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信州戸隠紀行 2023秋~③ 戸隠を支える九頭龍神

随神門を過ぎると、景色も空気もがらりと変わります。それまでの、ただただ清々しい感じから重厚感のある空気へ。それもそのはず、巨大な杉の木に囲まれているのだから。

ヒトがちっぽけに見える


振りかえると
随神門も小さく見えた

ここから500mにわたり、この杉並木がつづきます。樹齢はおよそ400年、長野県天然記念物にも指定されています。立冬と立春には、太陽が参道に沿ってまっすぐに昇っていくと神社のホームページで知り、その様子を見てみたいなぁと思ったけれど、タイミングが合わず断念。

聞いたことろによると、杉が植えられる前(1600年以前)は参道は狭くて歩きにくく、そう簡単にお参りできる場所ではなかったそう。そして女人禁制だったので、いま私がこうして気持ちよく歩けていることは、とてもありがたいこと。

一つ一つの木が、とてもパワフル


参道脇の ”講堂川”
ここもやはり水が少ない

さあ、そろそろ山登りの坂道がはじまります。
前回来たときには、ここから社殿まで、息をととのえるために2・3回小休止しました。あれから2年、あのころよりは体力がついている自信があります。体力チェックのつもりで行きますよ~!

前のお二人にはペースメーカーに
なっていただきます(笑)


きたきた、階段!

~つきふね流『山登りの心得』~
その1:前傾姿勢で登るべし
その2:一定のペースを保つべし
その3:上級者のルート取りを真似するべし
以上

中学校のときの学校登山を思い出しながら、3歩前をゆくプロのルートをそのまま同じように歩き、一歩一歩確実に登っていきます。正面に近づいてくる戸隠山を眺めながら・・・いえ、そんな余裕はありません。

ちょうどいいペースで進み、坂道が始まってから10分。息が上がってきたところ最後に登場する急な階段がとてもつらく、もう太ももが限界、足が上がらない~~と心の中で呟きながらも、なんとか登って、、、

つきました!

ふう~、ついたついた

まさか休憩なしで登りきれるとは。カラダ改革の効果がしっかりとここで現れたことがとても嬉しい。戸隠の神さまからのご褒美か、このときサァーッと気持ちいい風がおりてきました。

手水舎でひといきついてから、まずは九頭龍社へお参りします。

◇ ◇ ◇

九頭龍社くずりゅうしゃ

御祭神:九頭龍大神(くずりゅうの おおかみ)

じつはこちらの神さま、ご鎮座の年月は不詳です。天岩戸の神が来る前から地主神として鎮まり、古来より雨乞いの神、虫歯の神(!)、縁結びの神として人々から大切にされてきたそうです。

控えめな佇まいの 九頭龍社

ここまで登ってきた人たちの多くは、なぜか奥社の方へ直行してしまい、こちらはひっそりとしています。最近虫歯がみつかったので、そのお祈りも一緒にしました。笑

九頭龍大神は、ほかにも九頭一尾鬼(オニとは!)とか九頭龍権現とか言われていたそうですが、戸隠信仰の根底には、戸隠山を神とする九頭龍信仰が、どうやらありそうです。江戸時代には水の神、農業の神として東日本を中心に戸隠講が広まりました。

では次は、九頭龍社からさらに一段上にあがったところにある奥社へ。


これが最後の階段

戸隠神社 奥社おくしゃ

御祭神:天手力雄命(あめの たぢからおの みこと)

無双の神力で天岩戸を開いた、あの方です。この奥社は戸隠神社のご本社でもあります。背後に戸隠山を抱え、まるで山と一体化しているかのような社殿が、とても興味深い。

横へまわってみると
まるでお城の石垣のよう

涼しい風に吹かれて汗がひくのを待ちながら、すこしだけ妄想タイム。

太古の昔からこの地にいた九頭龍大神、あとから来た天手力雄命、二柱の力関係はどうだったのだろう?どちらかが圧倒的に強ければ、もう片方は”いなかったもの”とされてもおかしくないはず。

両方がこうして今も近くで祀られているということは、協力関係にあったのかなと考えました。そしてそれについては偶然、戸隠神社発行の社報で答えを見つけることができたのです。

九頭龍大神は、奥社・中社・宝光社の御祭神を支えている。こうした姿は神社所蔵の宝物にも描かれている。

戸隠神社発行『あをがき』より

やっぱり!そうだったのですね。あとから来た神をも支えている、九頭龍大神の懐の深さ。現在も特別な信仰を集めている理由が、少しだけ理解できた気がしました。

ところでここのご神気はどんな感じなの?と気になる方もいらっしゃると思います。あくまでも私の勝手な感想ですが、なんだかソワソワしました。前回も、今回も、です。

ゴツゴツとした岩肌の戸隠山が眼前に迫り、自然というものの偉大さや怖さを感じるせいかもしれません。安らぎよりも畏怖の念の方がしっくりときます。

二社の御朱印をいただいてから、来た道を戻ります。行きは余裕がなくて立ち寄れなかった石仏や飯縄社にも、寄り道しました。

素朴なお顔の石仏群


梵字が刻まれた石塔


苔むすちいさな祠

途中、お寺時代の歴史を伝える説明板があったので、読んでみました。長い歴史のなかでは天台宗と真言宗の争いがあり、それがもとで命を落とした僧もいたとか・・・悲しい歴史ですね。

奥社神域へ足を踏み入れてから1時間40分、熊にも会わず、それほど疲れもなく、無事かえってきました。

まだ時間はたっぷりあります。このあとは、癒しの戸隠森林植物園へ向かいます。

つづく



戸隠紀行2023秋シリーズ


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