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無口な歌詞

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あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2021年2月の記事一覧

宙ぶらりん

宙ぶらりん

そんな風に笑うんだね
初めて見るから
すごく驚かされた
.
宙ぶらりんのままの約束
飛ばされた包装紙
これではきっと
そのようなゴミになる
.
捨てなければ
大事そうに
持っておけば
潰えることもないと
確証はないけれど
不思議と自信だけはある
だってあんな
笑ってくれたんだから
.
.
嬉しそうに語るんだね
憶えているのが
たとえ似た話でも
.
宙ぶらりんのままの約束
破られた新聞紙
今でもずっ

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遠からず、でも見えないもの

遠からず、でも見えないもの

色づき始める
宵の月には
意味があるんだって
おじいちゃんが言っていた
.
それは独り言のようでも
語りかけるようでもあったな
.
花盛りの足許に
人知れず吹き抜ける風
眠る鳥の目蓋に触れ
遠い頃を思い出させる
あなたのように
染まりながら
.
.
あれは絵空事のようでも
口が滑るようでもあったな
.
花かがりの焼け跡に
薄っすらと立ち上る湯気
黙る星のまにまに消え
見える位置を思い浮かべる
あの

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待ち合わせ

待ち合わせ

カメラを構えたくなるほど
こんがりと焼けた夕べ
長い時間を一瞬だけ止めて
落とす深い呼吸
.
映画を観た帰り道
余韻を味わいたくて
音楽もラジオも切ってしまう
.
主人公だけがいない街
店頭に並ぶRPGの
カセットの中では
こんな感じなのだろうか
台詞を反芻するもの
身なりを整えるもの
大丈夫 今は待ち合わせ
.
.
コードを飛ばしたくなるほど
難関が続く楽譜
好きな自分を一回だけ捨てて
捜す他の

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会いたくなった

会いたくなった

毛先の跳ねた
起き抜けのままの襟足
そんなことでも
真っ暗だった
.
風は大体向かい風
それは前に
歩いているかららしい
.
会いたくなった
会いたくなった
会いたくなった あの君に
もう二度と戻ることだけはない
この世界の中心でまた
二人きりになりたい
.
.
刃先の錆びた
筆箱の中のカッター
こんなものでも
御守りだった
.
空は忽ち気分屋で
それは何か
隠しているかららしい
.
知りたくなっ

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テーゼ

テーゼ

一人に向けられた歌で
誰もがみな涙を流すなんて
話にならないじゃない
だって筋が違うから
.
指先で止めた
その続きに
知らない人が居るというのに
.
それを勘違いにしてしまうより
そうだねって頷くだけで
信じられそうなことを
何よりも誰よりも
知っているのならば
その泣き顔を恥ずかしがらないで
それは思うよりもずっと綺麗
.
.
一夜で書き上げた歌詞を
翌日また端から直すなんて
大した驚きもない

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最後の恐竜

最後の恐竜

風のような淋しさと
それは違って
正しく叱ってくれる
懐かしさ
.
急ごしらえのテーマパーク
夜通し貸し切り
静まり返る
.
過言じゃない
なんて言ったって
その目の先には
何を捉えているのか
全てを終えた後に
残る塊の中で
どうやって叫ぶのだろう
.
.
花のような眩しさと
それは似ていて
まとめて送ってくれる
恥ずかしさ
.
腹ごしらえのミートソース
記載し忘れる
オートクチュール
.
不思議

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だからって、

だからって、

もうずっと返せていないLINE
緑のアイコンの斜め上
長い間消えることのない
赤い丸に数字の3
.
理由さえなかったから
余計に判らない
迷宮入りのままのその当時
.
今さらになって
重い腰を上げたところで
隔たってしまった
この時間という壁の前に立ち
何を思うのかなんて
ある程度の予想が
ついてしまうくらいには
歳を重ねてきた
だからって、何を待っているの
.
.
もうきっと変わりはしないサイン

