失敗から学ぶマーケティング
企業が成長するためにはマーケティングが不可欠。でも練りに練ったマーケティング戦略は必ずしも上手くいくとは限りません。
世界的に有名な企業でさえ、優秀な人材が十分な検討を重ねた上で新事業を開始しても時には失敗することもあります。
という事で今回は、有名な企業のマーケティングの失敗事例と失敗の要因を的を外しながらご紹介します。
ぜひ皆さんのビジネスに役立ててください!
失敗1.コンビニのドーナツ
2014年、セブン・イレブンがレジ横にドーナツを投入した時を覚えていますか?
その後、他社のコンビニエンスストアも相次いでこの分野に参入、既存のドーナツ専門店も巻き込み、「ドーナツ戦争」が勃発しました。
皆さんの中にも、このドーナツ戦争で被弾した人もいるのではないでしょうか。
当初、セブンイレブンはドーナツ事業について「コーヒーを買った顧客の多くが、そのお供としてドーナツも買ってくれる」と考え、ついで買いを狙うためにドーナツはレジ横に配置してコーヒーを購入するお客様に店員が「ご一緒にドーナツもどうですか?」と人的販売にも力を入れていました。
最初はそこそこ売れていたものの、徐々にドーナツは売れなってしまいました。
原因「そもそもドーナツ需要はなかった・・・」
コンビニ各社は「コーヒー客=ドーナツ見込み客」と考えていましたが、そもそも日本ではドーナツ需要がほとんどありません。
長年、日本のドーナツ市場を牽引してきたミスタードーナツでさえも2013年から売上が年々右肩下がりとなっています。
当初はコンビニのドーナツ割引クーポンなどで売れ、その時のミスタードーナツの売れ行きはかなり落ち込んだ事から、コンビニのドーナツ需要は「コーヒーのついで買い」といった新しい需要を喚起したのではなく、単にドーナツ需要が専門店からセブンに移動しただけだったのです。
結果として、コンビニ各社の思惑である「コーヒー購入客=ドーナツ購入客」とはならず、今ではコンビニドーナツはパンコーナーにひっそりと身を潜めることとなりました。
失敗2.ニュー・コーク
1985年、コカ・コーラ社は一世一代の大勝負に出ました。
歴史があり、消費者から愛されているはずのコークの味を変えたのです。
甘味が強く、軽くまろやかな味のコークである「ニューコーク」を開発し、市場に投入しました。
これがマーケティングの歴史に残る大失敗として名を残すことになりました。
原因「顧客に対する裏切り」
コークの味を変えてから全米を巻き込んでの大ブーイング。
ボイコットや抗議運動までもが起こり、40万件超えの苦情の電話や手紙が寄せられました。
当時、コカ・コーラ社のコークの売上が横ばいだったのに対して、憎きライバル会社の商品、ペプシは順調に売り上げを伸ばしていました。
自社の主要商品であるコカ・コーラがペプシとのコーラ戦争に敗れるのを防ぐために、やむなくとった戦略がこのニュー・コークの投入だったのです。
面白い事に、ニューコークの投入前コカ・コーラ社は何度もブラインドテストを行なっており、顧客の評価は好評だったのです。
入念にテストしたはずなのに大炎上。
つまり味の良し悪しはどうあれ、味変によってコーク愛飲者の顧客ロイヤルティ(忠誠心)を裏切ってしまったのが最大の失敗だったのです。
結局、コカ・コーラ社はニューコーク発売から3ヵ月もしない内に、元の味に戻すことを発表しました。(元の味に戻した途端、コークの売上が急伸しました。)
失敗3.SKIP
ユニクロ、GU等を展開するファーストリテイリングが野菜事業に参入したのはご存知でしょうか。
2001年当時、野菜を中心とした農産物は、生産から消費者の手に届くまでの工程が無駄が多いため、価格が高止まりしていました。
そこでファーストリテイリングが自社で培った生産から販売までを一貫する垂直統合型のオペレーションを導入できれば、野菜を高い品質で安く提供できると考え実行したのです。
原因「品質を追い求めすぎた」
高品質の野菜を提供するためには質の良い契約農家の拡大が必要です。
しか品質を追い求めすぎた結果、契約農家の拡大が難航して店頭では出品のコントロールができない状態が続きました。
「例え欠品でも品質の良い野菜さえ手に入れば顧客はついてくる。」と信じていたファストリでしたが、利用者が買おうとしていた野菜が、かなりの頻度で欠品を起こしているという状態は、普段使いには耐えられるものではありません。
商品の質を追い求めるあまり、マーケティングの基本中の基本である「お買い求めやすさ」がおざなりになってしまったのです。
最後に
過去を振り返ってみると、名だたる企業でも失敗していることがよく分かります。
どんな企業でも失敗することはある(むしろその方が多いかも)し、失敗を重ねたからこそ、原因を追求し、欠点やこれまでの方法の悪い点を改めることができ、結果的に世界的な企業になったのかもしれません。
先人たちの教えとして、これらの有名な失敗事例を糧に、あなたのビジネスを成長させていきましょう。
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