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木彫りを何度も何度もつくり直して念入りに仕上げていく。丹精すると言いますね。それが文学にもある。

と大江健三郎は語った
(先日の『100年インタビュー 作家・大江健三郎』)。

この「つくり直す」過程は通常、
「推敲」と言うが、大江は
「エラボレイト」という言葉を使った。
「念入りに仕上げる」という意味の
英語(elaborate)だ。
彼の作品が仕上がったときには
「最初の原稿は残ってない」ほど
朱字が入ったというが、
すべからく文章とは
そのようなものだと言える。
川端康成の推敲の様子にも同じ印象を受ける。
                                 
レベルは違い過ぎるほど違い、
比較すべくもないが、
私も仕事で夜に一度、コピーを書き上げても、
そのまま送信はしない。
翌朝読むと直したくなる個所が
必ず出てくるからだ。

「丹精」とまではいかないが、

一度書き上げられた文章は、
その瞬間から「推敲」を待つ、
のかもしれない。

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