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アヒージョ!キャンプの夜はスペインを思い出しながら【4度目のソロキャンプ⑦】

バゲットを美味しくいただく合宿こと、4度目のソロキャンプ。

チーズフォンデュの次にバゲットを美味しくいただくには…。
バゲットにあう食べ物を想像していた時に浮かんだのは、
スペインで食べるエビのアヒージョ!gambas al ajillo!
厳密に言えば、エビのアヒージョの熱々のガーリックオイルの汁につけて食べるタプタプのパンの食べ方。あれが大好きなのである。むしろエビよりもあの汁。
あれをキャンプで再現して、オイルでタプタプになったバゲットを食べようと挑戦してみることにした。
時短&手抜きisベストの私のキャンプの方針として、こちらのハウス食品さんの手を借りる。

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オリーブオイルにこの粉を混ぜるだけでOKなので、そこにエビを入れて火にかければ出来上がり。
これを失敗する人はほぼいないと思う。
メスティンしゅうまいをひっくり返して土にまぶしたり
朴葉みそ料理で朴葉を燃やしたりするような私なので、ひっくり返したり、燃えたりしなければ大丈夫なはずだ。
アルミの使い捨ての容器を、燃えたり穴が開いたりしないように念のためメスティンの蓋の上に置いて、耐熱のグローブをはめてスタンバイ。強風が急に吹いて吹き飛ばされたり、上から鳥の糞が降ってこない限り、失敗はないと思われる。(サイドにはジョンソンヴィルの王族ウインナーがスタンバイ、2本目の焼き芋も火の横で眠っている。)

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グツグツし出して、エビのオレンジ色が濃くなって全体的に白くなったらOKでしょう。少し焦げたバゲットを突っ込んで食べてみる。
予想通り最高。ただの美味しいアヒージョです。
バゲットに浸して食べ尽くした、ん?飲んだ?定かではないがとにかく一滴も残らなかった。

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ちなみにスペインで食べるエビのアヒージョは、私の場合は、マドリードにある「La casa del abuelo」という店でしか食べないと言っても過言ではない。この店に拘っていると言うか、スペインには他に食べるべき美味しいものがいっぱいだからだけど。
ここでは自家製の甘い赤ワイン(これがめちゃくちゃ美味しいのよ。甘いのよとにかく。ワイン苦手な人にも飲んで欲しい、エビと合うから。)とエビのアヒージョしか頼まない、行きつけのお店。
偉そうなことを言っといてなんだが、ここはどのガイドブックにも載っている、誰でも知ってるような超有名店で、行けば日本人の観光客だらけである。「だけど」と言うべきか、「だから」と言うべきか迷うが、とにかく美味しいのである。
グツグツ、パチパチと油が煮えながら持ってこられるエビのアヒージョの音がとにかく良くて、iPhoneでムービーで撮って、辛い時にこの音を聞いて気持ちを落ち着けたりすることができる、ヒーリングミュージックでもある。眠れない夜のBGMにしてもいいくらい。波の音かアヒージョの音か悩むくらいだ。私に眠れない夜はほぼないが。
その音を、キャンプの夜に久しぶりに聞くことができて良かった。


スペインをさらに感じるために、私のアナザースカイこと、「KALDI」で買ったLEMONビールをプシュっと。
レモネードみたいで美味しい。今気付いたが、GALLEGAと缶に書いてあるからガリシア州のビールを使ってるのかな。ガリシア州はスペインの巡礼旅のカミーノの後半、最後の州だった。懐かしいよ、フリオ、アリソン、リナ、キティー、ジュリア。ガリシア州という言葉だけで浮かぶ面々がいる。

