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139.もしも何かひとつ、これだけはしなくちゃいけない、というものがあるとすれば、それは闘う勇気よ!

「ホーム・フオーク」

 
 世界最高年齢の作家セイディ103歳、ベッシー101歳
 
 1995年9月25日、ベッシー・デイレーニがなくなった。
 丁度ベッシーは105歳、妹セイデイは106歳となる。


デイレーニ姉妹は二人で支えあい、二人で悩み、二人で楽しんで生きてきました。ベッシーは、

「もしも何かひとつ、これだけはしなくちゃいけない、
 というものがあるとすれば、それは闘う勇気よ!」

このベッシーの最後のこの言葉は心にいつまでも残り続けるでしょう。


人生を100年以上生きてきたセイデイとベッシー。
2人は100歳でベストセラーリストにのり、デビューをしました。


全米でベストセラーとなった本、「セイデイとベッシー」は2人の黒人姉妹の自伝でした。
この本を出版したのはセイデイ103歳、ベッシー101歳。二人は世界最高齢の著者といわれています。

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※セイディーとベッシー ―アメリカ200年を生きた私たち /セアラ・L.ディレーニー&A.エリザベス・ディレーニー 藤井ひろこ訳より。講談社



本人たちは、どうして騒がれているのかまったくわからないといった顔で、それでもマイペースに生きている2人でした。


2人は姉妹として育ち、父のヘンリーは奴隷の子として生まれたが、やがて黒人では初めての米国エピスコパル教会の主教に選ばれた人です。
彼の10人の子どもたちは、全員、大学を出て専門職につきます。この時代は白人、黒人問わず高校以上に進学する者はまれなことです。


この姉妹の自伝の面白さは、2人の個性がとても可愛らしく、とてもチャーミングで抜群の記憶力と知性にあふれている点かもしれません。
2人は黒人の父ヘンリーの「人の役に立て!」といういいつけを守り、キャリア・ウーマンの道を選びました。


二人の目標は、モーゼが120歳まで生きたのだから120歳まで生きるとベッシーは語ります。するとセイデイは、あんたが120歳なら、わたしは122歳まで生きるといい出しました。


その理由は、セイデイの面倒を見るためだというのです。
このように100年以上2人は支えあって生きてきたのです。


セイデイは、ベッシーに対して、
「だってわたしは妹を生かすために生きているんですもの」

「わたしたちは、愛する人をたくさん見送りました。長生きして何が辛いかといえば、そのことですね、知り合いはほとんど灰になってしまいました。でも、わたしたちがまだこの世に生かされいるというのは何か理由があるかもしれませんでしょ。だから、この本を残すことにしたんです。これで生きる目的ができましたもの。たった一人の人でも役に立つのなら、それは意義のあること。これは、母がよくわたしたちに言っていた言葉なんです。」


姉妹の母ローガンは、白人と変わらないほど色は白く、奴隷の身ではありませんでした。黒人であることで差別を受け続けてきたヘンリーと、黒人であるのに白人に近い母。二人が一緒になることにはそれでも難しさがあったのかもしれません。


母ローガンの父親は白人で祖母は黒人。二人は愛し合っていましたが、この時代は正式に結婚することは認められてはいなかったのです。


そして、父ヘンリーと母のローガンはまわりからの反対をよそに、1886年に教会で結婚します。翌1889年にセレデイが生まれ、1891年にベッシー、そして10人の子どもたちを育てます。


1596年になると、アメリカでは黒人差別が強くなる頃に“ジム・クロー法”が生まれ、セイデイとベッシーは子ども時代を迎えます。1954年に最高裁は人種差別は憲法違反であるとの判決を下し、1964年に人権法、1965年の投票権法、1968年の公正住宅法が相次いで成立して、ジム・クロー法は葬られた。


しかし、この法律がきっかけで現在もまだ黒人差別は残っています。


「わたしは人種差別に怒っているの……。わたしは決して泣き虫ではなかったけれど、黒人だからといってひどい扱いを受けたときは……泣きましたね。そんなときには、家に帰り自分のベットに座ると、頬を伝って涙が止めどなく流れてきたの。涙が枯れるまで泣きましたよ。」


そんな時の母は何も言わず、ただベッシーやセイデイが泣くのをただ黙って見ていました。それが二人のわずかな支えだったのです。

「わたしは他の人に比べて特に劣っているとは思わないわ。そういうふうに育てられましたもの。ここで言っちゃおうかしら。実はね、わたしは他の人より優れていると思うの。黒人は劣時だと思うべきなのか考えたことがあるのよ。でも、私は子どもながら考えましたよ。わたしにも人格があり個性もある…つまり、わたしは人間だということをね!どうしてわたしのことをそう思ってくれないのか理解できませんでしたね。だって、どう見てもわたしは人間だもの」


ベッシーは、こんな調子で自伝の中で語り続けます。

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セイディーとベッシー ―アメリカ200年を生きた私たち /セアラ・L.ディレーニー&A.エリザベス・ディレーニー 藤井ひろこ訳より。講談社


ベッシーとセイデイの自伝はなぜ、このように全米で湧き返ったのでしょう。100歳を越えてから本を出したということも当然ながら世間を驚かせたわけですが、もちろんそれだけではありません。

