北のデータサイエンティスト

2020年3月に,新型コロナウイルスのデータ解析結果と、シナリオ分析結果をシェアするた…

北のデータサイエンティスト

2020年3月に,新型コロナウイルスのデータ解析結果と、シナリオ分析結果をシェアするためにアカウント作りました.本業とは無関係.医学の知識はありません.

マガジン

  • シナリオ分析と予測

    データ解析だけでは確度の高い将来予測を持ちびき出すことはできません。しかし、将来がどういう場合があり得るのかのシナリオ分析に基づく予測は、ドラッカーの言う「既に起こった未来」を適用できる場合には極めて強力です。そのような分析と予測をシェアしたいと思います。

最近の記事

東京都の自粛緩和基準は専門家会議の基準より3倍緩い

新型コロナウイルスについて、本日(5/15)に発表された東京の自粛緩和の基準の一つは、新規感染者が1日20人未満となることです。 一方国の専門家会議は人口10万人当たり週0.5人としています。 専門家会議の基準をこれを東京都の人口930万人に基づいて1日当たりに直すと、0.5/7/10*930=6.6人/日となります。これは東京都の基準である20人/日よりも、3倍厳しいものです。 東京都でも当然、専門家会議の基準と比較をしたでしょう。その上で、専門家会議の基準の3倍緩い

    • オリンピックが中止となる(延期ではなく)可能性が一段と高く:森会長「コロナ収束見込めなかった場合、再延期はなく中止」。

      日刊スポーツの記事では、記者が「22年への再延期はあるか」と質問したのにたいして、東京2020組織委員会・森会長は「ない。その時は中止。」と答えたそうです。日刊スポーツというのが、ちょっと信頼性が怪しいように感じますが。うがっていえば、森会長が安倍首相のオリンピック私物化(総裁任期中に開催するために森会長の2年延長案を蹴って1年にした)のに愛想を尽かしたのかもしれません。 2021年のオリンピック開催はほぼ不可能なので、東京でオリンピックを開催するならもう1年の延期しかない

      • 曜日の影響を取り除けば、東京の新規感染者は39人しか出なかった27日までのデータよりも、112人の感染者が出た28日までのデータの方が、成長率が小さい。

        27日は東京で39名だったのに、28日は112名に増えてしまったという報道がされていますが的外れです。土曜~月曜は毎週少ないので、その効果を補正して評価しなくてはなりません。そこで、15日間での成長率を推定しました。 その結果、27日に投稿した27日までの推定では0.954倍/日(2週間で51%に減少)、本日計算した下図の28日までの推定では0.945倍/日(2週間で45%に減少)なので、28日までのデータの方が27日までのデータよりも成長率は減少しています。 したがって

        • 東京の新規感染者傾向分析です。曜日の影響を取り除くために15日間(月曜から始まり月曜に終わる)で評価しても、明確に1日当たり新規感染は減少傾向。

          過去15日間のデータで、成長率(1より小さければ減少)を評価すると減少しています。日・月は新規感染者の数が少ないという曜日の影響は、評価期間を月曜から始まり月曜に終わる15日間にしているので、取り除かれています。 昨日今日の日月の値よりも週半ばには新規感染者は増加するでしょうけれど、先週、先々週の値ほどにはならないことを予想します。そうすれば、減少傾向がさらに明瞭であると言うことができます。 しかし、社会的接触を戻せば成長率は元に戻るというのが、こちらで説明したとおり

        東京都の自粛緩和基準は専門家会議の基準より3倍緩い

        • オリンピックが中止となる(延期ではなく)可能性が一段と高く:森会長「コロナ収束見込めなかった場合、再延期はなく中止」。

        • 曜日の影響を取り除けば、東京の新規感染者は39人しか出なかった27日までのデータよりも、112人の感染者が出た28日までのデータの方が、成長率が小さい。

        • 東京の新規感染者傾向分析です。曜日の影響を取り除くために15日間(月曜から始まり月曜に終わる)で評価しても、明確に1日当たり新規感染は減少傾向。

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        • シナリオ分析と予測
          3本

