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公務員の仕事で楽しいこと

公務員の仕事の楽しみのひとつは、近隣市町村職員との交流。

市町村役場勤務歴 約25年の自分が感じる
公務員の仕事で楽しいことのひとつは…
仕事を通じた近隣の市役所・町村役場の職員さんたちとの交流です。

政令指定都市のような大都市を除く中小規模の市町村では
多くのお金や人手が必要となるような
すべての仕事を単独のまちで行うことはとても非効率なので、
仕事や生活面で住民のつながりが深い近隣の市町村どうしで
協力しあって「広域行政」を行なっています。

たとえば、ごみ処理、消防、火葬場の運営、水道、
介護保険の認定業務などです。

協力しあう圏域内の市町村どうしが共同でお金を出し合い、
「◯◯地区消防事務組合」といったような
業務の目的を一部に絞り込んだ
広域行政の組合をつくることもあります。
(組合の職員さんも公務員です。)

それ以外の
税務担当 戸籍担当 児童福祉担当 産業振興担当 義務教育担当…
といった様々な事務担当部門でも、
各担当部門の市町村職員が都道府県庁などに一斉に集まり、
法改正や、国や都道府県からの通達の内容を確認し、
それぞれの担当部門の業務を正しく運営するために、
定期的な会議や事務打ち合わせ会が行われています。

市町村役場に勤めていると
他市町村の職員は全く赤の他人、
ということでもなく、
業務のなかで他の市町村の職員さんと知り合いとなるケースもあります。

僕は近隣市町村どうしの広域行政の
全体調整を行う担当部署にいたことがあり、
ごみ処理、消防、斎場など、
すでに広域市町村共同で動いている事業のほか、
新たな共同事業の立ち上げや計画づくりなどを
他の市町村職員さんと行なっていました。

日ごろは各市町村の若手担当者(企画調整担当課所属が多い)
が定期的に集まり
わいわいとざっくばらんに様々な話し合いをしました。
新しい共同事業の立ち上げ準備のために、
遠方まで出張し広域行政の情報収集に行くこともありました。

それらの話し合いが担当者レベルである程度まとまっていき、
何かしら決定する事項が出てくると、
各市町村の広域行政担当課長レベルが集まる会議に諮り、
市町村長(首長)会議に持っていき、
正式決定をいただくという流れです。

自分は勤務している市町村とは別の、圏域内の町に住んでいます。
自分の子どもの同級生のお父さんが
一緒に広域行政を話し合う町役場職員さんという場面も多くあって、
仕事のみならず
子どもの幼稚園や小学校の行事でも仲良く交流することができました。

時にライバル同士の市町村という側面や、
首長どうしの主張の違いもあり、
摩擦も生じて意見がぶつかってしまう場面もありましたが、
それらも含めて貴重な交流を経験することができたと感じています。

「平成の大合併」から、真に「個性」を活かしたまちづくりへ。

1999年(平成11年)から、国主導の市町村合併が
全国的に推進されました。
いわゆる、「平成の大合併」です。
国からも合併市町村に対する特別な借入制度が提示され、
市町村合併が大きな社会の流れとなりました。

その結果、
1999年(平成11年)3月31日時点で
3,232市町村(670市1,994町568村)あったものが、

2018年(平成30年)10月1日時点で
1,718市町村(792市743町183村)まで減少しました。
(総務省資料より)

僕が勤務している圏域は
様々な理由から市町村合併にまで至りませんでしたが、
従来広域行政の圏域を形成していた市町村の多くが
合併し単独の自治体になっていきました。

市町村合併の効果はどうだったのか?

人口減少や少子高齢化のという時代の流れのなか、
基礎自治体(市町村)の行財政基盤の確立が必要となり、
合併を促進して行政サービスの効率化や均質化をねらっていましたが、
その効果があったのかどうかは、
それぞれの圏域にもよると思いますし、
住民の方のお仕事やご年齢、家族構成などにもよるでしょうし、
メリットもデメリットも様々あり、
意見は分かれるところだと思います。

それだけに、これからの時代こそ、
住民に一番近い市町村の職員たちが
お互いに切磋琢磨しながら、
まちづくりへの情熱や持てる信念を燃やしながら、
市町村間でどんどん情報交換や意見交換をしながら、
ときにぶつかり合いながらも
ライバル心を良い意味で行政サービスの向上に置き換えながら、

ともに出来る事業は一緒に協力しあいながら、
市町村それぞれの個性を出すべきところは出しながら、
(市町村の広域行政事務にあまり都道府県が入ってくることはありません。圏域ごとに都道府県の担当者をおいて、どんどん議論に入ってきたらよいのにとも感じます。)

これから急速に変化する時代において
そこに暮らす人々の
それぞれの健康と幸せをサポートできるよう
笑顔いっぱいあふれるまちづくりに向けて
みんなで手探りで切り拓いていくべきだと思います。

そういった意味で、
市町村役場で働くということは、
役割、守備範囲、やりがい、創造性という面で
奥深い仕事なのだと感じています。

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