東京での新型コロナウイルス感染爆発を防ぐのに欧米並みの外出制限で対処するなら,1-2年の継続が必要か?

4/3 日経『 「欧米に近い外出制限を」 北大教授、感染者試算で提言
西浦博氏 』の下の記事では,北大・西浦教授が感染症モデルを使って,感染爆発を防ぐには,人的接触を8割減らすことが必要であり,欧米並みの外出制限を提言されています.

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57610560T00C20A4MM0000/

人的接触を8割減らすと上のサムネイル画像に見られるように,新規感染者を劇的に減少させることができます.ただし,この記事には書かれていませんけれど,人的接触の8割減をやめて元に戻せば,あっという間に感染爆発します.それを示すために,感染症モデル(SIRモデル)で,人的接触の低減を30-60日の30日間だけ行った計算結果を示します.

画像1

左は記事の試算の図に対応する新規感染者数で,右はその時々での感染者数です.計算は70日まで行っており,30~60日の間で人的接触を8割減しています.確かに人的接触が8割減った30日には,新規感染者数はストンと落ちます.そしてその後は徐々に低下します.この特徴は記事の図と同じです.

しかし60日に人的接触をもとに戻すと新規感染者数は一気に増加し,わずか数日で最初のピークを上回ります.

感染者数は30日から減少しますが(これは治癒する者が新規感染者よりも多いためです),60日から再び増加し,数日で最初のピークを上回ります.

つまり,30日間に渡って都市封鎖のレベルの人的接触の低減を図っても,封鎖を解除すれば数日で封鎖前の状況よりも悪化するのです.

したがって,人的接触の低減で一定レベルよりも悪化しないようにしようとすれば,ゴールとする時期まで(たとえばワクチンができて行き渡るのは早くても2年先かかるでしょう),ほぼ封鎖をし続けなくてはならないということです.休憩があってもわずかです.

これが山中教授が言われている,長いマラソンであるということです.ある対策で対処するなら,その対策でゴールまで走り続けなくてはならないのです.都市封鎖をわずかな休憩で1・2年継続するのは,至難の業でしょう.なんとかそこまで活動を落とさずに,感染確率を十分減らすことのできる生活様式を見いだせないかと思います.

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