで

          188 見えない相手の笑顔が見たくて

          187 ピンク色のしあわせ

          うららかな晴天が続くやわらかな春の日々。 啓蟄が過ぎた頃ベランダで小さな虫を見かけて、春分が過ぎて陽が差す場所がより一層明るくなってきていることに気が付いた。 こんな風に周囲の景色も生き物も季節とともに進んでいることを感じると、なんとも穏やかな気持ちになる。 数えきれないほど繰り返してきた春。 でも、訪れる春は毎年少しずつ違う。 春を迎える側も、毎年小さくあるいは大きく変わっている。 2022年、いつもと同じようで同じではない春を迎えることができた。 私にとって、デパー

          187 ピンク色のしあわせ

          186 言葉にならない吐息

          冬が舞い戻ってきたような寒さの夜。 街の灯は、てんてんと続いている。 明日の食パンを買うことを口実に家から出た。 夜の空気のつめたさが胸に入り込んでくる。 食パンを手に入れるミッションはあっという間に完遂してしまったので、食パン入りのエコバッグを気持ち振りながら遠回りして帰ることにした。 意外と車は走っているが、歩いている人や猫はいない。 濃紺の空には、チャコールグレーの雲が浮かんでいる。 ふぅ、と思わずため息が出る。 なぜ私はミスばかりしてしまうのだろう。 定期的に訪

          186 言葉にならない吐息

          185 心のぬくもりを抱きしめる

          「少ない」というと、不安に感じることもあるかもしれない。 例えばストックが少ないと心配、お金は少しでもたくさんほしいなど。 もちろん、「もっとほしい」という気持ちは原動力になり、進歩や成長につながることもある。 しかし貪欲になり過ぎると、足りない気持ちが増幅して恐怖感にとらわれることがあるのではないかと思う。 そして恐怖から生まれる行為は、時として取り返しのつかない事態を起こし、恐怖の連鎖が始まる。 なんだかカタい始まりになってしまったが、「ほのぼの」という言葉を改めて

          185 心のぬくもりを抱きしめる