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スペインの巡礼路800kmを歩いて旅している時に、巡礼仲間で少しお酒に弱い女性陣がこぞってポルファボールしていたのが「セルベッサ・コン・リモン」。
レモンジュース入りの生ビールのこと。
聞き覚えだったので、ンは聞き取れなかったから私の中ではセルベッサ・コン・リモ。
これが、暑い中を6時間くらい歩き続けている道すがらにみつけたバルで注文して飲むと、この世のものとは思えないくらいに美味しいのだ。もうそれはそれは夢中になって、毎日飲んだ。
カミーノ(巡礼旅)では、毎日20㎞~30km、7~8時間ほど歩く生活で、毎日その日々を繰り返し、西へ西へとスペインの大地を歩いていた。
午前中はコラカオ(ホットミルクに溶かして飲むココアのようなもの)、
昼は暑い時は主に水、時々アクエリアスとかオレンジジュース、
その日の目的地に15時頃到着したらビール、
晩御飯にはワイン。
と何となく毎日飲むものが決まってくる中で、セルベッサ・コン・リモは、昼下がりの一番暑い時間帯に、あと1~2時間は歩かないといけないという縛りがあるため、大手を振ってまだアルコールを飲めないのだと自分を制している時に飲むという、最後のガソリンみたいな存在になっていた。
とは言えアルコールなんだけど、太陽に散々浴びたし、レモンはビタミンCだしな、とか言い訳できて、まだ目的地に着いてもいないのにビールを飲むという罪悪感は薄れる。
また、時には、晩御飯に仲間とたくさんワインを飲み過ぎて、これ以上飲むと明日朝起きられるか不安な時にこっそりセルベッサ・コン・リモにしてアルコールのペースを落とすような、居酒屋でのレモンチューハイ、カシスウーロンのような存在。
レモンビールは、「クラーラ」とか「パナシェ」とか地域によって呼び名が変わっていて、それも面白かった。
タパスと一緒にバルで飲むセルベッサ・コン・リモは思い出のせいかレモン果汁のせいか、少し酸っぱい。
今日のキャンプ場で飲むレモンビールは、スペインのものよりも酸っぱさはマシで飲みやすかった。
それがなんだかとってもスペインから遠く感じる。

スペインの道を歩いた昼下がりに飲むそれと、
夜に飲んで食べて騒いで、「飲み過ぎだよ」と仲間に言いつつ自分だけこっそり飲むそれと、
スペインの旅の途中にふらりと寄ったバルで飲むそれと、
日本でスペインを思いながらスペイン居酒屋で友達と飲むそれと、
ソロキャンプで一人飲むそれと。

同じセルベッサ・コン・リモでも、味はどれも全然違う。
もう2度と、スペインのあの道の途中に昼下がりに飲むあの味に出会えることはないとしても、
せめて、またスペインのどこかのバルで、
「Una cerveza con limón,por favor!」と自信満々に大声で注文する日がくることを願っている。
いろんな懐かしい面々を浮かべながら、クゥーっと酸っぱい顔をしてから「¡Muy bien!」と言ってまたいつか笑いたい。


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La casa del abuelo

ラ・カサ・デル・アブエロ
スペイン、マドリード
plaza de mayorから歩いていける。

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「行きつけの店」と私が偉そうに言うだけあって、スペインに来るたびに(大体、マドリードinかoutなので)必ず寄るし、誰かと一緒なら、旅のお連れさんを必ず連れてきてあげることにしている。そして毎回、写真とエビの音を撮る。
「どや、わしの行きつけの店は!」という顔して連れてきたものの、周りの席から日本語が飛び交っているため、少し恥ずかしい気分になるのも含めて、この店とセット。
しゃあない、美味いもんは美味いんや。

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エビとスペインと言えば、バルのピンチョスinサンセバスチャン 。本当はキャンプでこういうバゲット料理を作りたかった。簡単そうに見えて美味しく作るのは難しい奴らを並べます。サンセバ、エビ祭り!

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(最後のはバルセロナ)
食べるのに夢中で、食べ物を撮るセンスに欠けるけど。

セルベッサ・コン・リモの写真はGoogle photoで探したけどこれしか見つけられなかった。カミーノで、あんなに毎日飲んでいたのにな。
疲れの最高潮だったり、楽しすぎたり、仲間との食事時の写真はほとんどない。
写真に撮っていないもの。それもまた思い出に残る。

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そんなことを思い出しながら、ソロキャンプの夜は更けていった。Dulces sueños…

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