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ヴェネツィア・スナップ【世界多分一周旅イタリア】

ヴェネツィアに到着した時は長距離移動続きで疲れ果てていたので、4人用のドミトリー部屋をたまたま1人っきりで独占できたことに感謝した。
次の日も昼までベッドで過ごし、大量に洗濯をして(手洗いで手が擦り切れそうなくらいの量)、それを部屋中に干して、洗濯物を見ながらバナナとクロワッサンを食べて、Tverで日本のテレビを見たりした。


かの有名なイタリアのヴェネツィアに来ているというのに、一向に出かける気配のない私。何となく気乗りしないのは駆け抜け疲れなのだろうか。
今日も気温30℃を超えてるみたいだし、夕方の涼しくなった時間帯に、まあ行けたらちょろっと見に行って、無理なら明日でいいや。そんなやる気のなさであった。
超有名観光地だとモチベーションが上がらない。人が多いところが好きじゃないししんどいのである。

ある程度、日本のテレビのいくつか(主に有吉とアメトーーク)を見終わったので、特にやることもなくなったので、ヴェネツィアに乗り込むことにした。

ヴェネツィアは島になっていて、そこに泊まるには超高級ホテルか、中級レベルのくせに値段だけ高級なホテルしかない。
そのため私は、電車やバスで10分ほど手前の本土の町メストレに泊まっていた。駅もホテルからすぐなので、本当にあっという間に、18時過ぎにヴェネツィア・サンタルチア駅に到着した。 
こんなにあっという間に着くならさっさとくれば良かったと思いつつ、駅の外に出る。
大体、大きな駅の前はどの駅もロータリーになっていて、バスやタクシーがそこから乗れるものだが、さすがにヴェネツィアのファーストインプレッションには驚いた。
駅前ロータリーがもう運河なのである。
駅前は、有名なヴェネツィアの代名詞のゴンドラだけではなく、水上バス、フェリー、水上タクシーの停留所になっていた。

ここでさらっとだけヴェネツィアの説明を。
「ヴェネツィアとその潟」は世界文化遺産に指定されているが、文化遺産の登録基準6つをすべて満たす3つしかないうちの1つがヴェネツィアだという。
6つの基準は、①人類の傑作、②文化交流の跡、③文化・文明の証拠、④重要な建築物や景観、⑤環境利用の例、⑥出来事・伝統関連らしく、それを全て満たしているヴェネツィア。
観光地のトップクラスであるヴェネツィアは観光客もさぞかし多いことだろうと思ったが、そこまでしんどくなるような人混みでもなかった。たくさんの路地や水路に散らばっているからだろうか、時間帯が遅くて人が帰ったあとだからだろうか、それとも車で来られない立地のためツアーバスでジャンジャン運べないからだろうか。
いや、私が陸にいるだけであって、水上にはかなりの人々が船やゴンドラに乗っていて、運河は大渋滞である。
私は気にせず、迷路の路地を歩き回ることにした。

(歩き回りながら、GRで撮影した写真を大量に貼り付けていく。)

私の相棒GRだが、千の窓を持つアルバニアのベラトで夜の撮影をしていた時に、突然レンズカバーが開かなくなってしまった。窓に見つめられすぎて固まったのだろうか。
色々試しているうちに、電源を入れてレンズカバーが閉じたまま一回シャッターを切って、しばらく待つと開いて撮影できるようになることが分かったので、いつ完全に壊れるか分からないまま、しばらくこの方法で撮影することにした。
なので、ポケットから出してササっと撮影することができなくなり、GRとしての良さが絶望的だが、気長に何とかレンズが開くのを待って撮影するというご機嫌うかがいをしながら、いつか機嫌がなおることを何とか祈っている。
そんな写真を。

メストレ駅からの電車に描かれていた羽根の生えたライオンがどうにも気になってしまった。
ゴンドラの操縦士?はボーダーのTシャツを着ていてかわいい。
iPhone
iPhone

イタリア1物価が高いと思われるヴェネツィア。
レストランに入ってしまえば、スパゲッティに3000円くらいはかかってしまう。
そこで、若者が列をなしている、テイクアウトのパスタ屋さんへ。
ヴェネツィアはイカ墨スパゲッティの発祥の地らしい。実はこれまで見た目で毛嫌いして食べてこなかったイカ墨だが、発祥好きの人間としては、やはりヴェネツィアで食べておこうと思い、安いテイクアウトのイカ墨パスタを注文。
丸亀製麺のような生麺の束から一つ茹でてもらい、どろりとしたイカ墨ソースをかけてもらった。
これを持って、日陰になっていた教会前の広場のベンチに座って食べてみたが、ビックリ。
めちゃくちゃ美味しいのである。
イカ墨って墨汁の味がすると思ってたけど(飲んだことはない)、ちゃんとシーフードのお出汁の味が効いていて美味しいのなんの。しかもイカも柔らかくて美味しいし。
今年の誕生日のパーティーで、イカフライを食べてから、イカのふわふわさ、美味しさにやられてしまい、イカについてかなり見直している。
イカ墨の素晴らしさを発祥の地で知ることができて本当に良かった。一生の思い出だ。

