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台湾、阿里山を歩き回る⑤【こんな雰囲気の中でのご来光、見たことないの巻】

昨晩からダウンを着込んで厚着をして眠っていたから、まだ暗い時間に起きて、着の身着のまま部屋を出た。
空にはびっくりするほどの数の星。明かりがほとんどない標高2216mの場所で流れ星がたくさん流れていた。
昨日の霧はどうやらもうどこかへ消えてしまったようで、阿里山駅に行き、列車出発まで並んで待つうちに少しずつ明るくなり視界もクリアになっていった。


日の出列車は「祝山駅」まで満員で走る。
あまり夜明け前に大勢乗る電車に乗ることがないから、みんな寝ぼけた顔をしているのを見るのが面白い。
祝山駅に降りると、駅前はお祭りのような出店が出ていて、まだ日の出前なのににぎやかな雰囲気になろうとしていた。そこで私は温かいお茶を買って、日の出スポットと思われる場所の最前列に着いて、日の出を待った。
こういう日の出を待つ時間はこれまで何度もいろんな国で過ごしてきた。
インドのバラナシやダージリン、ミャンマーのバガン、モロッコのサハラ砂漠、ネパールのポカラ、スペインのいろんな場所、キューバのバラデロ。

日が昇る瞬間はもちろんだが、意外と、寒くて暗い中静かにじっと待つ時間もとても好きなのである。 

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しかし。
何かが違う。
何だろう。
…。
ああそうか。
うるさい。
うるさすぎる。
騒がしいのだ!
なぜか、日の出を待つ観光者たちの前、最前列に、お立ち台のような台に乗ったおじさんが、台湾語で山を指さして大げさなジェスチャーをして何やら説明をしている。
何を言っているか分からないが脳内で変換すると、中川家の礼二がやる中国人のモノマネ風に、「あそこの山は何メートルある何々山脈で、3千年前、昔々の言い伝えではな…」とかなんとかそういうような話を怒鳴りながら抑揚をつけて話している雰囲気。知らんけど。
時々、寝ぼけた台湾人観光客から軽めの笑いをとっている。そんなんいらんねんけど。
静かに粛々と日の出を待ちたいのだが。
最初は迷惑そうな顔120%でおじさんを睨んでいた私だが、目と頭も覚めてきて、なんだか面白くなってきて、郷に入れば郷に従えというか、これが台湾のお国柄なのだろうか…と思い、空が明るくなるにつれて、楽しめるようになっていった。幻想的な風景のムービーを撮っててもおじさんのがなり声が入る。見るだけで笑ける。

(このおじさんの動画を撮ってたことを思い出し探して見つかったので、どうしても皆さんにみてもらいたくて、vimeoに登録してまで貼りました。ぜひ。動画の編集上、とても明るいですが日の出前です。)


おじさんの落語だか漫談だかは延々と続いたが、
「それでは、いよいよ日の出です!It’s a show time!」と言っているような締めの言葉を大声で叫んで伝え、拍手をもらって、お立ち台を降りて去っていった。本当にそういうことを言っていたかは知らんけど。
さあいよいよ。空が明るくなってきている場所に向けてiphoneのタイムラプスで撮り始めていたら、なんと。
全然違う場所から太陽が出てきた。

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慌ててカメラのアングルを変えたりiphoneを向けなおしたりしながら、そのあとはじっくりと裸眼で鑑賞。
うわあ。

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高所で見た日の出を思い出して比べてみると、富士山で見たご来光はオレンジ色のまぶしい光だったけど、ここの太陽は白い気がした。
雲海が真っ白に広がって青い幻想的な山々。
圧倒的に力強い太陽。
日の出はどこで見てもパワーを感じるが、この日はお正月から1週間ほど過ぎていたが、
「これが私のこの年の初日の出だ!あけましておめでとーー!」
とあのおじさんのお立ち台に立って叫びたくなるような気持ち。それくらいパワーをもらえた日の出だった。
駅に戻り、焼き芋を買い、阿里山高山茶を淹れてもらって飲んだ。
なんておいしいお茶なんだ。
「うおー!お茶が美味すぎるーー!!」
ここでもお立ち台に乗って叫びたくなった。
まだ7時なのに周りが賑やか過ぎるし、焼き芋がうまい。
ご来光のおかげか、おじさんのおかげか、阿里山高山茶のおかげか、台湾人のパワーのおかげか、焼き芋のおかげか。
よく分からないけど、とにかく、エナジーがみなぎりまくりの新たな年の幕開け。
幸先が良すぎる新年の始まりとなったのは間違いなかった。

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もうちょっと、続く






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