168 しゅわしゅわと思い出す
子どものころ、ラムネを飲むのが苦手だった。
一気に飲もうとするとビー玉が飲み口を塞いでしまうし、そうならないように試行錯誤していると、いつの間にか炭酸がぬけてぬるく甘ったるい液体になるからだ。
「こうやって飲むの。こう」
姉は私を笑いながら、飲み方を教えてくれる。
「瓶のくぼみにビー玉をひっかけて。あわてて飲むから失敗するの」
当時はそれでもうまく飲めなくて、自分の不器用さとせっかちさを笑われた気がして、恥ずかしくなっていた。姉が飲むラムネは、きらきらと輝いて見えた。
そ