丸亀製麺的
それでも8€、1300円くらいする。
こういうところでヤングは食べている。


19時でもまだまだ暑い夏のヨーロッパ。イタリアのジェラートは、栄養ドリンクとして必要だと感じたら摂取すると決めている。フランボワーズ味が美味しかった。
また、チケッティーというスペインでいうタパスのような、おつまみバルがヴェネツィアの名物らしい。高いレストランには入らなかったが、チケッティーは1つ2〜4€くらいで食べられるところもあり、水やコーラよりもワインが安いため、そちらも節約の意味でワインの摂取をリピートさせてもらった。

エビのチケッティとアランチーニ(ライスコロッケ)


ヴェネツィアと言えばゴンドラとカーニバルとガラスのイメージ。
ジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーのヴェネツィアが舞台となった映画のタイトルが思い出せなくて、もやもやしていた。
旅では、しょうもないことを思い出せないことが増えた。脳がゆるんでいるのかも知れない。トム・クルーズの元妻の名前も、オーストラリア出身でヴァージニア・ウルフを演じたことがあるということまで思い出せたのに、肝心な名前が、何とかマンしか出てこなかった。しめちゃんと映画の話をしょっちゅうしていたのに、その時間がない今、全くワードが出てこない。日本に帰ったら厳しいトークのリハビリが必要だと思う。
それはさておき。
(映画のタイトルは「ツーリスト」、そしてニコール・キッドマン)

マグネット売り場
リアルト橋
私のnoteにガイドブック的な情報は求められてないと思うので名所の名前や由来はほぼ省略。


最初に、無性に気になった羽の生えたライオンがあちこちにいた。
気になって探すようになって、見つけると嬉しかったが、一体何なんだろう。
ヴェネツィアのあちこちに小さくいたり、時には巨大で堂々と鎮座していたりした。このライオンを探すのが楽しくなってきた。古にはこういう動物がいたのかな?という気すらしてくる。
いたら、最高に格好いいと思う。

本開いてるバージョン
いた
いた
いた
あんな上にいた
夕暮れにライオンだけ照らされていた
ここにもいた
わお。本屋にいた。

ホテルに帰ってから後で調べたのだが、「有翼の獅子、聖マルコ」らしく、古くはヴェネツィア共和国の象徴であり、今もこの街のシンボルらしい。

本を開いているのは、平和であること(戦争中でないこと)を示していて、本を閉じ剣を天に向けているものは「いざ、一丸となって戦え」という意味があるとか。
18世紀後半以降、ナポレオン統治下のヴェネツィアで、ヴェネツィアの歴史と栄光をあまりにも象徴する「翼を持つライオン」はいくつも破壊されたが、当時のヴェネツィア市民達はフランス人に対する抵抗と、自分たちの誇りを示すために、厳罰覚悟でこの有翼の獅子の彫刻や絵画を讃え続けたらしい。なるほど。誇り高き有翼の獅子というわけである。
こういうストーリーを知ると、たった一つのレリーフや彫刻がとても興味深いものになる。歴史を知れば、もっとヨーロッパの街歩きが面白くなるのだろうなあと思う。少しずつ、立ち寄った町の背景や歴史を学ぼうとしているが、全体像よりもこういう細部にどうしても惹かれてしまう。そしてかなり偏った趣味嗜好の強い知識だけが深まっていくが、それも私の旅と言えるのかも知れない。

陽が沈んでいった。
暗く色味が変わるヴェネツィアも雰囲気が良い。
そして暗くなりきったら、ライトアップと人の活気とで、明るさが増す。
気づいたら、22時までヴェネツィアの路地を、迷いながら歩き続けていた。
迷ってこそヴェネツィアなのかも知れない。
やっとサンタルチア駅に戻ってこられた時、ホッとした。

サンタルチア駅
イタリア人全員大好きアペロールスプリッツ



イタリアには17日間もいたのに、ポンペイと、最後に寄ったヴェネツィアを先に書きました。それ以外の素晴らしい南イタリアはまたいずれ。

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