        記事

          4/25予測:東京都知事選で、小池都知事はオリンピック中止派に豹変し、おそらく安倍首相は引導を渡される

          4/19ノートで論じた2021年の東京オリンピック開催が不可能であること(可能性は1割以下)が、東京都知事選挙に与える影響をシナリオ別分析すると、東京の野党がアホでなければ小池都知事はオリンピック中止派に豹変すると予想します。またその帰結として、安倍首相が引導を渡されることになるでしょう。 4/19以来オリンピックの開催の可否がメディア記事で論ぜられることも増え、私が見た範囲ではオリンピックを2021年に開催することは無理というものばかりです。たとえば、日本医師会の横倉義武

          4/25予測:東京都知事選で、小池都知事はオリンピック中止派に豹変し、おそらく安倍首相は引導を渡される

          4/19予測:2021年の東京オリンピック開催が可能かどうかを,モレ無くダブり無くの原則で予想する.結論は開催不可能.

          延期した2021年に東京オリンピックは,果たして開催可能でしょうか?モレ無くダブり無くの原則で,場合分けして考えてみましょう.結論は,ワクチンが多くの国で間に合わないと開催は不可能であり,そのようにワクチンが間に合う可能性は1割も無い,したがって2021年の東京オリンピックは開催できないと予想します.4/20追記:延期のための資金負担が数千億円であり,都か国がかぶる可能性が高いことについて追加しました. 考える場合分けは モレ無くダブり無く(mutual exhaustiv

          4/19予測:2021年の東京オリンピック開催が可能かどうかを,モレ無くダブり無くの原則で予想する.結論は開催不可能.

          社会的接触の減少で感染の峠を越しても,社会的接触を戻せば感染が再燃するのが当然である理由と,そうならない場合の説明

          このノートで説明していること 社会的接触を減らして感染の峠を越したら,社会的接触を戻すことができる,という暗黙の前提に立つ論調が多いと感じます.しかし感染拡大の基本となる数式に照らすと,この前提はハッキリ言ってナンセンスです.社会的接触を戻せば,感染は再燃します.その理由を説明しましょう.ただし,感染が再燃しない場合もありえますので,それについても説明します. 感染モデルの基本 新型コロナウイルスの感染を議論する基本モデルは, 感染者の一日あたりの増加 = 感染者数 × 

          社会的接触の減少で感染の峠を越しても,社会的接触を戻せば感染が再燃するのが当然である理由と,そうならない場合の説明

          死亡率を0.5%とすして集団免疫には人口の5割が感染するとすれば,100万人当たり2500人の死亡すると集団免疫ができるということになります.イタリア・スペインでは国全体でこよりも一桁小さいですが,一部地域の最も感染に晒される集団では達成されたかもしれません.

          死亡率を0.5%とすして集団免疫には人口の5割が感染するとすれば,100万人当たり2500人の死亡すると集団免疫ができるということになります.イタリア・スペインでは国全体でこよりも一桁小さいですが,一部地域の最も感染に晒される集団では達成されたかもしれません.

          日本全国新型コロナウイルス日々感染者の成長率,2, 3, 4週間推定.成長は徐々に減速しています!もっとも現状維持でも医療崩壊は起こるレベルでしょう.

          日本全国新型コロナウイルス日々感染者の成長率,2, 3, 4週間推定.成長は徐々に減速しています!もっとも現状維持でも医療崩壊は起こるレベルでしょう.

          4/8予測:緊急事態宣言は1ヶ月後に延長され,3ヶ月後になし崩しになる理由と,そうならない二つの可能性.

          残念ながら緊急事態宣言は,十分なシミュレーション無しに実施されたようです.安倍首相は,北大・西浦教授の社会的接触を8割減らせば,新規感染者を激減させることができる,ということを念頭に置いているようです.しかし,たとえそれで新規感染者増が峠を越しても,社会的接触を元に戻せば感染拡大の成長率はもとに戻ります.これは感染症モデルの基本から明らかです.例外は感染者の増加によって社会的免疫が獲得できた場合,つまり人口の相当割合が感染した場合と,感染者を徹底的に減らして新規感染者を全員捕

          4/8予測:緊急事態宣言は1ヶ月後に延長され,3ヶ月後になし崩しになる理由と,そうならない二つの可能性.