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チェーンメール

チェーンメール

待ち設けるだけ
僕は何もしないで
その瞬間のため
英気を養っている
.
そういう設定にしてしまえば
この情けない日々にも
色がつくと思った
.
言い訳の全てという全てを
捲し立てるように綴って
主語を知らない人に変えて
水面に笹舟を浮かべるように
そっと放して流してあげる
思いも寄らない人生が
こうして巡りゆくのならば
それも幸せ
.
.
待ち設けながら
今日も何もしないで
その一日に向け
好機を

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ドロップD

ドロップD

短い命を知りながら
離してくれない
突き動かされるがまま
辿り着いた場所で
我に返るなんて
とんでもない
.
夢は醒めるもんじゃない
忘れてしまうだけ
.
違和感に馴れ
考えないように
過半数に乗れ
従来のテキストならば
それでよかったのに
どうして何で
立ち止まったの
.
.
冷たい涙に暮れながら
赦してくれない
言い含められるがまま
口を衝いたものの
すぐにすすぐなんて
とんでもない
.
嘘は

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モキュメンタリー

モキュメンタリー

洗い晒しのスニーカー
室外機の上で
ぐったりとしている
.
空、高いほど
背を伸ばす道端の草
.
.
洗い浚いのスピーカー
扇風機の奥で
ぼんやりとしている
.
朝、早いほど
血を流す唇の皮
.
.
誰かのせいにしてきた誰かが
目の前から居なくなった
.
強過ぎる外の風にも帰る場所が
ありますようになんて
柄にもないし
似合わない
.
.
いつかのせいにしてきたいつかが
目の前から居なくなった
.

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よむひと

よむひと

独り言の温度は
淋しさの純度
なりふり構わずに
叫べない弱さ
.
吐く煙の角度は
正しさの密度
善し悪しも知らずに
返せない軽さ
.
遠き日の朗読劇
足りない間接照明
.
ただ朗々と
ただ滔々と
浮かぶ台詞に
線を引く
口ほどにもなく
静かにそこで
捲りながら
頷く人
.
.
当たり前の頻度は
優しさの精度
あれこれ並べても
選ばない広さ
.
遠い目の想像力
減らない胸裡の口数
.
ただ朗々と

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New Era

New Era

他人事みたいなドラマ仕立て
なのにまるで気にしない
ベッドの上で寝転んだまま
大きな欠伸を二つ三つ
.
飛び越えて走る
あんなバスに
揺られて行きたいニューエラ
.
むしろ戻っている
場所に帰っている
そんな気持ち
若いまんま
知らないことを知ったまま
泣いて笑った道すがら
世界の地図を書き足してゆく
.
.
他人事みたいな答え合わせ
だから別に変わらない
枕の傍で取り憑いたまま
止まない涎が七つ

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パフェでも食べよう

パフェでも食べよう

人間が嫌い
そんなことを思う
僕も人間だってことが
何よりも嫌い
.
定期的に訪れる
得も言われぬ
マッチポンプ製の反抗期
.
まるで塗り絵か
配られた踏み絵の上
オリジナリティーのつもりが
一つ残らず似たり寄ったり
決まり文句を呟くほかに
救われる気持ちもない
あゝ友よ、パフェでも食べよう
.
.
性格が嫌い
そんなことを思う
これも性格だってことが
何よりも嫌い
.
画期的な打開策
目もくれな

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祝日と発泡酒

祝日と発泡酒

言い訳のつもりで
もうひと口
相槌の代わりに
またひと口
.
消えてゆくうるささに
上手く紛れながら
落とす声
.
注がなくていいの
そのまま口づけ
数えられるくらいで
やめておこうかと
今日も抱きしめてあげる
震えているのは
この肩なのか
それともこの手か
.
.
溜め息のつもりで
もうひと口
口癖の代わりに
またひと口
.
濡れてゆく眩しさに
上手く隠れながら
かける声
.
注がなくていいの

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