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創造性の最大の敵は、良識である


おはようございます!シロクマです。


写真はロンドンのRegents parkという公園の丘です。
相変わらずの曇天ですが、お気に入りの場所でした。笑


前回は、始めて国際政治学に関する記事を投稿しました。



記事の中では、"創造的破壊"の資本主義が加速する現代社会において、”創造性"は人類にとって機械に対抗する限られた手段であると主張しました。


今回は、この"創造性"がどこから生まれるのか?という点を踏まえ、哲学的な観点から記事を書きたいと思います。


哲学!?」と思った方もいるかもしれませんが、私は最近、この哲学という分野を重要視しています。


「現代社会における地球環境の問題は科学でしか解明できないのであれば、民主主義の問題は哲学でしか解明できない」と哲学者マルクス・ガブリエルは説いていました。(この【民主主義×哲学】は別の機会で...)


哲学に興味を持つようになってから、現代社会における理解の在り方や考え方に対し、かなり客観性や論理性を持つことができるようになったと感じます。


著名な哲学者(全体主義批判をしたドイツ出身のハンナ・アーレントなど)の考えは国際政治に大きな影響を与えています。今後は彼女たちのような哲学者の意見も踏まえ、国際政治学における自身の記事も書いていく方針です。



さてさて、話を戻しましょう。


今回は、前回の記事も踏まえて、【創造性×哲学】というテーマを軸に記事を書きたいと思います。


それではよろしくお願いします。




ピカソの助言

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誰もが一度は耳にしたことがあるであろう画家パブロ・ピカソ。


彼は晩年、「子どものように描くこと」を追求していたそうです。


そんなピカソの印象に残っている言葉があります。




「創造性の最大の敵は、良識である」




なるほど...


この場合における"良識"とはおそらく、大人が共通して持つ"常識"に近いと理解しています。


子どもは成長する中で、大人から良識を教え込まれます。


この良識が、子どもから"創造性"を奪う要因であるとピカソは主張しているのではないでしょう。


例えば、数字。「1.2.3.4.5...」と私たちは存在する"物"が数えられることを理解します。水は数えることはできませんが、mlなど"単位"をつければ数えることが可能になります。


このように数字などの概念(良識)を持ち始めることは、それが当たり前だと「思考 (創造性) の放棄」を促す原因になるのだと思います。このような良識にとらわれていては"創造性"が生まれないことをピカソは既に気づいていたのではないでしょうか?


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子供は誰でも芸術家だ。
問題は大人になっても、芸術家でいられるかどうかだ。



マルクス・ガブリエル


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ドイツ哲学者 マルクス・ガブリエル 「新実在論」


今、注目している哲学者のマルクス・ガブリエルです。


彼の著書には、本当に興味深いことがたくさんあります。



先ほど、ピカソから「創造性の最大の敵は、良識である」という引用を紹介しましたが、彼の考え方もまたピカソに似通ったものを感じ取ることができました。



下記にてマルクス•ガブリエルの哲学的思考を私なりにまとめてみました。↓



「"世界"とは存在する"物"全体のことでしょうか?」


"車"や"数字"、あなたの住む"町"、など何でも構いません。
それらに全体はあるのでしょうか?


例えば"車"を例にとって考えてみましょう。


車を一つ (一台) の全体と認識してしまえばそれまでですが、
車は①車体 ②タイヤ ③内装 など複数の個別が組み合わさった総称です。


"車"という概念で"全体"を捉えてしまうと、複数の個別の組み合わせに気が付きません。


つまり、"車"や"数字"、あなたの住む"町"はすべて何かの組み合わせによってできています。


もし上記のような理解ができるのであれば、"世界"と呼べる"全体"など存在していないのではないでしょうか?

【補足】
個別の物を一つとして捉えられることと、世界という全体を一つで捉えられるということは対等な関係ではありません。


世界という全体を考えるときには、人間の意識には無限の複合性がある側面も忘れてはいけません。


つまり、世界(現実)とは個別の物が重なり合う場所であり、客観的な全体など存在していないということです。



人類の欠点は”全体"を捉えることができるという先入観に陥っていることです。全体は存在していないにも関わらず。


逆に、全体を見ることをやめれば別の新たな観点が見えてくるという理解も可能です。


固定概念を取り除いて世界を見れば、そこから新しい"創造性"は生まれることでしょう。



テクノロジーの進化

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テクノロジーの進化により、情報インフラは整備され、不可能と思われていた技術も実現可能な時代になってきました。


上記のような発展は、「シンギュラリティ」の観点からさらなる加速が見込まれています。


(一応参考動画です)



我々の生活に機械が介入することは、もはや日常的です。


最近、「顔認識」や「音声認識」など機械による"認識"という言葉をよく耳にするようになりました。


この"認識"という言葉は一種の語弊を招いているのではないでしょうか?


