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問いギャルシリーズ

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世の中ってホント理不尽! それでも、たくましく生きていく乙女たちの日常と、ひとくちヒント。
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ほめて伸びない人って、いるの?

エリ「あーづがれだー」 こころ「でもやっぱ心地よいもんだね、運動は」 エリ「まーねー」 二人はジムでの運動を終えて、近くの公園でまったりタイム。 エリ「今日で何キロ痩せたかな?」 こころ「ちょっと。結果を焦りすぎ……」 エリ「だって気になるんだもん」 こころ「そんなすぐには変わらんでしょ」 エリ「でも筋肉ついて、基礎代謝も上がれば、どんどん痩せやすくなるでしょ?」 こころ「アンタの場合、そもそも摂取カロリーが多すぎるけどね……」 木陰の下のベンチで二人。 涼しい風。 遠

不安のメリット! お化けに震えろ。

エリ「脚、ふるえてきた」 こころ「まーあと30分は待つでしょ」 テーマパーク内の、とある行列。 看板には「激怖お化け屋敷」と書いてある。 こころ「つか、そんなビビるやつじゃないんだけどね」 エリ「いやもう、そういうんじゃないんよ。アレルギーみたいなもんで」 こころ「じゃあ、やめる?」 エリ「やめない」 こころ「アレルギーならやめたほうが」 エリ「うーんアレルギーと違うか。なんだろう。激辛みたいな。怖いけど食べちゃう! みたいな」 こころ「私、辛いのキライ」 列の並びには

伝えたいけど伝わらない。それは問題なの?(問いギャルシリーズ)

こころ「あの、ありがとうございます。お時間いただいて」 あずき「構わない」 おじちゃんとおばちゃんが切り盛りしている小さな和食屋。 仕事の昼休憩。二人でランチ。 こころ「空いていてよかったです」 あずき「そうね、空いていなかったら来なかった」 こころ「……最近どうですか、プロジェクトのほうなど」 あずき「そうね、あなたは?」 こころ「え、私ですか?」 と、いうところでおばちゃんが注文を取りにきた。 こころはサバの味噌煮定食を注文。 あずきはハンバーグ定食を注文。 和食じ

愚痴を言いたいんじゃない、楽になりたいだけなの(問いギャルシリーズ)

ピコッ。スマホにチャットが届く。 エリ:そんでヒトカラしてきたの? こころ:そ。 こころは自宅に着き、いつものスーツを脱いでいる。 時間はもう23時すぎ。 幸い、今日は金曜日。 いくらでも夜更かししてやる、という気分。 エリ:じゃあ準備できたら、リモート飲みね~ こころ:あい、軽くシャワーしたらいく 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に読書家。ナチュラルにギャル。 ・・・ シャワーを浴びるこころ。 癒

目標って必要? てか、月が来て。(問いギャルシリーズ)

エリ「も、もう、結構、走った、よね、ハァ」 こころ「いや、まだ5分くらいじゃない?」 エリ「おぉ、がんばったね、わたしたち……ハァ」 こころ「いや、終わった感出すなよ」 川の見える少し広い土手で、二人。 ランニング。 こころ「運動不足すぎじゃない?」 エリ「まぁしょうがないよね、エリは頭脳系だし」 こころ「うーんそうなの?」 エリ「とりあえず休憩……」 土手の端に座り込む。 こころは立ったまま。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ

ミスして落ち込み、いちごオレでは癒せない(問いギャルシリーズ)

あずき「D会議室とったから。30分。来て」 こころ「えっ、はい……」 いきなりだった。 こころはそもそも、先輩であるあずきと、そこまで関わりは無かった。 一度だけ小さなプロジェクトで一緒になり、その時の仕事っぷりを見て、尊敬を抱いてた。 そんな相手から、いきなりの会議招集。 こころ(あずき先輩にまで、迷惑かけちゃったのかな……) こころ(やっぱり私には、このプロジェクトは荷が重いんじゃ……) あずきは、いつもの速足で会議室に向かっている。 こころも、重い足取りを急がせな

自信に根拠は不要、ザリガニの子孫(問いギャルシリーズ)

エリ「あ、あそこ見てタラバガニ」 こころ「タラバだってわかるの?」 エリ「おいしそうじゃん」 こころ「いやわからん」 薄暗い、通路や部屋。 分厚いガラスケースの棚。 人工的に再現された小さな海で生物が動いたり、動かなかったりしていた。人のまばらな、水族館。 こころは有給を取った。エリはフリーランスなのでそのあたりは自己管理。 エリ「カニたち幸せそうだね」 こころ「わからんでしょ」 エリ「聞こえないの? 声が」 こころ「……言ってなかったっけ? 私の両親、人間なの」 エリ「

やる気ファイアー理論? 炎を保つ!(問いギャルシリーズ)

こころ「何読んでんの?」 エリ「独学大全って本」 こころ「へー。どんな本?」 エリ「独学について色々書いてあるの」 こころ「いやそれはわかるんだが」 休日の朝、二人はファーストフード店の二階席で100円のホットコーヒーを啜りながら、それぞれ勉強していた。エリの机にはアップルパイの抜け殻(包み紙)が重なっている。こころは、彼女のスイーツ食べすぎに対して呆れるのも飽きていた。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に

7つのケーキに意思は抗えない(問いギャルシリーズ)

エリ「いや~ダメだとわかっちゃいるんだけどねぇ」 こころ「だとしても、でしょ。ケーキ7個はさすがに」ブラックコーヒーをすすりながら言う。 ウッドと緑がバランスよく配置されつつも、打ちっぱなしのコンクリートや直線的なライン、随所のゴールドがモダンな雰囲気を醸し出すカフェ。外の道に面した全面ガラス張りの近くの席で、二人は話していた。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に読書家。ナチュラルにギャル。 ・・・ エ

傾聴ギャルと、冷めた焼きゲソ(問いギャルシリーズ)

こころ「いやホントさ、聞いてないのよ。アドバイスとか」 エリ「は~」 こころ「結局アドバイスとかいって、過去の栄光語って、ほめてほしいんでしょ。あーいう人たちって」 もうずいぶんハイボールを飲んで、酔いが回っていた。むしろそうでないと、こころは愚痴を人に言えない性格だった。今日はエリよりもペースが早い。薄暗い和風の居酒屋で二人、姦しい夜が今日も更けていく。 柄村こころ:軽度の社畜。勤勉家。趣味はヒトカラでシャウト。 珠華寺エリ:意外にフリーランス。意外に読書家。ナチュラ