最新論文での推定では,米国の流行期間は7ヶ月~20ヶ月?おそらく,日本ではそれより長い.

4/3 権威ある米国の科学アカデミー紀要に出た論文を紹介します.原文へのリンクは下にあります.この雑誌はNature, Scienceに次ぐレベルの有力雑誌と考えられています.

注目している結果は二つあります.

ひとつは,人口に対する罹患率は52-69%であることで,このことは感染の終息は集団免疫によることを意味しています.つまり集団免疫獲得まで流行が拡大すると想定されています.

もうひとつは,図から読み取れる発生初期から終息までの期間が,30週から90週程度であることです.ピークから終息まではこの半分になります.米国は世界でももっとも急速に感染が拡大している国なので,最も急速にピークに達しまた終息すると思われます.その米国でも感染流行期間が30週(7ヶ月)から90週(1年8ヶ月)かかるということです.

この論文では集中治療室が不足する,つまりいわゆる医療崩壊が生じるシナリオを用いており,医療崩壊が生じる場合は生じない場合よりも感染流行期間は短くなります.したがって,この30~90週という期間は,集団免疫獲得で感染が終息するという前提では,最短の推定であると言えます.

日本における感染拡大率は,幸い米国よりもはるかに小さく,感染の拡大ペースは遅くなっています.このことから,日本ではより長い感染流行期間となるはずです.したがって,日本が集団免疫の獲得によって流行を終息させるならば,少なくとも1年から2年はかかるでしょう.

https://www.pnas.org/content/early/2020/04/02/2004064117


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