これだけ人種差別の世界の中でベッシーとセイデイは運命を受け入れ、その運命に対して自らの仕事を通して彼女たちは人種差別運動を展開していきます。


そして、この自伝が、驚くほど陰湿な暗さがなく、大勢の人がこの姉妹の明るい前向きな生き方に強い共感を与えたのかもしれません。

二人の共通点は「楽しく生きること」といいます。
セイデイはこんなことをいいます。

「今日という日も、きっと何か新しいことを運んでくれる。まだ経験していない何かをすることになると思うのです。そう思っていられる限り、人は年をとらないのよ」

ベッシーがこの世を去り、セイデイは一人残されてしまいます。
二人で励まし合い、二人で支え合い、一〇〇年以上を共に生き抜いてきた二人。
あるとき、ベッシーとセイデイはこんなことを言っていました。

「いつのまにか父も母も、兄弟も、友だちも、知人も、多くの教える子どもたちもこの世を去り、ほとんどの人たちのお見送りをしてしまい、わたしたちが最後になってしまいました。
わたしは何も望むことはありませんが、あるとすれば、ローリーにある家族の墓地に埋葬してもらうことです。母と父のそばにベッシーとわたしと仲良くならんで眠るつもりです。それ以上の望みはありません。」

そう、静かに語ります。


いつの日か、セイデイの望み通りになるかもしれません。
セイデイには、ある口癖があります。


それは「ホームフオーク」という言葉でした。

ホームフオークとは一体何なのでしょう。

直訳すれば「故郷の人々」「家族」「友人」の意味ですが、セイデイはこういいます。
『この人は自分にとって大切な人』と思う人たちの事だといいます。ですから、。誰々さんは、ホームフオーク!と「」いうのは最高の賛辞だともいいます。

もちろん、ご近所の人や生まれ故郷の人たち。年をとってから知り合った人たちも含まれます。

「幸せに暮らしたければ仲間がいなくちゃね!できれば『ひとりの大事な人』をもっているといいわ。配偶者でなくてもいいのよ。友人でもいいし、兄弟、姉妹でもいい、そういう人がいれば、お互いに打ち明け話ができるし、内緒の話もできるし、困ったことがあれば相談もできますからね。そんなわけですから、「ホームフオーク」を見つけたら、大事にすることにしているの。大事な友だちのめんどうは永遠に見るつもりでいるのよ、わたしたち。」


そして、ベッシーは天国という「ホームフオーク」に戻っていったのです。


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いかがでしょう?セイデイとベッシーの人生は。

二人は苦しいことも、つらいこともすべて自分の人生。

嫌なことも、悲しかったこともみな大切な「ホームフオーク」の世界。

一切の過去を否定せず、一切の過去は過去で受け入れ、明るく楽しく生きてきた人生を、この二人の自伝『The Delany Sisters'Book of Eveyday Wisdom』〈デイレーニ姉妹の暮らしの知恵〉で語り続けています。


セイデイは優しく物静かな姉でした。
ベッシーはとても負けん気な強く言いたいことはなんでもいう人。この二人の会話はとても明るく小気味よい。
この二人の過去の回想録を全米中の多くの人たちが読み、感動を与えたのです。


もちろん100歳で本を書くというのもインパクトがあったでしょう。それよりも、この100年の人生を姉妹があくまでも明るく前向きの生き方を強く感じ、深い感動を与えたことにあるのです。

それはまるでバイブルのように、生き方の知恵、生き方のヒントとして、人生を長く楽しく生きる本となり、ベストセラーとなったのです。
姉妹はたった一冊の本で全米で有名になり、テレビ、新聞、雑誌に取り上げられます。

あるコラムニストはこう質問しました。
「お二人の長生きのコツは?」
「長生きしたいなら、正しい食事、運動の効能は大きいが、はっきりいえばもっと大事なのが人生を楽しむことだよ!」とセイデイとベッシーは述べていました。
この本の面白さは、二人は人生を楽しく生きるコツを伝授している本だったのです。


わたしたちのまわりにはセイデイの言うようにどのくらいのホームフオークの人々がいるのでしょう?
子どもが欲しいのだけれどどうしても子どもができない…。
家族が欲しいのだけれど、なかなかご縁がなくて…。
恋をしたいのだけれど、良い人がいない…。
結婚をしているのだが、どうしても寂しい…。
子どもたちが大人になり、自立して離れてしまった…。
小さいときから兄弟、姉妹が欲しかった…。
他人の家庭生活がとても羨ましい…。
一人ぼっちで生きるってつまらないし、寂しい…。
このまま年老いていったらこの先どうなるのだろう…。
このような人たちも多くいますが、デイレーニ姉妹のセイデイはこう言い続けます。


「ホームフオークという言葉は最高の言葉ですよ。ホームフオークは家族であってもいいけど、別に配偶者じゃあなくてもいいのよ!他人でも、友人でも、親友でも、あなたにとって一番大切な、大事な人のことよ!このような人たちとめぐり合うこと、それはとても嬉しいものだし、とてもありがたいものよ。ホームフオークは、幸せを感じる人、幸せを感じる仲間、年齢や性別も関係ないわ!その人は永遠なの!」

どうして家族だけにこだわるの?
どうして家族と言う言葉に縛られるの?
どうして自分の子どもでないと愛することができないの?
どうして結婚することが人生のすべてなの?
どうして子どもたちが離れていくことが寂しいの?
どうして兄弟、姉妹でないといけないの?
どうして年老た先のことばかり思い悩むの?
 
ホームフオークは永遠の人。


ホームフオークはすべての愛する人たちのこと。


わたしには何百人、何千人という愛する子どもたちがいるわ!
全部人の子、全部わたしの子。全部愛する子どもたち。


それ意外に何が望みなの?


ホームフオークは永遠の人。


ホームフオークは愛の人。


ホームフオークは天国(わが家)。


coucouです。みなさまここまで読んでくれてありがとう!

また、あしたね!


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