          東京コロナウイルス感染予測更新.4/15には中央推定値522人/日.過去21日のデータでフィッティング.

          東京コロナウイルス感染予測更新.4/15には中央推定値522人/日.過去21日のデータでフィッティング.

          どういうロックダウンを行うかを決めるのに,可能なロックダウン候補に対する長期の予測が必要である

          本日読んだ,『ロックダウンはするしないの二元論ではない。「する際の条件」こそが重要である。』(4/5 神戸大学・岩田健太郎教授)は,事態が手におえなくなる2週間前には,現状よりも強い行動制約が必要で,問題なのはどういう行動制約(どういうロックダウン)をするかだと論じている. この論旨には大変賛成だ.ただしどういうロックダウンを行うのかを決めるには,こういうロックダウンを行ったらこうなりますという感染終息までの長期予測が必要なはずだ.なぜなら,1・2ヶ月といった短期のロックダ

          どういうロックダウンを行うかを決めるのに,可能なロックダウン候補に対する長期の予測が必要である

          東京と大阪の新型コロナウイルス一週間予測.一週間後の新規感染者は東京で331人/日(下位予測でも190日/日),大阪では78人/日(下位予測で47人/日)

          東京での新規感染者が100名を超えたことが,驚きをもって報道されていましたが,指数関数的成長なので一日当たりの増加は今後も加速します.ではどれくらい加速するのかは,東京や大阪の感染拡大地域にお住まいの方は気になりますよね.そこでそういう方の参考になるように,予測を更新しました. 東京は下の図の通りで,一週間後の新規感染者は中央推定値で331人/日,下位10%推定値(つまりこれより低くなる確率は10%)でも190人/日,上位10%推定値(これより悪くなる=高くなる確率は10%

          東京と大阪の新型コロナウイルス一週間予測.一週間後の新規感染者は東京で331人/日(下位予測でも190日/日),大阪では78人/日(下位予測で47人/日)

          最新論文での推定では,米国の流行期間は7ヶ月~20ヶ月?おそらく,日本ではそれより長い.

          4/3 権威ある米国の科学アカデミー紀要に出た論文を紹介します.原文へのリンクは下にあります.この雑誌はNature, Scienceに次ぐレベルの有力雑誌と考えられています. 注目している結果は二つあります. ひとつは,人口に対する罹患率は52-69%であることで,このことは感染の終息は集団免疫によることを意味しています.つまり集団免疫獲得まで流行が拡大すると想定されています. もうひとつは,図から読み取れる発生初期から終息までの期間が,30週から90週程度であること

          最新論文での推定では,米国の流行期間は7ヶ月~20ヶ月?おそらく,日本ではそれより長い.

          東京での新型コロナウイルス感染爆発を防ぐのに欧米並みの外出制限で対処するなら,1-2年の継続が必要か?

          4/3 日経『 「欧米に近い外出制限を」 北大教授、感染者試算で提言 西浦博氏 』の下の記事では,北大・西浦教授が感染症モデルを使って,感染爆発を防ぐには,人的接触を8割減らすことが必要であり,欧米並みの外出制限を提言されています. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/ 人的接触を8割減らすと上のサムネイル画像に見られるように,新規感染者を劇的に減少させることができます.ただし,この記事に

          東京での新型コロナウイルス感染爆発を防ぐのに欧米並みの外出制限で対処するなら,1-2年の継続が必要か?

          東京新型コロナウイルス予測更新(4/2のデータまで).4/8には,累計で1500人が予測の中心,低い予測で1000人.

          東京新型コロナウイルス予測更新(4/2のデータまで).4/8には,累計で1500人が予測の中心,低い予測で1000人.