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心あることば。

山陽新幹線と山陽本線、美祢線の三路線が接続する
「厚狭(あさ)」駅前の通り。
そう説明すれば、典型的な地方都市の街並が浮かぶかもしれぬが、
何軒かの居酒屋が目立つ程度で、
閉店した商店が並ぶ通りに人影はない。
途立つ前、寂しげな表情で佇むある店舗の、
閉じたガラス戸に、私はその言葉を見つけた。

ひとつの言葉で喧嘩して
一つのことばで仲なおり
ひとつの言葉でほめられて
一つのことばで泣かされる
ひとつのことばでたちなおり
一つの言葉のそれぞれに
一つの心を持っている

北原白秋「ひとつのことば」を下敷きにしつつ、
多少色付けされたその詩は、
改めて言葉の奥にある心について考えさせた。
「心ない言葉」と言うが「思いやりがない」という意味を見れば
「心」とは、そもそも思いやりそのもの、と気づく。
心を込めず多くの失言をした私は、
ゆっくりと言葉に心を乗せる術がなかなか身に付かない。
「考えて物を言え」と自らを叱らなくなるのはいつか。

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