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信州戸隠紀行 2023秋~② 早朝の中社と神域散歩

11月6日<旅2日目>

旅に出ると、初日はなかなか眠れません。

慣れない場所、寝具、視覚情報、寝たいという思いとはうらはらに、身体の制御センターは完全休息の指示を出してくれず、夢とうつつを行ったり来たり。この日もそんな夜を過ごし、朝を迎えました。

やっぱり眠れなかった・・・
でも、いいこともあります。それは朝すんなりと起きられること。

布団から出てまずは、今日の天気予報チェック。

天気:くもり
最高気温:14℃
降水確率:40%

よし、これなら奥社へ行けそう。
実は今回の旅、戸隠で2泊宿をとりました。参道が長くきつい石段もある奥社は、できれば雨天は避けたい。天気次第では予定を変えようと思っていたのですが、「きょう来なさい」というメッセージなのかなと受け取りました。

時刻は6時40分、朝食までまだ時間があるので、散歩をかねて中社にお参りへ。

◇ ◇ ◇

再びこのマップ
中社は真ん中

戸隠神社 中社ちゅうしゃ


大鳥居
この時間、まだ常夜灯が灯っています


社殿

誰もいない境内、いつも大勢の参拝者でにぎわっている中社を貸切でお参りできるのは、宿坊利用者の特権。シンッとした静けさのなか聞こえるのは、鳥の声と滝の音くらい。


さざれ滝
気持ち良いです

中社の御祭神は 天八意思兼命(あめの やごごろ おもいかねの みこと)。天岩戸開きメンバーの一人で、天岩戸に隠れてしまった天照大神になんとか出てきてもらうために、楽しげな神楽を考案した知恵の神さまです。もとは御本社(奥社)に祀られていましたが、1087年に現在地へ遷され、中社ができました。

文字どおり奥社と宝光社の中間にあるこちらは、戸隠観光の中心地でもあります。観光バスが一番多いのも中社で、神社につきものの「階段」がない駐車場直結の西参道もあるので、体力に自信のない方でも安心してお参りできますよ。

ところで、神社へいくと気になるのが家紋ならぬ『社紋』
ここはどんなデザインなんだろう?と、お参りの楽しみのひとつにしていますが、戸隠神社の社紋は、こちら。


これは何の意匠でしょう?

わたしはこれ、手裏剣だとずっと思っていました。戸隠流忍術で有名な戸隠は忍者の里でもあり(ちびっこ忍者村という子供に大人気の施設もあります)、きっとそうだろうと。

しかし今回、戸隠神社のしおりを丁寧に読んでみたら、まったく違いました。

戸隠神社の社紋は、四本の鎌を卍型に配置した鎌卍かままんじです。

神社しおりより

古くから水の神・豊作の神として、信仰を集めてきた戸隠大神の御利益の象徴として、荒れ草を刈り払い、豊かな土壌を作り出す鎌を意匠としているのだそう。

そうだったんだ・・・手裏剣って。笑
でも卍型というのが、神仏習合時代の名残を感じますね。

社紋の謎が解決したところで、あと少しだけ、境内のみどころ紹介。

戸隠神社はどこのお社にも、とにかく立派な木があります。中社には樹齢700年を超えるご神木と、樹齢800年を超える三本杉があり、その圧倒的な大きさに目を奪われます。そしてやっぱりスルスルと引き寄せられる。


樹齢700年のご神木
ここで記念撮影される方も多い


三本杉のうちの一本
幹が三本に分かれているのが特徴的

三本杉のうち残りの二本は、鳥居を中心として三角形をつくるような位置にあります。宝光社から戸隠古道を歩いて上ってくる参拝者には、真正面に見える三本並んだ大きな杉の木が、中社の目印だったのかもしれません。

早朝の中社散歩で、とても気持ち良い一日のスタートとなりました。この後宿でおいしい朝食をいただきチェックアウト、気合をいれて奥社参道へ向かいます。

◇ ◇ ◇

戸隠神社 奥社おくしゃ・九頭龍社


今回は中社のあと奥社へ来ましたが、五社巡りの順番について特にきまりはないそうです。どのような順でも、最終的に五社お参りできればそれで良いと、神職さんがおっしゃっていました。

個人的には、参拝者が多い中社と体力がちょっぴり必要な奥社は、はじめのほうに来るのがいいかなと思います。

時刻は9時、入り口にもっとも近い駐車場へ車をとめ、お手洗いを済ませてから張り切って参道へ。


奥社鳥居

本殿まではおよそ2km、さいごの500m以外はとても歩きやすい参道です。紅葉の季節を過ぎた奥社参道は、すこし寂しいといえばそうかもしれませんが、葉がないぶん見通しがよく、戸隠山も遠望できます。

これはこれで素敵だなぁと思いました。そしてここはとにかく気持ち良い!実は早朝、頭痛の気配があったのですが、歩いているうちにどこかへ消えてしまいました。よかった~。

プロっぽいお二人の後をついてゆく

神域の清々しい森は、動物たちにとっても居心地のいいところのようで、前回来たときは珍しい鳥が営巣しているとかで、大きなカメラをもった御一行様がたのしそうに撮影をしていました。

鳥はいいとして、気になるのはです。戸隠ではいたるところで『この地域は熊の生息地です。注意してください』という看板を目にします。

もちろんこの参道もそうですが、もう紅葉が終わったから熊さんも山へ帰ったかな?とか、近くに熊鈴を鳴らしている人がいるから大丈夫だよね?ということにして、心配するのはやめました。

気持ちよく歩いて鳥居からおよそ15分、中間地点の随神門ずいしんもんまで来ました。徐々に杉の木が増えてきましたね。

頭上ではカッカッカッと木を勢いよくつつく音がきこえ、わたしと、近くにいたご婦人方も「どの木だろう?」と見上げてきょろきょろしていました。姿は見つけられませんでしたが、キツツキ科の野鳥でしょうね。

随神門


茅葺屋根から植物がニョキニョキ


この先はみなさんお待ちかね、樹齢400年を超えるクマスギが並ぶ参道がはじまりますが、長くなったのでそれはまた次回に。


つづく


戸隠紀行2023秋シリーズ


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