なぜなら、機械は実際に認識しているのではなく、あらかじめインプットされているデータを"体系化"しているだけだからです。


上記のような根拠は、機械に人間の持つような"意識"が存在していない点から理解することが可能です。


いくら機器による体系化が正確であったとしても、そのレベルは人間の意識領域には到達することができません。

人間の"知性"には到達することが可能でしょう。
これらの議論はまた別の機会で...


機械は、人間のようにイレギュラーな状況に遭遇しても、人間のように状況を認識し対応することができないでしょう。機械はそれを"ERROR(エラー)"としてアウトプットするしかできません。


人間が機械に勝る一つの長所こそ"意識"から生まれる"創造性"と言えるでしょう。



レゴの複雑性

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LEGOというおもちゃをご存じでしょうか?皆さんおそらく一度は触ったり聞いたことがあると思います。


この世界的に有名なLEGOが約10年間もの間、毎年約30万ユーロの損失を出す瀕死の状態がありました。


しかし、そんな状況下で素晴らしい発想(≒創造性)をもとに、軌道を立て直したエピソードがあります。

これはクリスチャン・マスビアウという元LEGO社員の実体験からです。↓

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売り上げが落ちていくさなか、当時のCEOは、「子どもはなぜ遊ぶのか?」という点にフォーカスをしたそうです。


それまでのLEGO社では、統計的な世界観を持っており、集約された膨大なデータから「遊具セットはもっと単純化されるべきだ」という結論を導きました。


これは、子どもが複雑なことを扱えないという統計結果をもと想定していました。


しかし、この統計結果が事実であるのか否かを確認するためにレゴで遊ぶ子どもたちと同じ目線になって遊ぶフィールドトライアルにてマスビアウは一つの仮説を得ることになります。


仮説のヒントとなったのが、ADHDの少年(ルーカス)が持っていたスケートボードの練習で使っていたボロボロの靴です。

ADHD : (注意欠如・多動症)


マスビアウが、「その靴をくれる?」とルーカスに聞いてみたところ、彼は「絶対あげない」と断わりました。


ADHDを患うルーカスは、スケートボードというかなり難易度(複雑性)の高いスポーツに熱中し、靴がボロボロになるほど一生懸命取り組んだ。


上記のような事実は、「子どもには集中力がない」「複雑性を扱うことができない」というのは単なる統計結果にすぎないことを証明し、彼らはむしろ複雑性を好んで集中する側面があるということの証明になったのです。



LEGOの再建

再建


マスビアウの経験や仮設をもとに、LEGOは新しいソリューションで大きく事業を立て直すことになります。


それがLEGOシリーズです。↓

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スターウォーズ、マーベルヒーローズ、ディズニーなど


上記一覧だけでも、たくさんのストーリーが存在していることが分かります。


これらは一つ一つの独立したストーリーとしてではなく、組み合わせ方は子どもたちの自由です。


例え、組み合わせによってストーリーが複雑になったとしても、子どもたちはそれを創造性によって補い、一層集中力を高めることができるのでしょう。


また、彼らのイマジネーションを助長する役目として、レゴムービーも大きく関与していると思います。

映画の中で再現される、キャラクターやレゴで作った背景や乗り物など、子供たちのイマジネーションを刺激するシーンがたくさん含まれているのではないでしょうか。


確かに、私が幼少期の頃には、レゴシリーズやレゴムービーは存在していませんでしたね。


LEGOは統計的なデータではなく、一つの仮説と創造性を活かし事業を再建してきたのです。



最後に

未開の


我々は今、AIやビックデータなどのテクノロジーの進化により、人類にとって未開の領域に足を踏み入れている最中だと思います。


機械は人間よりも正確で効率的」ということは事実でしょう。


しかし、人間にしか感じ取れない"違和感"や、そこから生まれる"創造性"があることを忘れてはいけません。


このような教訓を忘れないで前進できる人たちこそ、今後の世界で求められているのではないでしょうか?



「創造性の最大の敵は、良識である」





最後まで読んでいただきありがとうございました。




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