4/25予測:東京都知事選で、小池都知事はオリンピック中止派に豹変し、おそらく安倍首相は引導を渡される

4/19ノートで論じた2021年の東京オリンピック開催が不可能であること(可能性は1割以下)が、東京都知事選挙に与える影響をシナリオ別分析すると、東京の野党がアホでなければ小池都知事はオリンピック中止派に豹変すると予想します。またその帰結として、安倍首相が引導を渡されることになるでしょう。

4/19以来オリンピックの開催の可否がメディア記事で論ぜられることも増え、私が見た範囲ではオリンピックを2021年に開催することは無理というものばかりです。たとえば、日本医師会の横倉義武会長もこちらの記事で「ワクチンが開発されなければ開催は難しい」と言っています。ワクチン開発・量産・接種が来夏に間に合わないのは常識なので、これは穏便に開催は無理と言っているわけですね。はっきり言って欲しいところですが。しかし、いまだこの問題が東京都知事選挙に与える分析は行われていないようです。そこで、本ノートでその分析を行います。

対立候補は、東京オリンピック中止を訴えるべき

メディアでの論調がほぼ一致して東京オリンピックの2021年開催は無理というものなので、誰であってもニュースで情報収集を行い常識的な判断能力があれば、東京オリンピックの2021年開催は無理であり、したがって、その準備にお金をかけても無駄でしかない、ということは当然理解できるでしょう。この当然の予測、いわばドラッカーの言う「すでに起こった未来」、を無視しているのは、安倍首相と小池都知事です。このうち、小池都知事は、この夏の都知事選を控えています。

小池都知事が2021年オリンピックを推進するという旗を降ろさないなら、対立候補のベストな戦略はオリンピック中止を訴えることです。なぜなら、この問題については、議論すればするほどオリンピックの中止が不可避であり、その判断を後ですればするほどお金の点でも、国際的な信頼の点でも、傷を深めることが明らかになるからです。

小池都知事の対応戦略はオリンピック中止か

有力な対立候補が都知事選においてオリンピック中止を訴えるならば、小池都知事としてはそれについて議論しても負けるので、ベストな戦略は小池都知事もオリンピック中止派になることです。「都民と世界の安全を守るために、オリンピックを中止します。」と掲げるわけです。この豹変は、勝負勘のよい小池都知事なら十分可能です。また、できれば対立候補がオリンピック中止を打ち出すよりも先に、小池都知事自らオリンピック中止を掲げる方が効果が高いです。対立候補の動きに対応して、変わるのでは、追い込まれて変心した印象を与えますから。

モレなくダブりないシナリオ分析

以上を踏まえて、シナリオ分析を行います。以下の4シナリオで、モレなくダブリなくすべての可能性を網羅しています。

1.都知事選でどの候補もオリンピック中止を訴えない。
2.都知事選の対立候補がオリンピック中止を訴えるが、小池都知事はオリンピックの2021年開催に固執する。
3.都知事選の対立候補がオリンピック中止を訴え、小池都知事もそれに対応してオリンピック中止を選ぶ。
4.小池都知事が一早く、オリンピック中止を訴える。

以上のシナリオでは、シナリオ1の実現可能性は低いと考えます。これが成り立つのは、都知事選までにはさらに増えている、東京オリンピックは無理という報道等を、対立候補が無視するほどアホな場合のみです。シナリオ2も、あり得ないと考えます。これが成り立つには、今度は小池都知事が状況を無視することが必要になりますが、都知事はこの場合の適切な判断を下すのに十分必要な判断能力を持っています。したがって、実際に起こることは、シナリオ3かシナリオ4のどちらかでしょう。どちらであっても、都知事選投開票の7月5日までには、小池都知事はオリンピック中止派になっているはずです。

なお上の分析では、小池都知事が都知事選に出馬することを前提としましたが、後継候補を立てて、自らは国政に転出する場合でも、基本は同じです。小池都知事が後継候補の戦略を指導することは間違いありませんから。

安倍首相が引導を渡されるか

小池都知事あるいはその後継候補が、2021年オリンピック中止を掲げて都知事選を戦うと、まず間違いなく選挙に勝つだろうと思います。この場合2021年オリンピックは中止になります。安倍首相が2022年ではなく2021年への延期を選んだのは、自らの総裁任期が2021年9月までであるためという分析もあります。この分析が真に正しいかどうかは永遠にやぶの中ですが、オリンピック中止となれば説得力を持つことは間違いありません。

したがって、小池都知事の豹変に対して安倍首相が無策であれば、オリンピックを私物化したために、2022年ではなく2021年に延期するという間違った判断を下して、混乱を引き起こし、オリンピックを中止せざるを得なくなった、という批判を浴びます。すでに新型コロナウイルスの危機管理において、失敗を続けている安倍首相がこの批判を耐えられるとは思えません。この場合は安倍首相は、実質的に東京都知事選で引導を渡されることになるのであろうと考えます。

ただし小池都知事が東京オリンピック中止を掲げる際に、安倍首相と連絡を取り、一定の連携を取るということも十分あり得ます。小池都知事としては、国政に転身する場合に、自民党の大きな勢力を敵に回さない方が得策だからです。その場合は安倍首相も、オリンピックの再延期または中止に動く可能性があります。状況を十分分析する能力があれば、当然こうするべきなのですが、安倍首相の分析能力は低いようなので、そうはできないかもしれません。

また安倍首相が東京都知事選を待たず、政権が瓦解する可能性もあります。なぜなら、安倍首相には定量的に先行きを理解する力が欠けていることが明らかであり、新型コロナウイルスに対する2年にも及ぶと言われている対応を託せないことが明らかになりつつあります。このままでは、日本と自民党が沈没しますので、自民党が党の利益のために安倍首相を降ろす可能性もあります。緊急事態宣言を一回延長するのはよしとして、その一回延長の期限を迎えるころには、対策が持続不可能であったことがかなり明らかになります。


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